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[男は窓の外を見るヌイにつられるようにそちらを見やり、しかし角度のせいでよく見えず]
ふむ。まだ強く吹雪いてるのか。
何だろう。奇妙な場所だ。
[真剣な面持ちで言うのをくすりと笑って]
ならば、そうかもしれないな。
せめてもう天気が休まるのを待とう。
…さみぃ。
[部屋の隅で眠っていたヨシアキは、ふと目を覚ました
夢現の中、周りの話をうとうとと聞いている]
んー。まだ吹雪収まってないんだ…
[寝ぼけているので、事態の認識ができていない]
噛んだ。
せめてもう少し天気が休まるのを待とう。
そう言いたかった。
残念だ。この滑舌の悪さが。
[悲しそうに頭をふったあと、上着を手にとって]
それにしても寝すぎた。井戸で顔を洗ってくる。
こんなことになるなんて、思っていませんでした。
[はぁ、とため息をつく]
ヨシアキさんもおはようございます。
そうですね、寒いです。お茶を淹れましょうか。
[戸棚から湯飲みを取り出して、囲炉裏の傍へ運ぶ。
鉄製のヤカンから湯を注いだ]
ふむ。もう少し囲炉裏の傍に寄ると良い。
膝掛けは美味しい料理をつくってくれたお姉さんにあげてしまってね。
[寒いと呟いたヨシアキに気づいて、冗談めかしてすまないなと謝る。
*そして薬屋は顔を洗いに行った*]
[ヌイからお茶をもらって、そばに腰掛ける]
すごい雪だよねー。ヌイさんは雪はあんまり縁がない所から来たの?
俺は雪は珍しいから、なんかわくわくするんだけどな。
[ふと、入り口近くの棚に目を向ける。何かひかれるものを感じ、そちらに向かった]
[棚においてあった本を手に取る]
ふーん。ここの村の伝承かぁ。
[手にとって、再び囲炉裏のそばに戻った。座り込み、ぱらぱらとめくってみる
[その本に吸い込まれるように意識を奪われていた時間はどれ位だろう。わたしはふと視線を上げ、辺りを見渡した。外は吹雪のまま止まない。でもわたしの手元には春が広がっている。]
ここにはこんな綺麗な桜が有るんですねぇ。見てみたいなぁ。さくら――
[と、独り言を口にするけど。わたしは村に伝わる人狼という恐怖の伝承に心奪われていた。風の声が遠吠えに聞こえるだなんて…。恐ろしい事。
急に冷えた背筋に竦むと、丁度外に出て行く薬屋さんの姿が見えた。]
[そういえば、本を取るときにナオの後姿を見たけれど、声を掛け損ねたと思い出し]
みんなこれ見てるのかな?
[ぱらぱらと読みながら]
人狼…かぁ。
カマイタチの一種にしては、なんか独特の伝承だね。
てか、こんな吹雪なら借家に居るよりここに居た方が良いのかな…。
何だか管理人さんも…まだ帰ってきてないみたいだし。
[辺りを見渡し、居る人に挨拶をして。凍り付いていそうな井戸で顔をバシャバシャと洗う薬屋さんは、やっぱり雪男じゃなかろうかと思いながら、わたしは仮住まいにおいてきた荷物を思う。あそこにはレポート用紙など必要な物がおいてある。]
わたしも…取りに行かなきゃ…荷物。
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