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[だけれど。其処に意味を。
気持ちを、探し、求めるのなら。]
――、
[件名に書く名は、一つしか浮かばない。]
――、っ、
[ゆっくりと、3のボタンを2回押し、]
……っ
[ぼやける視界の中、名を紡いで行く。
其の顔は、何処か苦痛めいた其れにも見えるか。]
うん、うめーっ!
[ミナツへそう返して、ジュンタの顔を見る]
家族?
[…とーちゃんがいたら、こんな感じなのかもな。
そう思ったが口にはせずに]
すっげわけーとーちゃんとかーちゃんだなぁ!
[あははははと笑う。
ミナツの視線を追って時計に目をやって
それからズボンのポケットに入れたままの携帯を
取り出した]
…終わらなきゃ、いい。
[自分をつなぎ止めている、この思いはなんだろう?
理不尽に、認識出来ぬまま奪われた事への口惜しさだけ?]
いや…居れたらいいんだ。
[長くは居られない事も、約束を果たせない事も、どこかで分かって居るはずなのに。]
…せめて今は…傍に。
[それは、わがままだけど。
帰りたい彼女を縛り付けるわがままだけど。]
[食事が済めば空になった食器を持って台所へと。
かちゃかちゃと食器を洗っていればやはり時間が気になり、携帯を取り出す。]
…………。
[内容には「雪に願いを」]
件名…。
[先程、デンゴに見せられた名簿を思い出す。
何かを決めたように件名へと名前を綴る。
画面をじっと見つめ、送信ボタンに手をかける。]
ごめんなさい…。
[そう呟いてぎゅっと目をつむり送信ボタンを押した。]
家族にみえないかな?見えてたらいいのにー。
[明るく振る舞うのは大変だ。それでも、なんとか頑張って。誰を………という言葉しか、頭に浮かばなくて。この嫌な気持ちはなんなんだろう。美夏以外なら誰でも……と思えたならどれだけ楽なんだろう。なんで、そう思えないんだろう。]
イマリとズイハラさん………無事かな………
[ズイハラの声が聞こえ、追う様に外を見る。
雪は静かに、天へと還って行く。
もしも意味が、あるのなら。
もしも願いが、あるのなら。]
――。
[雪に良く似た、脆くて儚くて、大切な其れは。
誰かの心に綺麗に積もってくれるだろうか。]
……。
[そっと、目を閉じた。]
[かちり携帯を取り出せば、無機質な画面がやけに後ろめたく。誰の名もかけぬまま、雪に願いをとだけ打ち込み。]
………終わらなければ……いい………
[そう小さく呟いて、入れた名は誰の名か]
ごちそうさま。
[食器を下げるミナツに言って
手元は慣れない携帯を操作する]
…ゆきに、願いを。
[ようやく覚えた漢字に変換して、
送信ボタンを押した]
――。
[かーちゃん…]
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