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えっ。
ジロウさん……整形したの?
再婚な分けないわよね? ハガキにはジロウ&マチコ(はーと)って書いてあるし。
旦那さん。変わったお名前なのかしら?
なんだ、ジロウ知ってんのか。つまらん。
[よっぽど暇だったらしい]
駅前の旅館「鶴賀」のゼンジと申します。
若旦那若旦那って呼ばれてるんで思わず、ね。
[からから笑いながら、何だかんだでギョウザ作りはし続けている]
なっ……もう冗談はやめてよ。びっくりしたじゃない。
私、マチコの友達だもの。ジロウさんの顔くらい知ってるわ。
[むぅと膨れたあとに苦笑する]
露草ザクロよ。いちおう、歌手やってるわ。
若旦那さんなの?
器用なのね。
若旦那さんって色々できるのね。
私も何か手伝おうっかなー。
え? マチコなんで止めるのよ。ひどい。
今までに料理で病人なんて出したこと無いわよ!
祖父も父も現役バリバリなんで、影薄い若旦那です。
ああ、どこかで見たお顔だと思ったら、歌手の!
[じっとザクロの顔を見つめた]
すみません適当言いました。記憶にございません。
[粉がついた手を叩いて水道水でゆすぐ。
ギョウザが並んだ皿をマチコに渡すと、タスキを解いた]
[一瞬だけ嬉しそうな顔をしてしゅんとしたあと、気を取り直すように笑った]
うん。まだバリバリ無名だから!
若旦那さんが影薄いなんて、ずいぶん激しいお爺様とお父様なのね。
鶴賀ってきっと素敵な宿なんでしょうね。
こんばんはー。今日の晩御飯なにかなー?
[勢いよく飛び込んでくると、餃子のお皿が目に入る]
わーい!餃子だー♪ぎょーざ、ぎょーざ♪
[そこで、初めて見慣れない人たちがいることに気がついた]
あ、はじめまして。みなせるりといいます。
[ぺこりと頭をさげた]
あらら、可愛いお客様ね。
はじめまして、こんばんは。
私は 露草ざくろって言うのよ。よろしくね。
[にっこりと微笑んで丁寧にお辞儀した]
切り盛りしてるのは大女将ですけどね。
[現れた少女に微笑みながらしゃがんで、目線をあわせた]
おや、初めまして。つるがぜんじです。
一人?
ザクロおねえさんと、ゼンジおじさんですね。
よろしくおねがいします。
[もう一度頭をさげると、しゃがんできたゼンジと視線があった]
うん。パパはお仕事があるので、あとで遅れてくるんだって。
パパと一緒にお泊り、たのしみなの!
[うれしそうに話す]
「このクソガキ」という言葉が喉まで出かかったじゃないか。
そっか、パパにあったら教育について話し合いたいな。
はははははー。
[それでも営業スマイルをたもつのは、悲しい接客業の性]
大女将さんなの。
きっとしゃきっとしているんでしょうね。
[ゼンジの乾いた笑いを耳にして、微笑む]
お父様とのお泊りなのね。それは楽しみね。
あのね……ゼンジおじちゃんじゃなくておにいちゃんなんじゃないかしら?
いや、まあ、いい年ですけどね。
無邪気に言われるとグサッと来るのも正直な気持ちなわけですよ。
普段未熟者扱いされてるから余計来た。
ええい、そこ煩い!
「やーいおじさん」っつったの聞こえてんだからな。
俺がおっさんならジロウもおっさんだろが。
[マチコからの野次に反撃]
おじちゃん、怖い…
えっと、パパと同じくらいに見えたから…
[そこにザクロの話を聞いて、『あ、しまった』という顔になる]
え、あの。
ゼンジおにいさん、ごめんなさい。[ぺこり]
いい年なの?
あまり私と変わらないかと思ってたわ。
ジロウさんは……落ち着いてるのよ。ね?
ちょっと待って! マチコ怒らないで! ここ台所だから怒ると危ないわよ!
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