[1] 絞り込み / 発言欄へ
うぬ、ぬぬぬ……っ
[玄関の引き戸は、長い年月を経て人の出入りを拒む有様だった。
指が白くなるほど力を込めると、ぱらぱらと埃とも砂粒とも知れない物が落ちてくる]
こなくそー!
[足をつっかえ棒よろしくサッシにかけて、踏ん張る。廃屋の軋んだ音に冷や汗が出るが、他から入ろうとは思わなかった]
[緩急を付けて戸を引く。ぎし、ぎし、と鳴る音と共に、ようやく人一人通れるほどの隙間が開いた]
……ふう。
[額の汗をぬぐう]
馬鹿なことしてると思ってるんでしょ。うるさいよ。
[満足そうな顔に、ほんのりと笑みを足して]
ただいま。
[いつかと同じように挨拶すると、埃の舞う屋敷へ上がり込む*]
[1] 絞り込み / 発言欄へ