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ずうっと昔から この子を持ってるからねえ。
新しいお召し物用意してあげなきゃ、そろそろ怒り出しそうなんだ。
あたしより後に生まれた子供の方が、ずっと可愛い服を着てる――ってぇ、
この子ったら 最近へそを曲げててねえ。まったく困っちまうよ。
[笑みの名残で震う声のまま、随分長くそばに置いてきた人形の髪を撫でつけた。]
[伸ばされた奈緒の手が化学繊維の髪に触れる。
人形の髪を上下に梳るように撫でていた指先が、水分を失い、針だこができ、
そして年月を蓄積してきた指先が、瑞々しい十代の女の子に触れた。]
[おや――。と、声に出さぬまま、皺に埋もれる眼が僅か大きくなった。
条件反射のような、怯えのような、触れるを厭うような若い震えを看過することはなかった。しかし、それを幾重にも刻まれた歳月の中に隠す術を――奈緒が厭うたものによって隠す方法を、老いたからこそ知っていた。]
……そうさねェ。
だから、婆ちゃんも可愛い女の子でいたいのさ。
だから
今度、外出できたら、
くれぇぷ を食べにいこうって、思ってるんだよ。
うふふ。 内緒だよ。
甘いものはやめときなさいって言われちまったからね。
[わざとらしく周囲を見渡す素振りを付け加え
老婆――田中ぼたんは、笑い声を漏らした。それは彼女が思っていた以上に、一音一音のはっきりした*笑声だった*]
おすすめの店、
約束だよう。
[さして大きくもない、末尾の震えた音で奈緒の背を見送る。
小さく振る手は、背を向けられた後もしばらく続き]
奈緒ちゃんがおばあちゃんになるのは、
……、……。
[さよならと降った手で、人形の髪に触れた]
そうさねェ、
かなり、先の話さ**
今度は りくえすとしたら
歌ってくれるのかね
童謡なんぞォ、あの小っちゃい子たちも交えて歌えたら楽しいだろうにねえ
[人形に語りかけるように 一人ごち]
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