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執事国伝統のおまかせおおかみ 知ってた。
他にもおまかせのかたいらしたのかなー。
めでたく開始できました 愛しかない。
ありがたい限りなのです。
[前日の降灰も掃き清められた参道。
福引屋の前で足を止めたのは、
大学ノートを小脇に挟んだ作家。]
…いや、僕は
"坊っちゃん"なんて年じゃ――
[福引屋が呼び止めた対象を探す態で、
背後の雑踏へうろりと視線が彷徨う。]
[追憶に意識が吸い込まれそうになる、
その刹那を掬うように声をかけられた。
我に返る作家は、
会釈に足りない身動ぎと目礼をする。]
ああ、すまない。
[目の前の若者に、"会った"とも
"見かけた"とも言うのは何か違う気がして]
思い出の中に、
君がいた気がしたんだ。
[作家の補足は奇妙な言い回しになった*。]
[昨日のことであれ、
過ぎ去った時間の記憶はみな思い出だ。]
商品にはならない、思い出だけれども。
[自身のものであるという事実が肝要だ。]
……
[瞬く作家が無言で首を横に振ったのは、
詮無い謝罪合戦になるのを防ぐ些細な業か
はたまた『今のこの僕』を否定したものか。
まじと見つめられても、掠めた思い出は
未だ相手と共有するものではなくて――]
[福引屋が呼ばわる。
福を引いてお行きなさい。――――
ごそり、作家の片手がボケットを探る。
つかみ出した500円玉をおもむろに
福引屋へ渡しながら、若者を見遣った。]
よかったら。
…君も、ひとつ*どうだろう*。
[景品を見回した作家が指さすのは、
重ねてぴっちりとラミネートされた
分厚い『シツジノ学習帳17冊セット』。
…前日のご婦人が通りすぎるのは、
新井式廻轉抽籤器の回し取っ手を
慣れぬげに摘んだ作家の背後。]
… 美味しそうだ。
[福引き屋が食べるイカ焼きについては、
うまそうであることに作家も同意した。
感想を付け加えるに、]
正面から買うイカ焼きよりも、
たぶん、ずっと。
[隣屋台から手を伸ばす其れゆえに、
きっとあれは旨いのだろう――と]
[『1等が出たら、ごちそうするよ』。
――福引屋が、もちりと不敵に笑う。
『なんだったら、
"思い出屋"から買った思い出の話も』。]
… む、…
… いや、文筆業というやつだ。
[若者の問いには、遅れて応える。]
だから、これも"あたり"なんだ。
[堅物なりに判り難く道化てみせた。]
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