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[また何か聞こえたような気がして顔を上げれば、炊事場から戻ってきたらしいドウゼンの姿が目に入る]
あらあら。お医者の先生。管理人さんはたいしたことなかったですか?
[そういうと、お茶を入れようとするのに気がついて、湯飲みをその辺から準備してきた]
[心地良い湯の温度にすっかりリラックスしていると定期的に聴こえていた不思議な声が聞こえなくなってることに気づく]
やっぱ疲れだったんだあね。解決解決。
だいたいチェロがしゃべるはずないよ。おっかしー!兎だよ?チェロは。
うん!うん!どうかしてる私。
はあ〜......リラックスリラックス
[足を思いっきり伸ばし目を閉じて湯に立つ波を感じながら悦にひたる]
[井戸の傍に立つと、その中、周囲の闇より更に深い闇を覗き込み。少時そうしていたが、後ろからした声に]
……? ああ、貴方は……
はい、今晩は。
僕は……井戸を覗いていたんですよ。
[振り向いてバクの姿を確認しては、問いかけに見たままな答えを返し]
いけないいけない!
伯父のことだから間違って料理しちゃったりしないよね
まだ大丈夫か!あはは
でも救助がこなかったらやっぱりチェロも食用として考えられてくるのかな?
ダメダメ危険思想危険思想。人って身勝手だー
[獏が入ってくるなり、なんとも失礼なことを言ってきた。思わず言い返す。]
私の好みはここまで年下の子じゃあないし、作家センセをいぢめる趣味もないっての。
ん、また出かけるのか?気ぃ付けてな。
[そのまま獏を見送る。手ひらひら。]
[帰ってきた答えに、彼の隣へ歩を進めれば、自分も覗き込んで]
井戸? こんなに暗いのに、よく見えるなあ。
俺にはあんまり奥まで見えないや。何か面白いものある?
………。
なんか、こうして見てみると、「あなたが深淵を〜」って台詞を思い出して、ちょっと怖いな。
[すすめられたお茶を手に取りつつ]
あら。お医者さま。お茶、ありがとうございますわ。
管理人さん、なんともなくてよかったですわ。
…確かにおなかすきましたわねぇ。もういい時間ですし。
[ドウゼンの視線がニキの兎に向いたのに気がついて]
おなかすいたからって、食べちゃだめ、ですよ。
[冗談めかして、笑った。]
あら。えっと…こちらの方もお茶、いりますか?
[グリタの「おかわり」の声に、そちらにお茶を持っていった]
見えますよ。見ようと思えば……
彼らの足跡が見える。
青く……赤い、やはり早くどうにかしなければ……そう、思うような。酷く強い、暗い、光が。
[隣へ来たバクを、一瞥して]
――怪物と戦う者は、その過程で自身も怪物とならないように気を付けなくてはならない。深淵を覗き込む時、深淵もまた此方を覗いているのだ――
……僕も、日ごろ胸に刻んでいる言葉です。
ふぅん……。なんか、怖ぇ。昨日から、花とか不気味だし。
[ぶるりと背筋を震わせて、1歩下がった]
そう、その言葉。雨園君も、その足跡の主と戦っちゃうわけ?
……ってか、雨園君、強いよな。そんなこと、例え見えてても誰にでも言ってたら、苛められたりするっしょ。
脱衣室に行き濡れた体をバスタオルで拭き取る、一通りの着替えを済まし髪に残る水分を丹念にタオルを当てて吸いとる]
いいお風呂でしたー
この季節にハナミズキが咲き乱れる。
刹那に、手品か何かのように……
そうですね、自然には、有り得ない事です。
[また井戸の中を覗き込みつつ]
ええ。彼らの存在に気が付けた者の役目を遂行しなければなりません。
彼らの存在を知らしめ、また、自身でも立ち向かっていかなければ。
だから、その途中にあるべき苦難を、厭いはしません。
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