[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
― 森の中 ―
[そこに入り込んだのは偶然だった。
『仕事』の途中、想定外のトラブルに見舞われ、納期に間に合うかが怪しくなり。
ならば、と地図上での最短ルートを取った。
それが、今いる森を突っ切るルートだった……のだが]
…………いや、さすがにここまでとは思わんかった。
[入り込んだ森は思いの外深く。
進む道は曖昧、戻る道も既にわからない。
この状況をどうするか、と。
思い悩む時間はあまり残されてはいないようだった]
……ぉ?
[ぽつり、ぽつりと落ちてくるしずく。
それが何を意味するか察した瞬間に取った行動は]
やべ、荷が濡れる……!
[運んでいたものを雨から守るため、雨宿りできる場所を探して走り出す事。**]
[とりあえず走れる所を前へ前へと駆けて行くと、鮮やかな色が視界を掠める。
それは、段々とその数を増やして]
……リコリス……だっけ?
[小さく呟き、木立の間を抜けて。
開けた空間に出た瞬間に飛び込んできた光景に、思わず足を止めた]
……なんだ、これ。
[口を突いたのは、こんな呟き。
目に入ったのは、一面の緋色。
咲き乱れる緋色の華の間には道らしきものが一筋見え、その先には森の中にはいささかどころかかなり不釣り合いな屋敷が見えた]
…………ぁー…………いや、背に腹は代えられんわ。
[このままずぶ濡れになるのはいただけない、と割り切って。
緋色の中を駆け抜け、重たい雰囲気の扉の前に立った]
あー……すみません、何方かいらっしゃいますかー?
[どんどん、と叩きながら呼びかけると、応ずるように扉は開いた。
扉の向こうはやや広めのエントランスホール。
その奥の階段の前には、黒いドレスを纏った小柄な人影が佇んていた]
突然申し訳ない……見ての通りの旅の者なのですが。
雨が止むまで、軒先をお貸し願えませんか?
[呼吸整え向けた問いかけ。
それに返るのは感情の感じられない淡々とした声。>>#3]
え? あーと……。
[言われた意味を把握し損ねていると、いつの間に現れたのかメイドと思しき女性がタオルを差し出してきた。
二階に客室が用意してあるから、自由に使って休んでいい、との言葉は予想外で]
あー……ありがとうございます。
[一瞬、疑うという概念が綺麗にすっ飛んでいた。**]
[借りたタオルで滴を拭いつつ、視線が向くのは佇む娘。
最初の出迎えの後は全く口を開く気配もない]
…………。
[ふと、思い返すのは雨の中を駆けた時に聞こえた声。>>#0
走る事に集中していたから、そちらに意識を割かれる事はなかったのだが]
(……似てたよなー)
[先の呼びかけと、その声と。
それらはどこか、似ていたような気がしていた。*]
……お。
[水滴を拭いつつ、荷の状態も確かめないとなー、なんて考えていた所に増える気配>>10]
雨宿りのお仲間さん……ってとこかね。
[小声でぽつり、呟いた後。
新たな来訪者がこちらに気づけば、どーも、と軽い調子で手を振った。**]
[落ちた呟きと重さを感じる吐息の意は知れず、瞬き一つ。
それでもそこを追及する事はなく]
ああ、まあ、そんなとこ。
近道しようとしたら、雨に降られちまってねぇ……。
雨が止むまではまあ、よろしゅうに。
[笑みと共に向けられた言葉>>12に、軽い口調でこう返して]
……さて、とりあえず、部屋お借りしますかね。
このまま風邪ひくわけにもいかんし。
[『荷』の確認もしなければならないから、とは内心のみの呟き。
ともあれ、男は場にいる者たちに一礼すると、階段を上がって二階へと。*]
[階段を上がって二階へ。
上がった直後に控えていたらしいメイドにこちらへ、と声をかけられた。
訝りながらもついて行けば、部屋の一つに案内される。
必要なものがあればなんなりとお申し付けください、との言葉に着替えを頼んだら、既に用意しております、と返された]
いや待て、どんだけ。
[至れり尽くせりなんだとの言葉は飲み込む。
雨宿りが出来たのは幸運だったと思うが、本当にそうか、という疑問がちらりと過った]
とはいえ、今更かねぇ。
[そんなぼやくような呟きの後、部屋へと入り。
備え付けの浴室で身体を温めた後、最初に取り掛かるのは『荷』の確認。**]
[『荷』の無事を確認した後。
さて、どうしたもんか、と思ったものの、このままじっとしているのも落ち着かなかった]
……ちょっと歩き回るのは、アリかねぇ。
[そう思う理由は好奇心半分警戒半分。
何かあった時にすぐに動けないのはヤバイ、という思考から。
根拠なしの直感だが、それに従って生きてきた過去があるから従う事に躊躇いはなく]
んじゃ、ちょっといってみますかっと。
[軽い口調で呟いて客室を出ると、宛てなくゆるりと歩き出した。**]
[上に行くか下に行くかの二択は、コイントスの結果、上。
階段を上り切った先、別れている廊下の一方に行こうとしたらどこからともなく現れたメイドに阻まれた]
え? この先は主氏のプライベートスペース?
