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[雑貨屋には寄らず、先に校舎に向かう。
閉校が決まっている為か、夜でも施錠はされていないらしい]
誰も悪さをするやつがいないトコがうちの村の平和な所だよなー。
[うんうんと頷いて、あ、と首を振った]
悪い事してる大人がひとりいたな。
先生もう帰っちゃったかな?
[呟いて、悪い大人の姿を探し科学室へ]
俺自身は悪い事はしてねぇ…筈だ。ただ真実を告げただけで。
ただ問題は…あいつの事を考えてやれなかった…ことか?
[勢いよく起き上がって頭をガシガシと掻き毟る。
突然の告白は彼女を傷付けただろうか。不安にさせただろうか。時期を考えれば…いやいっその事6年前のあの日のように、何も告げずに今回も去るべきだったのだろう。
折角の思い出を…台無しにさせてしまったかもしれない。]
あー…。俺はあいつの思い出作りを壊すような真似をした自分自身に腹を立て、彼女に謝りたく思っているのか…。
[絡まりあう嘘の糸を丁寧に解いていくにつれて見えた今の素直な気持ちに、...はふっと溜息を漏らし]
梅ばぁの所ですっきりしてこようっと…。
[膝を叩きベッドから立ち上がると、身支度を整えて銭湯へと向かった。]
おー、本当に好き勝手やってやがる。
[学校中を這う謎のコードに思わず呆れた声が漏れる。
コードの先を辿れば、いつの間にか科学室に。
軽くノックして戸を開けたがそこには恩師の姿はなかった]
帰ったってことはねぇよな。
[生徒達がこっちに帰っていったのはいつも夜だった。
ここと向うの時間が同じく流れているのなら、先生が夜の間もマシンの修理に勤しんでいてくれたと言う事なのだろう]
ま、そのうち戻るだろ。
[そう呟いて、途中の酒屋で買ってきたビールをドアノブにかける。
そのまま立ち去ろうとして、何か思い出したように戻って来ると、ビールを袋ごと激しく振った。
にやりと笑って、満足げに背を向ける。先生早く戻ってこいよーと呟きながら]
[ 昼、外にて花を一束買うと、雑踏をすり抜けて閑静なお寺の横、小さな墓地へと向かう。目的の墓の前で花を添えると、手を合わせながら]
折角、あの時に行けたのに結局何もわからないままだったの。でも、私の前に幻でも出てくれたのなら、私は自己満足な解釈をしてもいいのかしらね?
[自嘲気味に語りかけながら、墓石に彫られている名前をなぞる]
どうしてあの時、私の顔も見てくれなかったの…。
そんなに私が許せなかったの?
ならどうして…
[後は涙のせいで声にならず]
――銭湯――
[閑散する時間なのか。...が顔を出した銭湯には入浴客が誰一人居ず、番台では梅ばぁが老眼鏡を鼻に掛けながらなにやら本を読んでいる最中だった。]
梅ばぁ、客が来たぜ…。
[声を掛けながら番台に小銭を置くと、梅ばぁは視線を上げることなく『あんたは客の内に入らないねぇ』と言葉が返ってくる。]
相変らず口の減らねぇばばぁだな。金払わねぇぞ。
[と、差し出したばかりの小銭に手を伸ばせばぴしゃりと平手で甲を叩き、『さっさと入るなら入ってお行き、洟垂れ坊主』。
凛とした声が脱衣場に響き渡った。]
へいへい。言われなくてもそうしますよ。
[叩かれた手を擦りながら籠を取り出し、服を脱ぎながら、ふと思い立ったように]
…なぁ梅ばぁ。梅ばぁは…誰かを傷つけても自分の思いに正直に動いた事って…いや、良いや。じゃぁ、入ってくるわ。
[呟きかけた言葉を切り、浴室へと足を踏み入れた。]
[有給で仕事を休んでいるけどもそれも後何日もなく。あと少しで現実へ戻るのだと思い出すと、[向こう側]へ執着を感じたが頭をふってかき消す]
…どうしよう、かな。
[学校で吹こうと一人暮らしの自宅から持ってきたフルートは何も答えない]
[トランクを提げて食堂におりてくる。テーブルの上にカップ麺をみつけて]
あ、まだ埋めてないのかな?
それとも別のかな?
まぁ、もう埋めてたら追加で埋めてもらえば良いか。
[荷物を降ろして、あぁ重かったと手をひらひらさせる。テーブルの上のサンドイッチを見つけて]
おいしそうなものが。
みんなまめで助かるなぁ。
この字は誰だろ。クイン?
