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――死んだら、ダメだよ。
[悟った瞬間、自分の望みを、赤い声に乗せた。
そうするのが自然のように、彼には伝える方法が、わかっていた]
[頼まれると頷き、イェンニの表情を見る。
なんとなく気まずかったけれど、気にしてはいなかっただろうか。
そんな表情が浮かんでいないことを見てとれば、ほっとしたように目元を和ませた]
はい、手伝います。
そうですね、調理場に何があるのかも見ておけば、どんなものが作れるかもわかります。
[彼女についていき、調理場では重い物を持つなどの手伝いをすることになる。
茶を淹れるなんてこと、父子の二人ではほとんどしていなかったから、楽しそうにその様子を眺めていたりもするのだった**]
[問いかけには答えない。
人ならぬ声に、ゾクゾクと喜びが湧き上がった]
そう、死なせない。
[退治させない。
愉しませてほしいのだと、嗤う色が、わずかに混じった]
良くない存在でも、守ってあげるよ。
僕は、君の、味方だ。
[言葉はゆっくりと、文節ごとに区切って。
そうやって囁いて、笑う]
生きていて欲しいんだ。
君に。
[茶葉の種類には詳しくないから、彼女が淹れている間、食器などを確かめる。
問いかけに、その視線を彼女に戻して、少し笑った]
得意、というわけではないです。
僕が作らなければならなかっただけですから。
…父と子二人ですし、そんなに量も必要ないので。
イェンニさんは、どうですか。
[問い返しつつ。
運ぶのは、やります、と。
彼女が持つ前に、盆を持ってしまおうと試みて]
良い香りですね。
[紅茶の香りに、笑いかけたりもして、連れ立って居間に戻る。
並べるのももちろん、手伝った]
僕は、
[名前を言うか、言わないか。
悩んだ間は、少し長かった]
――君は?
[答えの代わりに、問いを返す]
思い当たる節はあるけど。
君から、直接聞きたいな。
間違っていたら、嫌だから。
[ニルスの話が始まるのを、彼も自分の分の紅茶を持って、聞く。
何から聞けばいいのか、知識に乏しい彼はわからないから、
話をする人たちの声を、言葉を、しっかりと聞いているだけだ]
[苦しむ声を聴きながら、そうだと思っていた人の名。
それを聞いて、彼も声を投げた]
――僕は、レイヨ。わかる?
君とは違って、人間だよ。
でも、君を守る。
[彼女からは見えない彼は、確かに笑っていた]
何があっても、助けてあげる。
[夜はおわり、朝になる。
月の狂気も少しは落ち着いたか。
だけれども、笑い声が聞こえる。
誰かが、多分人狼が、まだいるんだろう]
――おはようございます、人狼さん?
[夜のうち、声のなかった存在に、笑い混じりの声を投げかけた。
目覚めたものは、消えることがなかった]
[推論と前置きされた内容を、しっかりと聞く。
人狼。対抗しうる何か。
お伽噺の世界のようで、少し悩ましげに眉を寄せた。
イェンニの言う、見極めるという事も、いまいちどういう状況かはわからず]
護ることが出来たのに、人狼を護って、見極められるものを殺してしまった…?
反対?
[ゆるく首を傾げる。でも件の人物がここにいる、なんてことはないのだろうし、彼はそれ以上疑問に思うことをやめた]
――きっと、いない、ですよ。
だって、ここにいるみんな、村の人です。
僕は、誰にも、死ぬとか、殺すとか、しないでほしいし。
星詠みが外れて、すぐに帰れる。
[甘い言葉を口にする。釘で打ち付けられているけれど、きっと大丈夫だ、と。
最後の言葉は、そうなれば良いと願いが籠り]
― 夜 ―
様、は、いらない。
僕はそんな立派な人じゃないし。
君を守りたいだけだよ。
せめてこうやって話してる時は、様なんて呼ばないでほしい。
[そんな願いを一つ、伝えた。
うめく声を聴きながら、大丈夫だよ、なんて囁いて、そうして月は沈んでいき*]
― 現在 ―
殺させない。
死なせない。
[子供のように、皆の無事を祈る言葉は、簡単に作れた。
人狼がいない、ということが嘘だと、彼は既に知っているのだから、茶番も良い所だ。
ただ、知る人はこの囁く声を聞ける人しかいないのだ。
何の問題もあるはずがなかった]
怖いね。
殺してしまえば、良い。ちょどよく、名乗ってくれた。
でも、護る…っていうのが。
――誰、だろうね。
[聞く言葉を整理しながら、視線をめぐらせる。今は別に、なんの違和感もなかったことだろう]
/*
ほんとこのレイヨなんで鬼畜になったの?
なんで?
ちょっと狼苛めたかっただけだけどなんで?
もっと鬱々とした殺されたい人だったはずなのになー
[差し出された果物を受け取って、
……受け取って]
ありがと……じゃなくて、ユノラフさん、
[見極める方なのかと、イェンニが問う言葉に、それ以上は途切れる。
複雑な様子で、彼を見て、それから投げ渡されたニルスを見て]
…………。
僕も見てみたい、です。
[思うところは何かあったようだが、そっと言葉を飲み込んで、そんな風に願ってみたのだった]
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