ぁー……そりゃ、失礼を。
[さすがにそう言われては踏み込む事もできず。
ならば、と踵を返して向かった反対側には小さな扉]
……こっちは、入ってもいいって事……かね。
[小さく呟き、扉を押し開け。
直後、目に入った光景に呆然とした]
は? 総ガラス張りの部屋?
[なんの冗談だ、と言いたくなるような光景が、そこにあった。
上を見れば降りしきる雨が、周囲を見回せばその雨に濡れる透明な壁がはっきりと見えた]
展望室……とか、そんな感じかね……。
いやはや、とんでもねーな。
[何をどうすればこんなものが建てられるんだ、という突っ込みは飲み込んで。
代わりに大きく息を吐くと、しばし、降りしきる雨に見入る]
……こりゃ、そうは止まねぇなー……。
[注目していたのは、主にそこ。*]
……お?
[聞こえた声と人の気配に振り返れば、そこには先にエントランスで挨拶を交わした姿。>>29]
おや、そちらもお散歩ですかと。
[ガラスの向こうを見つめる横顔に、駆ける声は軽いもの。*]
ま、確かに落ち着かんねぇ。
[苦笑と共に向けられた頷き>>31に、こちらも似たような表情を覗かせて]
ああ、こりゃ、しばらく止みそうにない。
……屋根のある所に入れてもらえただけマシではあるけど、ね。
[ただ、その場所が妙に胡散臭いというかなんというかなのが問題なのだが、そこはわざわざ口にはしない。
不安帯びたようなため息に、それを煽るような事は避けた]
ま、なるようにしかならんでしょ、この状況は。
雨やみまでは動けないんだし、今はのんびり……っと。
[のんびりしたもん勝ち、と言いかけて。
ふと思い出したある事に、言葉が途切れた]
ぁー……一応、名乗っといた方がいいかね。
俺は、アルマウェル。
雨止みまで、よろしゅうに。
[そこから、相変わらず軽いままで繋げたのは名前だけの自己紹介。**]
そうそ、こればっかりは文字通り天の采配、だからねぇ。
[なんて言って、軽く笑って。
返された名>>34を記憶に刻みつつ、返される礼の優美さに一瞬、目を細めた]
あー、うん。
森の中にこれだけの屋敷を作れるってのも半端ないけど。
……俺もここまでのは初めて見たわ。
こんだけのものは、そうは作れんだろうねぇ。
[屋敷と部屋に関しては呆れと感心を半々に込めた言葉を返した。>>35
下に更に予想の上を行く空間がある事>>38今は、知る由もなく。*]
[雨に濡れるガラスを眺めていたのはそう長い時間でもなく。
室内をぐるりと巡った後、展望室を離れた]
(周りは完全森、か……ほんとこれ、雨が止んで陽が射さんと道探すどころじゃねーなー)
[階段を下りながらの思考は声には出さず。
さて、次はどこへ行くかと思案しながらの歩みは当て所ないもの。*]
/*
とりあえず、うん。
参加とマップ開拓ありがとうございます……! と叫ばせてほしい俺がいます。
どーにか、廃村は回避できそう……というところで。
さて、希望どーすっかねー……。
[階段を一階まで降りきる。
エントランスには相変わらず、黒衣の娘が佇んでいた。
何となく話しかけにくい雰囲気に、会釈して脇をすり抜けるに止め、続く廊下の一方へ踏み込んで行き]
……さっきの展望室の真下はこっち、だよな。
[さて、この先には何があるか。
そんな事を考えながら、一見のんびり、その実、視線は鋭く辺りを見回しながら歩いてゆく。*]
