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[ヨシアキの未来日記は、
未だソラの死を記述していなかった。
彼女の姿は、今ここにないから。
見えていないから、記述もされていない。
薄暗い店内、雑多な物のおかげでネギヤらの姿は良く見えない。
だから正面の5thへと視線を据えた。
体当たりで押さえつけようと試みるも叶わず、
突き飛ばされてワゴンにぶつかる。]
────がしゃん!!
[抗議するような物音が、高く響いた。
首筋を強打して、その痛みに顔を歪める。
ぜい。と、息を吐いた。
走ったからだけだけでなく、常よりも息が荒い。]
…そうだな。待つわけがないか。
いや、待たなくてもいいといえばいい。
[ゆらりと立ち上がった。
脇腹に力を込める。まだ倒れるわけにはいかない。]
分かってるんだろ?
もうすぐ、”時間”だ。
[既に店内の明かりは落ちている。
客の姿は見えなくなり、そして神の日記に力は──満ちる。]
5th、あんたが勝てるのは今この時だけだ。
生き延びたいなら、今この場で俺を殺しに来い。
…それとも、遺言を残して逝くか。
[錐を構えたまま、低く問いかける。
そうしておきながら間合いを詰め、彼へ向け錐を一閃した。]
───何故?
[一度錐を振るい、また距離を取るように飛び下がる。
彼が口を開くのに、少し間合いを取るようにした。]
……ああ、俺が鬼だ。
[もう、役。とは名乗らない。]
何故といっても、生きたいのに理由なんてないか。
[聞いておきながら、短く苦笑した。]
…なあ、5th。
俺も生きたいと思っている。
多分、ここにいる奴はみんな思っているだろう。
けれどそれは叶わない。だから──…
残す望みがあるならば、言え。
[傲慢だと知りながら口にした。
今までならば口にしないことを、口にした。
きつく錐を握り締めて、目前の男へと問う。
刺された腹が、そこに心臓のあるが如く痛む。]
…ああ。同感だ。
こんな形で出会いたくなかったな。
けど───…
話していたら、余計に辛くなったんじゃないか。
いや…、分からないな。
[ひゅ!と闇に鑿が振るわれる。
頬を裂かれて、鋭い痛みが走った。
構わずに錐を振るい返す。
どちらも素人の、真剣勝負だ。]
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