[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
はい。……頂きます。
[椀に取り分けて貰った物を口にする]
『いやー、やっぱり骨の髄まできちんと食べてやらねぇと』
[ワッハッハと豪快に笑う声を聞きながら、汁を飲み干す。
頭の中で、ここ数日に出た死者の事を思い返していた]
……ご馳走様でした。
[動物らしい濃厚な出汁の汁を飲み終えて、椀を返した。
しかし、汁だけではどこか物足りないような気がして]
米、とか、欲しいな……。
ポルテさんの所に行けばあるかな。
[微かな期待を籠めて小料理屋へ向かうが、店先で見た物は『臨時休業』と書かれた札であった]
あれ?
……うーん、具合でも悪くなったのかな。
[お見舞いにはいずれ伺おうと思いながら、再び村の中を彷徨い始める]
―集会所―
[儀式の日が近いせいか、普段は人気のない集会所も、この時ばかりは頻繁に人が出入りしていた]
こんにちは……。
え、ポルテさんが?
[小さな村だけに噂の回りも早い。
大事はないという事を確認し安堵する]
良かった。ポルテさんの料理が食べられないのは困りますからね。
[差し入れの握り飯などを期待して来たのだが、まだ時間が早かったらしい。
ここまで来て何もしない訳にも行かないので、しばし練習をする事にした。
祭具の置かれた蔵から、儀式に使う笛を取り出す。
長い間受け継がれて来たのだろう、年季の入った色合いだ]
――――
[軽く息を吸い、音を確かめるように吹き込む。
空気を震わせ高い音が響いた]
……うん。
[一曲分吹き終えて、それなりに満足がいった顔で笛を下ろした。
集会所に来ていた顔役の老人が寄って来て、細かな指示や注文を付ける。
素直に頷いていると、中年の女性がお盆を手に入って来た]
『はいはい、休憩休憩!』
[お盆の上には期待通りのものが載っていて、思わず顔を綻ばせた**]
[塩味と梅干の握り飯を一つずつ頂いた所に、若いのだからとおまけでもう一つ。
若者は、この小さな村では貴重であった]
『セイジくんは、そろそろ子供の一人や二人こさえたかね?』
[そんな無遠慮な、といってもこの村ではさして恥ずかしがる事でもない質問も飛んで来る]
え、いや、僕は……
[口籠もっていると、老人らから大声で笑われた]
『最近の若い子らは奥手じゃのう!』
『ワシらの若い頃は……』
[そんな昔話が始まって]
……まだ何も言ってないのに。
[つい、目を逸らして小声でぼやいた]
[老人たちの昔話は、こちらを放りっぱなしのまま続いている]
……僕は一旦抜けますね。
それじゃ。おにぎり、ご馳走様でした。
[差し入れへの礼を言うと、話の邪魔をしないようにこっそりとその場を抜け出した]
……はあ。
[小さく溜息をつくと、次の仕事を探して歩き始める]
[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