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博士がいたらな…
[どうするだろう。と]
…部屋でゆっくり考えてみるか。
あれも確認しなくては…
[そっと検査室を後にする]
[修理室には工具や計器類が並んでいる。
工具箱の中から、自分が使用する道具をいくつか選定して]
これとこれとこれ…それからこれも。
[携帯用のホルダーに工具類を丁寧にしまいこむとそのまま自室へと持ち帰る]
あれは、目覚めてから十九日後のことだった。
私は一人、様々な楽器が置かれている研究所の一室に呼ばれた。
ピアノ、トランペット、ヴァイオリン、ギター、果ては太鼓まで、無秩序なラインナップ。
「イヴは、ヴァイオリンと相性がいいみたいでね」
しかし、そこには選択の余地はなく、私はただ与えられたプログラムをこなすだけだった。
古今東西、人種も時代も曲も関係なく、ありとあらゆる音源を聴き、演奏VTRをインプットし、模倣した。
初めてヴァイオリンに触れてから百日後、私は質問を投げかけられた。振り返れば、あれが人生で最初の選択だったことになる。
「どんな演奏がやりやすい?」
つまり、演奏に「私らしさ」をもたらそうという試みだったわけだ。
その問いに私は酷く困惑した。どのように答えても構わないことは理解していた。誰か演奏家の名前でも、作曲家の名前でも、抽象的な単語でも、何か言えばいいだけだとはわかっていた。
[端末をひっくり返してみたり、電源ボタンを何度も押してみたり。
『sOsPeChOsAs?』
不意に文字表示が変化する]
(Sospechosas。誰を、疑う!?)
[表示を見て曇らせた表情のまま、検査室に残っている純太とルリの顔を交互に見てから]
わけわかんなくなってきた…僕も、部屋に戻ります。
[文字の表示が変わったままの端末を握り締めて検査室を出てあてがわれている*自室へ*]
『3分間の夢』
[資料室のPCを検索するも、何もヒットせず]
だよなぁ。
[こてん、と額をデスクに付けて、お茶のみを含む鳩尾を押さえた]
やっつけるよ。
[画面を睨んだまま今更のように、ぽつりルリに返事した]
でもまあ……。
[長丁場になるね。と続く言葉はそのまま口にはしない。]
[出入りが激しい検査室の中、相変わらずじっと座っている。それしかする事がないかのように、部屋の様子を眺めたり、耳を澄ませたりして]
ハツネとオトハにウィルス植え付けたアンを……オトハはいい人って言う。酷い事されたのに。
……ルリにはアンの声は聞こえないから、よくわかんないや。何をお話してるんだろ。
オトハがああ言うなら、信じていい人なのかな…。
[オトハの様子を見て思案顔。]
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