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報告書を出すだけで済む仕事なんですね。見回り委員の仕事って。
[少しだけ残念そうに呟く。覗く事を制して持ち込みの仕事に向かう結城をちらりと見ると]
じゃぁわたしは投球フォームの勉強でもしますね。
[誰に言う訳でもなくつぶやくと、クルミはファイルの横に埋もれていた誰かの置き土産、『オレ流野球 2007』を引っ張り*出した*]
やる気あるなら、十手でも持って校内見回ってくれ。
[手の動きだけで部屋の片隅を示す。
戸棚に並ぶ時代劇セット]
……人は殴るなよ?
というか、やけに古くないかそれ。
[トレーニングを開始しかねないクルミに告げた]
・・・んんー?
[実に眠そうな眼で、顔と名前を一致させたばかりのユウキへと目をやって]
随分な言い方とか言われちゃったってー。
ついさっきまで知らんかったもんはしょうがないでしょー
[ノートパソコンを操作する姿には、思いきり顔を顰め]
仕事させられにこの部屋に来て、待ち時間の間まで更に他の仕事片付けちゃうわけ?
・・・やだやだ。
脳が溶けても知らないよ、仕事人間。
[言われなくても覗かないよと、舌を出しながらも・・・
わざわざ釘を刺す辺りが気になったらしい。
えろい画でも見てんのかなと後ろから細目で覗きつ]
まあテキトーにやってりゃいい仕事なら、それに越したことは無いね。
・・・去年受け持った奴がいるなら、今年もそいつらに頼めば良かったのに。
[パンパカ仲間呼ばわりのクルミにも、顔を上げて]
ははは、パンパカ仲間ときたか。
・・・チーム名はおめでたいみたいだけどね。
[火星人の特徴?
ファイルに視線を落としていると思いきや、謎の言葉を呟くクルミに首を傾げて。]
ああ、そうなの?
報告書を出すだけで済む仕事なの?
・・・なら木野下さ、報告書余分に一枚多く書かない?
それにおれの名前書いて、提出してくれりゃいいからさあ。
[やる気無さそうにそんなことを頼むムカイだが、果たしてクルミが真面目にファイルを見ているのかどうなのか、分からなくなってきている。]
と投球フォームて。
[ユウキの手の動きにつられ部屋の片隅を見てみれば]
・・・なに、アレ。時代劇セット?
[良く分からない品揃えである。
しかし髷をかたどったカツラを発見、じっと見つめると]
ああ・・・殿になりたい。
着替えから食事から入浴から、黙っていても下々の者が何くれと世話を焼いてくれて・・・
なあーんにもしなくても、不自由なく暮らせる・・・
・・・そんな殿に、おれはなりたい。
ああほら・・・、
労働過多脳溶解現象の、初期症状が・・・。
[ユウキがむせ込むのが聞こえると、わざとらしく脅しつけて遊んでいた。
が、ふいにそっと髷のカツラを手にとって、頭へとかぶりつつ・・・]
・・・勤労の義務?
人に押し付けるためにあるもののこと?
[・・・そらっ惚ける。
訂正を受けると、ばつの悪そうに目を逸らして]
何だよー。
細かい男は嫌われるよ、結城センセー。
ちょっと噛んだだけじゃん。
・・・ほら、おれ疲れてるしね。いつも。
牧野下だって間抜けじゃないんだから、まが抜けたくらいじゃ怒らないって。
十手ですか?
[ふとボールを投げる仕草を行おうとした所に結城の言葉が掛かる。視線を辿った先には時代劇セット。]
…結城センセーはわたしに岡っ引きになれと?
[高揚の感じられない、淡々とした声を上げた彼女はしかし機嫌が悪い訳ではなく元来の性格の為。]
[見ている本の古さを指摘されると、こくりと頷き]
確かに古いですが…なかなかいい事が書いてありますよ。「落雁が無いなら山吹色のお菓子をお食べ」とか。
[オレ流を机に置き、時代劇セットを手に取る。]
殴っちゃいけないなら、投げては良いですか?
[カツラを装着し手にした十手を向井めがけて投げようとする。]
見回りは良いけど報告書はお断り。だって水星人と金星人の見分け方、まだ把握していないから。
[そう呟きながらも、向井を見る表情は変わらない。]
向井のカツラの方が岡っ引っぽいわ。
[ポツリと呟き、凄く残念そうに瞳を伏せた。男二人は時代劇から勤労の義務について熱く語っている。]
勤労の義務…。
[小さく復唱したかと思うと、クルミは戸棚から白い紙とマジックペンを取り出し無言でなにやら書き出した。]
これでよしっ…と。
[数分後、満足気に額の汗を拭う彼女の視線の先には、モニタに記された見回りの上に重ねられた【パンパカ】という文字と、牧野下の上に重ねられた【腋の下】という文字が、燦然と輝いていた。]
[モニタに燦然と貼り出された紙を前に、一仕事やり遂げた女の顔で、爽やかな汗を拭うクルミ。
一方、ムカイは悩んでいた。]
まずパンパカに突っ込むべきか、それとも脇の下を窘めるべきか・・・。
・・・それが問題だ。
[ちなみに先刻までの問題は・・・。
女岡っ引の十手投擲攻撃から、いかに必要最低限の身のこなしで、それを避けるか、だ。]
馬鹿だなあ、牧野下ー。
・・・いや、脇の下。
[悩む事に疲れたムカイは全てを受け入れる事にした。
いや、前言撤回。
殿というよりは岡っ引に見えるらしい、カツラ以外の全てを受け入れることにした。
そんなわけで──。
凄く羨ましそうな目でそれを見ていた元・牧野下のために、自分の頭のカツラをそっとかぶせてやりながら]
見分けがつかないのなら、直接聞いてみればいいじゃない。
[向井からカツラをかぶせてもらったクルミの頭は当社比二倍状態になっていた。が、本人はとても満足気に頷いた。]
…それもそうね。本人に聞く方が一番正確よね。
ハイハイ、結城センセー。結城センセーは金星人ですか? それとも水星人なのですか?
[突破口を一つ与えてくれた向井に、とりあえず十手を投げるのだけは止め、勤労の義務を全うしようとしている結城に*訊ねた*]
・・・良くがんばったなー、おれ。
[大変満足した頷きを見せる、通常の二倍頭部のクルミの姿。
ムカイもまたやり遂げた男の顔をして、自分で自分を褒めてあげた。]
ははは。
やっぱりまだまだだなぁ、脇の下。
センセーは勤労星からやって来た、仕事人ですよね?
[ユウキへと生まれた星を問うクルミに、チッチッと指を振りつつ。
並んでごく真剣に、尋ねてみたりなど*している*]
腋の下ってさ、何で腋の下っつーんだろうな。
下って何だ下って。
[2人からの質問に]
私は土星人だ。
[答えると同時に顔を上げ、クルミの髷に気付いた]
牧野下、見回り係だってバレバレだぞそれじゃ。
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