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みなさん、個性があってすてきですね。
クルミさんとテンマさんの
手紙のくだりがとてもすてきだ。
どんな関係性ができあがるのか
楽しみです。
何色が好き、とか
聞いたら駄目だろうね
[先に言われてしまった「ありがとう」に、ほころぶというより歪んでいた口元はゆっくりと柔らかくなった]
約束だ
部屋に戻ったら、すぐに書くことにするよ
[お互い、いつまで入院しているかわからない。
けれどきっと、先が見えないのだろうと。去っていく背中を見送った]
ううん、こわくないよ。
[笑顔はそのままに。
あっさりと首を横に振る]
るり、まいにち、おほしさまにおねがいしてるの。
いいこにしてたら、きっとかなえてくれるんだ。
だからね、こわくないよ。
[秘密を打ち明けるように声を潜めようとして。
けれど甲高い声は、内緒話には向いてなく。
そんな事気付いてないのか、くすくすと笑う。
しかしその後、ふっと俯き]
それに…。
ばくだんをね、とりのぞかないと…。
るりのしんぞう、こわれちゃうから。
[表情を見せぬように小声で言った後。
そんな事無かったように再び笑顔で顔を上げて]
そろそろ、びょうしつにかえらないと。
ジュースはあとでのむね。
せんせい、ほんとうにありがとう。
―屋上にて―
「そうか、そうかァ…
かみさまは、お嬢ちゃんがそうして
思い出しながら吸ってくれるのを
喜んでるだろうなァ…」
[おじさまのことばに、わたしは笑ってうなずきました]
そうだったら、嬉しいです
[かみさま、かみさま
わたしは、あなたのことをわすれたくありません
あなたの好きなもの、好きだったもの、いまはまだぜんぶ全部言えるけれど、覚えているけれど
いつそれがわからなくなるか、わからないのです
わたしはそれが、いちばん怖いのです]
[>>44]
ですから、どうか
あなたとおなじせんたくをしても
おこらないでくださいね
きらわないでくださいね
わたしは、あなたのことがだいすきなのですから
「危ないよ」
[おじさまの声に、わたしは振り返ります
あぶないでしょうか、そうでしょうか
それは、死ぬことを怖がる人だけの話です
わたしは、そんなものはこわくありません
だって、かみさまはあんなに綺麗にしんでいったのですから
だから、わたしだって怖くないのです
本当はちょっぴり怖いけれど、わすれてしまう事の方が怖いから、やっぱり怖くないのです]
「お嬢ちゃんの彼氏かァ、そりゃあいい
早く退院して、仲良くやんなァ」
[屋上のとびらに向かうとちゅう、背中ごしに聞こえた声に、わたしはまた振り返りました
そうして首をかしげます]
ひろくんは、わたしの彼氏じゃあ、ありません
[わたしにとって、ひろくんはひろくんです
いわゆるコイビトではありませんでした
たぶん、ですが]
[それから、手を振ってくれたおじさまに、にっこり笑って手を振りかえして、わたしはそのまま部屋に戻ったのです*]
そう、お星様に
良い事だね、きっと叶えてくれるさ
良い子にしてたら、きっとね
[潜めようとしたであろう声に、答える。
少しだけ小さな声で、彼女に習って。
もっとも、内緒話にするつもりもない。
きっと、近くにいる者には聞こえるだろうけど。]
そっか、爆弾か
壊れる前に、とっちゃわないとね
[一度下がった顔に、疑問符が浮かんだ。
けれど、再び上がる顔は、笑顔のままで。]
私にとって、かみさまは父親のようであり、兄のようであり、恋人のようでした。
私の世界を彩ってくれた人でした。
私の全ては、かみさまによって作られたのです。
生きる術を教わりました。
読み書きそろばんを教わりました。
他にもたくさん、たくさん、教えてくれたのです。
私は、そんなかみさまが好きで好きで、どうしようもなく好きでたまらなかったのです。
ああ、かみさま、かみさま。
どうして、私も連れていってくれなかったの。
ああ、急がなくていいからね
ゆっくり飲みなさい
無くなったら、またおいで
良い子にしてたら、また買ってあげよう
結城先生は何処ですか、って聞くんだよ
[ありがとう、と言われれば悪い気はしない。
笑顔で見送る事にしよう。
それから、あとでカルテは確認しよう。
忘れないように、しっかりしないと。]
[車椅子の音が完全に消えた頃]
……ふっ
[思い出汁笑いの後、誰にもみられていないだろうかと、廊下を見渡した。
その後、売店に立ち寄った。
長く留まる人もいるからか、簡素なレターセットならば、置いてあった。事務的な無地のものと、少しだけ飾りのついたもの。二種類だけ。
真っ白なほうを手にとって、キャンディ一袋と共にレジで袋にいれてもらった]
うん、るりね、おほしさまだいすきだから。
それじゃあ、せんせい。
またね。
[にこにこ頷いてから小さな手を振って。
缶を持ち直すと、廊下を歩いて病室へと戻っていく。
早く戻ってジュースを冷蔵庫に入れないと]
―926号室―
[部屋にもどると、ひろくんがいました
それからお寺さん、この人の事を、わたしはみつおじさまと呼んでいました
ひろくんは、お土産だと言っておいしそうなケーキを持ってきてくれました
ひとくち食べると、優しい甘さが舌のうえに広がって、とってもしあわせな気分になれます]
なんて言うケーキなんですか。
そう問いかけると、ひろくんもみつおじさまも、ちょっぴり悲しそうな顔をしました
どうしてだろう、わたしにはその理由がわかりません
ただ、ふたりの悲しそうな顔を見るのは、好きではありませんでした]
[フォンダンショコラ。六花がよく作ってたケーキだよ。
ひろくんは首をかしげるわたしを見て困ったように笑い、そう教えてくれました
でも、おかしいのです
わたしには、こんなおいしそうなケーキを作ったおぼえがありません
そう言ったら、みつおじさまがこう言います
アイツに良く作って食わせていたじゃないか、と。]
[みつおじさまの言うアイツ、かみさまのことだと思いました
そんなまさか、わたしは思います
それから、毎日つけてる日記をぱらぱらとみてみました
するとそこには、たしかに書いてあったのです
わたしが、かみさまのためにフォンダンショコラを作った日のことが。]
[わたしは、こんなに大切なことも忘れ始めてしまっているのだと気がつきました
そして悲しくなって、鼻の奥がつんとしてきました
目の端から、しょっぱいしずくがこぼれます
ひろくんとみつおじさまがなにかを言っていたけれど、よくわかりませんでした]
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