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[ こつ こつ こつ 硬い足音は、死の帳に半ば吸われて]
世界を――夜を愉しむのなら、
…闇の齎す傷をも愉しまなくては。
[バクが腰掛けているその脇を、亡霊は緩やかに過ぎ行く。
1度振り返った面持ちには性質のよくない笑みが浮かぶ。
同じ表情を、やがて己の後から部屋を出てくるルリへも
向けて――階上を振り仰いだ面を戻し、歩み去った。]
/*
親に言われてた言葉とかそんな感じですきっと。
「また会いましょう」でぐぐったら、「博士の異常な愛情」の歌が出てきた。
誰か墓碑来ないかな〜…。
――……デン。ライデン。
[「声」が私を呼ぶ]
ライデン。
[今度は掠れず、明瞭に聞こえた]
始まりました。
「何がだね……?」
[声は答えない。沈黙。
周りの闇も、静まり返って]
[和気藹々と食事を摂る者たちの声が漏れ聴こえる扉を
過ぎながら、想いのみは馳せ…とろりと眠たげに瞬く。
死者の魂が纏っていた欠片ほどの温もりは、いまは
姿を黒い上着に変えて、眠るペケレの傍らを暖める。]
――欲張りな方…と評しては、いけませんかね?
[堪えるもなく、ふくりと燻らせる笑みはやわらかい。
亡霊は大地との繋がりを保ちたいかの如く、重さの無い
身を頑なに歩ませて――死者の在るべき白壁の墓所へ。]
「……、寝物語でもいいが、その話は難しいね」
そうですか?
でも、大事な話ですから……
「……。聞くのは構わないが、私の質問にも答えてくれたまえよ?」
[ええ、と「声」は応じたが、本当に答える気があるのかはわからない。
それでもすぐさま眠ってしまう程の眠気ではなかったから、寝付くまではその話を聞く事にした]
始まりました。
[「声」はそう始める。先程もそう言っていた]
「何がだね?」
[今度も無言で返されるかと思いながら聞いたのだが、「声」は――カナメは、意外にもその問いに答えた]
ゲームが、です。
「ゲーム……?」
[途中、食事を済ませたらしき長身の男と行き会った。
夜気を潤すような歌を妨げぬよう、亡霊も足音を消す。
目元だけで笑みかけるのは声無き喝采の代わりかで…
やがて彼が背へ遠ざかるのを感じる頃に、漸く呟く。]
…舞台映えもするのでしょうね、きっと。
[聴く者のない足音を戻して、小道の石畳を踏む。
やがて立ち並ぶ墓碑の合間に、細い娘の――――
プレーチェの背が見え来て、亡霊は其方へと歩を寄せた*]
/*
おおう。
マッキー聞いる間に人がどんどん寝ていた。
このままここで寝ようかなもう(風邪ひかない気がするよこの子)
ルリちゃん霊能なのかしら。
そしたらテンマさんナイス鍵渡し選択だよね!
ええ。内容はそのうちにわかるでしょう。
今私が先んじて伝えようとしているのは、そのゲームにおける貴方の役目です。
[奇妙な話だ。ゲームがどういったものなのか、それがただの作り話でないのかすらもわからないが、ルールよりも先に役割を説明するとは、普通なら有り得ない事なのではないか]
貴方の役目は、そのゲームの中で二人の人物を助ける事です。
そしてその事は二人以外に知られてはいけません。
彼らを勝利に導く事ができれば貴方の勝利です。
[引っ掛かりを解消する事などはなく、カナメは説明を続けた]
「待ってくれたまえ。少し整理する。
つまり……そのゲームは恐らく、二つのチームに分かれてするものであり。私とその二人はチームである。その二人の勝利が私の勝利にもなる。
私は二人を補佐する役だが、それを相手のチームに知られてはならない……
もしかすると……かくれんぼのようなものかね? 此方のチームは何かしら隠れる必要がある、と……」
そういう事です。
かくれんぼ、といえなくもないですね。
理解が早くて助かりますよ。
「そのゲームを行うメンバーは?」
そうですね、……
目覚めてから貴方が会った人全員、です。
テンマを除いてね。
「? 何故彼だけ参加しないのだね?」
彼は「違う」から、ですよ。
まあ、あまり気にしない事です。
ただ、厳密にいうなら……
そうですね、彼も参加者になるでしょうか。それともう一人、……は、貴方は知りませんか。
「そのもう一人というのはどういう人物だね?」
そのうちにわかるかもしれません。
「……。まあ、いい。
ともかく、私は陰のヒーロー、というわけか」
[やや、間があって]
そういう事です。
「君、今内心で私を馬鹿にしただろう?」
/*
夜中なのに、ティーンエイジャーの顔が並んどる。
子どもが夜動いてると、何か不思議なことが起こりそうな気がします。
鐘が13鳴ったりね。<トムは真夜中の庭で
「……、その、二人というのは誰なのだね? 私が会った人物なのだろう?
それともこれも今は秘密なのかね」
いえ、それはお教えしますよ。
バク、ペケレ、の二人です。
[頭に二人の姿を思い浮かべる。彼らが私とチームであり、私が助けるべき人物なのか]
「そうかね。
何だか、わかるようでわからないが……」
[肝心のルールを伝えられていないのだから、私がそう思ったのも当然だろう。カナメに向け、答えは返されないような気がしながらも、ルールについて問い詰めてみようとしたが]
[重く沈んでいく感覚に、意識を手放す]
……お休みなさい、ライデン。
[眠りに落ちる直前、カナメの声を聞いた*気がした*]
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