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[白い息を吐きながら船着場への道を歩く。昨夜のうちに降ったのか、縁石や垣根などにうっすらと雪が積もっていた]
この島伝統の祭事、楽しみデスー。
[今は雪はやんでおり雲の隙間から青空も見えるが、空気は頬に刺すように冷たい。そのためか、モミジの頬は普段以上に赤く染まっているが、どうやら寒さのためだけではないようだ]
……なんだこれ。
[新聞と一緒に郵便受けに刺さった矢を、しげしげと眺めている]
新聞屋のサービスにしちゃ、随分と斬新だよな。
普通は醤油とかタオルとかさ……。
[呟きつつ、頭をポリポリかいた]
へっくし!!
さ、さみぃぃよ!雪積もってるし。
もっかい寝るかなぁ。
[ふと窓の外に、船着場へと向かう人を見つける]
あれ?何しに行くんだろ?
[白い息を吐きながら歩く後ろ姿を、窓越しに*見送っている*]
[着替えなどを入れたスポーツバッグを提げ、祖父母の家からてくてくと歩く。道はやがて湖沿いに伸び、そこから朝霧の向こうにぼんやりと湖中島が見えた]
おー、フーリューデスー。
[やがて、船着場に到着した。扉の前でアンと出会い会釈する。二人して中へ]
コンニチハ。
[ストーブにあたりながら、みかんを食べているロッカを見つけ、挨拶した。]
[隣でアンが、「ロッカも矢を貰ったなら、そうね」と笑っている。みかんを頬張りながら言う様子が可笑しいらしい。モミジはそんな二人を交互に見ていたが]
祭事のことなら、私は違いマス。
私はこの島の生まれではないデス。
今日も寒いですネー?
[ロッカの隣に座り、荷物を足元に置くとストーブに手をかざした]
うん、今朝届いた!
[アンの言葉に、鞄から矢を取り出して頷く]
あたしもこの島の生まれじゃないけど……何かの手違いだったりするのかなぁ。
[呟きながら上着のポケットから手紙を取り出し、今一度中身を確認する。
誰が書いたとも知れぬ、和紙に黒々と墨が滲んだ手紙]
あ、これよかったら。お名前なんでしたっけ?
[みかんの籠を、モミジに差し出した]
[みかんを差し出され、にこりと微笑むと1つ受け取った]
Oh、ドモありがとうゴザイマス。
[故郷にはないだろうに、器用に皮をむき、薄皮もむいていく]
私、モミジ=ニコラ・アトリー、デス。
モミジと呼んでくだサイ。
Hum、あなたも、この島の生まれではないのですか?
では、「祭事のときに住んでいる」が条件なのかも知れませんネ。
私は、祖父母の家で”フユヤスミ”デスー。
宿里六花です。
父の転勤にくっついて、高校入学と同時にこの島に来ました。
もうすぐ1年経っちゃうんだなぁ……。
[相変わらず、もぐもぐとみかんを頬張っている]
ああ、そっか。外国の訛りだったんですね。
モミジさんも依り代の儀式に参加するんですか?
[薄皮を綺麗にむくと、みかんを一つ口に入れ、美味しそうに頬を綻ばせた]
ヨロシクおねがいシマス、ロッカ。
ハイ。私は、大学で日本文化を勉強していますノデ、
祭事のお手伝いの許可をいただきマシタ。
楽しみデスネー。
[ニコニコと。本当に楽しみなのが判る]
五年に一度しかないことですし、楽しみですねー。
[つられてにこにこ微笑む]
(い、言えない。報奨金楽しみですなんて言えない!)
[モミジの笑顔が眩しくて、きゅ、と目を*つぶった*]
ええ、とてもラッキーデス。
ロッカも、アンも、ガンバてくだサーイ♪
[勿論、ロッカの思惑など知る由もない。祭事の内容を一部誤解しつつ、にこにことみかんを*食べる*]
[矢を見せると、母親から祭事の話を聞かされる。そういえば、前に聞いた事があるような?興味が無いから聞き流していたけれど]
で?何でオレが行かなきゃなんないの?
はぁ?今から?いきなりかよ。
って、うわ。
[「いいから早く行きなさい!大体アンタがいつまでも寝てるから……」と母親の小言が始まったので、慌てて仕度をして外へ出た]
はあ。何でこんな事になってんの。
つか、さみぃぃぃ。
めんどくせえなあ、もう。
[ブツブツ言いながら、船着場へと*向かった*]
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