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いえ、気にしないで下さい。
いいんです。貴方は違いますから。
違う。多分。……、いいんです。
[結城が謝罪するのを聞けば、其方に顔を向ける事はなくも、代わりに緩く頭を横に振って。零した言葉は、半ば独りごちるよう]
心の、……
先生。
[続けられた話に、ふと一際はっきりと呼びかけ]
先生は、人の心は何色だと思いますか?
先生には、怖いものはありますか?
[そう、二つの問いを紡いだ。マフラーの端を摘み、その辺りに視線を落とすようにしながら]
……、……違う、……?
――なに、と……?
[「気にするな」という言葉よりも、「違いますから」という言葉への違和感に、表情を曇らせた。
「違う」という事は、何かと比較されたのだろうけれど、その比較対象が、わからない。
真意を知りたくて思わず腰を屈めた瞬間、今度ははっきりとした意志で紡がれる言葉に、引き寄せられる。]
人の心の、色……、怖い、もの。
[変化球のような問いだった。確かめるように紡ぐ響きは次第に、医師としての自分の声音とは異なり、素の低さが混じってしまっていたかも知れずに]
人のこころは無色透明だって、昔読んだなにかの本に書いてあった気が、しますね。
相対するこころの色を汲み取って、赤になったり、青になったり変化する、という。
怖いもの、は……、うーん、……ありますね。
[後者へは言葉を濁してしまうものの、努めて平静を保った声音にはなったか。かすかに俯いたまま]
[視界の端、お下げ髪の小児科患者の姿を見止めれば、軽く手を振り挨拶するだけの余裕はまだ、存在している。]
……人の心は。
極彩色なんだと、思います。
この世界のように。この世界の言葉のように。
[結城の返答を聞くと、一度頷いてからぽつりと零した。
男には、本来無色なる音も、匂いも、色付いたように感じられる。男には世界は酷く鮮やかに見えていた。今はサングラス越しであれ]
そうですか。……そうですね。
私も、怖いものはあります。
怖いものがあります。どうしようもなく。
それは此処まで来ても、逃げられていないんです。
[もう一つの返答には、両手を肘掛けに戻しながら。詳細を質す事はなく、言葉を重ねた]
このまま足がなくなっても、きっと変わらない。
足には何も関係がない事ですから。
[結城が現れた少女に挨拶をすれば、男もその気配に気付き、其方を向いて会釈をした]
今日は。
303号室
[孝治は窓をみつめていた。景色ではなく、窓を。
そして徐に視線を戻し、一人呟く]
…あと、何日だろうな。
[自分にとっては普通のことだと思っていた。
ただ、…はもう。
自分は駄目なのだろうな、となんとなく思っていた。]
ああ、確かに。
無色でぱっと色がつく、っていうよりも、元々どんな色も持っている、っていう解釈の方が、しっくりきます。
[「世界」「言語」、その喩えは心の奥にストンと降り、彼の言葉に酷く共感できた。と同時に、自分と柏木では、世界の見え方が異なるのかも知れない、とも感じていた。]
柏木さんは画家さんだから、……より美しく、感じ取れるのかもしれませんね。
[色彩感覚豊かな彼にもまた、怖いものが存在する。
追われているイメージを、何処と無く察した。
軽く伏した視線の奥に、柏木の足を映し出す。切断の予定がある事を院内で知らぬ医師は、居ないだろう。
足を失う事が怖いのだろうか、とも一瞬考えたけれど…物理的なもの、ではない、何かに柏木は追われているようだった。]
僕のも、……柏木さんと似たようなものですよ。
……内容を口にしたら、笑われそうですけれど。
どうしたら、……『それ』を、怖いと思わなくなれますかね…?
[彼と自分、全く異なるものに追われているのかもしれないけれど。
ぽつり、抑揚の無い音階で最後の言葉を*呟いた*]
むしろ、逆、ですよ。
私は……私には、世界はとても鮮やかに見えたから。
その世界を、描き表したいと思ったんです。
自分の見る世界を、人に伝えたいと思ったんです。
[感じ取れる、という話には、少しだけ帽子の鍔を上げ、一たび結城の方を見上げるようにしながら]
それが、どれだけ叶っているかは……
別ですが。……
……それでも、切欠はそうだったんです。
[故に男の絵は、世に出る以前から極彩色を基本としたものだった。現在の「共通点」を持つ絵を描くようになったのは、ある時期を境にして後の事だったが]
どうしたら。……どうしたら、いいんでしょうね。
何処まで行ってもそれは追ってくる。
[呟きには、やはり呟きらしく]
……いっそ自分が消えたら?
それの勝利になるのかもしれない。
それでも。いっそ。
……、ああ。
でも、消える事も難しいんです。
そう私にはわかっている。
どうしたら、いいんでしょうね。
[再び鍔を下げ直し、ふ、と、溜息には届かない微かで短い吐息を零した]
消せたなら。
何も問題はないんですがね。
[かさり。
一枚風に吹かれて落ちた緑の葉を*眺め*]
寒いねえ。
[風が少し強い。
千夏乃はオーバーの襟をぴったり合わせて、小さな体をさらに小さくしながら、歩いた。]
"寒いね"と話しかければ"寒いね"と
答えるひとのいる温かさ
[教科書に載っていた歌を思い出す。ぎゅっと抱きしめた羊は柔らかな圧力を返す、が、何も答えてはくれなかった。
もっと小さな頃なら空想で補えていたのに、大人になるとはこういうことなのだろうか、と、小さな哲学者は思う。]
こんにちは。
[手を振る白衣の医師の姿が目に入って、千夏乃は歩み寄りぺこりと頭を下げた。ここで何度か会ったことのある、確か内科だったか、外科だったかの医師だ。
千夏乃が普段検査や診察で訪れるのはもっと長くて難しい名前の部署だったから、彼を病棟で見かけたことは、なかったが。]
…こんにち、は?
[帽子にマフラーにサングラス、といういでたちの男の人には、少したじろぎながら。]
お散歩ですか?
――結城先生。
[ちらりと名札を確認して、その名を呼ぶ。
交わされたのは、きっと他愛もない言葉。彼らと別れた後も、千夏乃は暫くの間中庭を散策するだろう。そして、再びこっそり病室に戻る頃には、目を三角にした師長が待ち受けているのだ。
これがいまの彼女の、*日常*。]
ラウンジ
おばあちゃんは可愛いよ?
私もおばあちゃんみたいに、なれたら……
[止まっていた手で、最後にもう一度人形の髪を撫で、腕をひいた]
クレープ、食べるの大変だけど好きだよ
甘くて、ふわふわで……幸せの味がするよね
お薦めのお店あるから、案内するね
[約束だよ、と少女は笑う。
ぼたんの笑い声に重なるように、目を細めて歯を見せた]
…歌、だな。
[階下の方から、歌が聞こえる。
今日もか、なんとも思うのだけれど、
その声は澄んでいて。]
俺は、ここで…か。
[記憶を思い返してみても、思い出すのは学校よりも病院の記憶。
なんせ1年を連続して学校に行けた試しがない。
小児科の人にはお世話になった。
今もこうやって、お世話になっているし
。]
まあいいや…どっか行くか。
[特に当てもないけど、と呟きつつベットから起き上がる。]
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