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[懐中電灯がわりに自転車から外してきたライトが、
歩きながらスイッチを弄るゴロウマルの手の中で
ちか、ちか、と光って斜め下から仏頂面を照らす。
犬は、振り返らないゴロウマルの後ろから
あっち嗅ぎ、こっち嗅ぎとしながら歩いてくる。]
割と集まってンのな。
[やがて、校門に集う人々へゴロウマルが声を
かけるらしきに立ち止まり…ぴんと耳を*立てた*]
やー、どもども。
呼ばれて飛び出て来ちゃいましたぜ。
[ざっと見回せば、既に幾人か。それに続いてパラパラとまだ集まって。
何人集まるかなんて知らないけれど、何だかんだで調度よかったのかとおもいつつ。]
兄貴?うんにゃ、見てないなー。
こっちはひたすらセンセのパシりしてたかんね。
来るんだ?
[マシロの問いかけにはそんな答え。]
そうけ、会っとらんか。
絶対に行くって言っとったんやけどな。
ただ、兄貴の事やから……
忘れとるかもしれんし、一応メールしとくか。
[ナオの返事を聞くと頷き、携帯を取り出してはぽちぽちとアンにメールを打った。
それから、やがて訪れた新たな姿に]
……ん。あ!
ゴロー先輩や! 来た!
[テンション高く反応し、その姿を不躾に指差した。あっと気が付いたように指を引っ込めてから]
こんねー、です。
私、二年の葛城っていいます。葛城真代。
―放課後の音楽室―
[キイ キコ
キイ キコ
ひとつひとつ外れた音が、長い時間規則正しい間隔で音楽室を満たしていた。目を閉じ恍惚とした表情のまま左右に揺れていたその音の作り手は、ゆっくりと眸を開けると]
あら。
[いつの間にか部員が誰もいなくなっていたことに気づき、小さく首を傾けたのでした]
今日は宜しくお願いします。
[ゴロウマルに向け、にっこりと笑って挨拶し]
あ、せやせや。確か……あったあった。
[鞄を開いてごそごそと漁っては、端がぎざぎざな透明の個包装を一つ取り出す。中身は、四角く薄く、透き通っていて、きらきらと金箔が入っている飴]
どうぞ、これ。山吹色の菓子ですぜ。
受け取って下せえ、お代官殿。
[そんな事を言いながら、合わせた両掌の上にそれを置き、ははー、と頭を下げて差し出した。
良かったら、と他の面々にも飴を勧め]
犬、可愛いですね。りくつそうやわあ。
飼っとるんですか?
それとも、偶然会って意気投合したとか?
[ゴロウマルが連れている犬を見ては、興味ありげに]
ま、まだ時間はあるんでにゃい?
[ぷちぷちとメールを打つマシロを目で追って、そのの近くでぼそりと一言だけで隠れてしまった男子には、ん?とどうしたものかと小首を傾げて、隠れた先を少しだけ覗き込もうと。]
[日が長い夏だけれど、すでにもう陰り出していて。
そんな中、新しく来た人は、進んで関わろうとは思わない様なカテゴリの人で。]
う、ホント誰彼誘ってるのね……
[と零したとか。]
・・・?
[覗き込んできた女生徒に首を傾げる]
あ・・・
[そういえば自己紹介もしてなかった事に気づいた]
えっと・・・一年の結城っていいます。よろしくお願いします。
[頭を下げながらも、目の前の女生徒よりも不良っぽい人が近くにいる。という怖さのほうが勝っているらしく、落ち着きなさげにちらちらとゴロウマルのほうを見ている]
なんじゃ、こら
[下校時刻を随分過ぎても、まだ終わらない書類整理]
なんじゃ、こら
[大事な事なので、二回も独りごとを言ってしまった
生徒会なる物は、元来真面目なタイプの生徒が集まる物なはすだ
なのに、なんで俺一人………
いや、俺が悪いんだけれども
皆用事があるとか言って、帰るのを止めなかった俺が悪いんだけれども]
くそ、誰か残っとらんやろか
有無を言わせず、手伝わすのに
[マシロが飴を勧めていることに気づく]
あ、どうも・・・
[遠慮がちに一つ受け取り]
・・・
[包装を破り]
・・・
[飴を取り出して]
・・・
[パクッ]
・・・おいしい。
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