……お。
[向かう方から来る姿に、瞬きひとつ]
そう、聞いて来るって事は、そちらさんは屋敷の人じゃあないっぽいね。
残念ながら、雨宿りさせてもらってる通りすがりだよ。
[愛想のいい笑みと共に向けられた問い>>44から察するに、あちらもご同輩であるらしい、と。
そう、判じたから、軽い口調でこう返した。*]
はいな、お仲間でした。
俺はアルマウェル……まあ、よろしゅうに。
[名乗り>>46にこちらも名乗りで返して。
ため息つく様子に、ひとつ、瞬いた]
まあ、ここのメイドさんはよっぽど教育がいいのか、無駄話の隙もないからねぇ……。
とはいえ、あのお嬢さんも話しかけ難いというかなんとかいうか……だし。
[自分もさっき、それで避けたし、とは言わぬものの、声音には多少なりとも滲むものがある]
……助けてもらっといてなんだけど、人間味が薄いんよなぁ……。
[ぽそ、とついつい漏らした本音は、さすがに小声だった。*]
[ぽつりともらした本音に返る同意。>>48
自分だけじゃなかったか、と思う反面、この場所への得体の知れなさが積み重なる心地がした]
……まあ、ただモノじゃあなさそうだわな。
こんな状況でもなきゃ、関わりたくない感じ。
[はあ、とやや大げさにため息をついた後。
後ろに向いた視線を何気なく追ったなら、目に入るのは鮮やかな緑]
げ、あの下、こうなってたのか。
……強度とか、どうなってんだこれ。
[呆れ半分戦慄他半分。
そんな響きの呻くような声が零れて落ちる。
何のことかと問われるなら、三階の展望室の事にも触れて]
いやほんと。
……はやいとこ雨、止んでほしいわ、こりゃ。
[がじ、と頭を掻きつつ幾度目かの息を吐いた。*]
[言われなければ気にしない、故に笑って誤魔化された部分には突っ込む事もなく。>>50]
おう、雨のせいで、今はほとんどなんにも見えんけどね。
確かに、妙な作りだよなぁ。
しょっちゅう人が通るような場所でもなさそうなのに、ここ。
[じゃあなんでいるんだ、と言われたら、事情があって、というしか無いわけだがそれは一時置いといて。
地下がある、という話題は記憶に刻んでおいた]
まーね、雨が降ってる間は、身動きとれんしねぇ。
[肩を竦める様子に、こちらが浮かべるのは苦笑い。*]
晴れたら眺めはよさそうだけどねぇ。
[実際、上からあの緋色を眺めたらそれはそれで絶景じゃないか、とは思うのだがそれも晴れていればの話]
ん、そうだな。
押し掛けてきた見ず知らずへの厚意は受け取っておきますか。
[それ自体は構わないから同意して。
どーする? と問われる>>52と緩く腕を組んだ]
んー……とりあえず、そこの庭園は見ごたえありそうだし。
ちょっと、覗いてから大広間に行くわ。
[空腹は感じているが、室内庭園と言うのも興味がある。
だから、まずはそちらの好奇心を満たす事を優先する事にした。*]
おう、それじゃ楽しみにしていよう。
[見ごたえあるのは間違いない、という言葉>>54に楽し気な笑みを刹那、掠めさせ]
ああ、んじゃあ、また。
[こちらもひら、と手を振り返し、扉の向こうに見える緑の空間へ向けて歩き出した。*]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