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しっかし…
[小さく呟いて、私はハンカチで汗を拭う振りをして口許を隠し押し黙る。
狭苦しい機械の中、元々あまり歓迎される類の雰囲気が漂う空間ではないことは承知しているが、それにしてもブザーの一件後から、私は何かが引っかかって仕方がなかった。
訓練用のブザー。あれは操作側で設定が出来るのか。
出来るのかもしれないが、だとしてもあれほどの衝撃を受けた後、安全確認もなく動かすのは明らかにおかしいだろう。]
なぁ、ワカバ。交代するとき、何か教員から指示があったか?
[指示があったのなら一番受けて居そうな人物に、私は声をかけた。]
錘が無くても困らないなら、出してもいいだろうけど…
[ワカバの提案には唸るような声をあげて答えるも、どこか上の空でしかなかった。]
『なんで、「ひとり」なんだろう?』
[忘れてた足の痛みが疼きだす。]
『なんで、「追い出す」なんだろう?』
[私は痛みから逃れるように、窮屈なヒールの中で蠢いた。]
『もし、誰かを追い出した後、「その人」は一体どうなるんだろう?』
[突き付けられた事実の中に潜む、言葉を深読みするのは、私の趣味でも本の読み過ぎだろうか。
だとしたら、それは杞憂としてやり過ごすだけで*いいのだけれど*]
ま、ざっとこんなものかな?
[マシロの意識に憑りつきし者は、裡で自賛の笑みを浮かべた。]
道連れは多い方が良いに決まっている。
だから。
[くっと押し殺した笑みが引上げた左の口角から漏れる]
入れ替わりを悟られないようにしないとな。
むしろ。ひとりしか出てはならぬ…ということではないのか?
[何百連打目か、あろうことか少女は舌打ちをして、何の反応もないボタンから手を離した。なにやら一斉にねめつけられるなかで少女は胸を張ってみせる。]
私はお役目を務めただけ。追い出される謂われはないな。
[だけ…だろうか。私は思うが。]
"ひとり"なのだろう?オモリをそうは呼ぶまいよ。
[そう、うそぶいて
少女はアンの向けるカメラに、ニヤリと笑って親指を立てて見せた。]
誰の悪戯かな…。私の目は、ごまかせない。
[おまえだろう…
不敵な笑みを浮かべて辺りを見回す少女に私は、思ったものだ。]
/* チラシ裏
寝る前に覗いてチカノに噴いた。
どまんなかって、かっこよすぎだな。
あれ? 喉回復は24hだよね?
それを見越して無様に表は4pt残しだんだが…。
(赤は使い切り済み)
[――ひとり。
ただでさえ狭い箱の中、不具合が見えれば更に不安。
違和感を冷静に考えられる余裕はあまりない。
チカノの"ひとりしか出てはならない"という言葉に、そんな考え方もあるのか、とぼんやり想う。]
えっ……と。
[先程までワカバが行っていたらしいオペレーターを、今度は自分が務める必要がありそうで]
あ、ありがと。
[サヨがスッと手渡してくれた紙に目を通そうとした時]
「── ひとり 追い出してください ──」
……?
[怪訝そうな視線は、声のしたあたりをゆらゆらと]
[マシロにそう返し、やはり視線は俯きがちに。]
大丈夫かなぁ……
いきなり、プツンてきれて、
エレベーターごと落ちたりなんて……
[それは物理的な恐怖。]
降りる、なら
立候補したいくらいだけど。
[追い出す――。
そう言われると、拒否したくなる。
追い出された人には、どんな不利益が生じるのか。
思考はいったりきたりを繰り返す*だけ*]
[紙に何か書きかけて、すぐに手を止める。
各々の言を吟味してみるというには、
いささか思案に費やせる時が足りない。]
… なんだか、
緊急時に、優先してお逃がしすべき
お客さまをあてる課題とも取れるのね…
――でも、
私はおもりを下ろすワカバの案に 賛成。
[推測とは裏腹に、前にいるチカノの脇腹を
くすぐって錘の上からどかせようとする*。]
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