[いただきます、とサンドイッチをひとつ取って齧ると、メモの端に『ちょっと出てきます セシリア』と書き加えて校舎に*向かった*]
[一通り体を流し、染み付いたビール臭さを一蹴するように熱いお湯を頭から被ると、真新しいお湯が張られた湯船に身を沈める。
勢いよく流れるお湯と立ち昇る湯気に、ぼんやりと富士の絵を眺めていると]
『坊主が何悩んでいるかは知らないけどね、世の中偽善で物事がスムーズに進むほど、甘くは無いって事だけはあんたに言って置くよ。
特に色恋沙汰は皆我儘になっちまう。それはどうしようもない事だ。
それに。お前さんの事だ、強引に相手の気持ちを手に入れようとした訳ではないんだろ?だったらそこまで思い詰めなくても、あたしだったら良いとは思うけどね』
[背後から突然聞こえた思いやりのある言葉に、...は振り向きもせず]
世の中皆梅ばぁのような考えだったら良かったのにな…。
あーあ…何で今頃再会しちまったんだろう…。
つーか…何で好きになっちまったんだろうな…。好きにならなきゃ…こんな思い…味わわなくても良いのに。
[食堂を出て向かった先。其処で見る二度目の光景にはもう戸惑うことはなかった。花壇の前で対峙する人影に向かって、歩を進める]
あの頃は、お前の言葉が痛くて仕方なかったけど、
…今なら俺なりの答を返せるよ。
[呟きながら距離を詰め、幼い日の己の場所に立った。
丁度其の時、厳しい目をした眼の前の人の唇が「自己満足だよね」と言葉をなぞる。]
……ああ、独りよがりでも自己満足でもいいんだ。別に。
始まりがなんであれ、花を育てるのが楽しいってのは変わらねぇし。
好きか嫌いかって、簡単に考えればいいんじゃねぇかなって。
お前もよく知ってるヤツとさ、話してて思ったんだよな。
[笑うと同時、相手が身を翻した。立ち竦んだままの昔の自分は、真っ直ぐに後ろ姿を見送る今の自分と重なっている。]
あの時、お前が何を思って俺にああ云ったのかは分からねぇけど。
ま……乗り越えさせてくれて、ありがとな。
お前の六年後の姿も見てみたかったよ。
[振り返らない旧友の揺らぐ後ろ姿に手を振り、柔らかく目を細めた。]
[後ろ姿が揺らいで消え行くのを見送った後。
さーて、と一つ呟いて袖を捲る。]
…見つかるといいんだけど。
さっさと探さねぇと、時間がない。
[視線の先にはクローバーの群。目的のものは勿論、四葉のアレだ。]
[あてもなしに学校の周りをふらりと歩いていたけども、ふと皆が言っていた銭湯を思い出し]
そういえば…あれだけ問題になってても私殆ど行った事なかったのよね。…行ってみようかな。
[風呂一式を取りに自宅へよると、そのまま銭湯へ]
[今朝目を覚ましたのは朝早くだったよう。身支度を整え食堂を出た後、向かった場所は花壇で。
暫く其処で時を過ごした後、探し物でもするかのようにしゃがみ込んでいたが。やがて手にしたものに満足そうに目を細めると立ち上がり、そのまま食堂へと戻った。
中に入りサンドイッチに気づくと、今更ながらに食欲を思い出し]
……「好きに食え」と。
この口調っつか、字はクインか。
[料理出来んじゃん、と笑いつつ、遠慮なく1つ目を食べ終える。
2つ目に手を出したところで、セシリアのメモに気づき首を傾げ]
…あ。俺もやらなきゃなんねぇことあったんだった。
[危ね危ね、と呟いては席を立ち。それでもちゃっかりと2つ目は口に咥えて*2階へと*]
[最後に行ったのは確か部活で合宿をやっていたときくらい。番頭のおばあさんの顔も覚えていなかったから、当然普通の客として入ったつもりだったが「久しぶりだね、風紀委員長さん」と声をかけられる。心底驚いたが、それでも嬉しさは隠せず]
お久しぶりです、梅さん。
近くにきたから、寄ってみたくなったの。
お元気ですか?
[暫く、とりとめもない話を交わした後、まばらに人の見える女子風呂へ]
そうそ。
やっぱ言葉は口で直接云ってこそだと思うんだよな。
[ごそごそと何かを漁りつつ、笑って応え]
ま…俺は一応決まったかな、タイムマシンに入れるもの。
[堂々巡りの悩みをポツリ呟いていると]
『あー!!はっきりしない男だね!良いじゃないか、好きになっちまったものは仕方が無いだろ?人間だ、思い通りに行かなくて当たり前と思って、しゃきっとし!24にもなってウジウジと情けない…』
[そう言いながら湯船に顔を鎮めようとする梅ばぁに、必死に抵抗しながら]
梅ばぁ!俺まだ…23…つーか溺れる!その歳で人殺しになりたいのかよ!!
[些か的外れな反論をしていたが、ようやく落ち着いた頃にぽつりと]
そうだよな…俺ら機械じゃなくて人間だもんな…。コントロールできなくて当たり前…か。あぁ、梅ばぁサンキュな!何か溺れかけたら…すっきりしたよ。
[ざばっと音を立てながら勢いよく浴槽から出ると]
梅ばぁ、今日の悩み相談料、俺のストリップ料金でチャラにしてやるよ。
[減らず口を叩きながら服を着込み、僅かに軽くなった足取りで校舎へと向かう頃には、辺りはすっかり茜色へと*染まっていた*]
[ちゃぷんと広い銭湯は昔とあまり変わらず。銭湯の絵は湿気で傷みやすく、取り替える頻度が高いと聞いたことがあるが、今の絵が自分が最後に見たものかすら覚えていない]
…きっと、あの人には言わない方が、いいのかもしれないな〜。
言ったらきっと、こまらせちゃう。
でも…なぁ…
[ぶくぶくとお湯に沈みながらぐるぐると悩み中]
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