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[からん、ころん。
下駄を鳴らして登る石段、境内まではもう少し]
大体、そんな話してると、それが悪いものや怪しいものを呼び寄せたりするんだから。
興味本位で広めるべきじゃない。
[自然、諌めるような口調になるのは。
子供の頃に幽霊を見た、と未だに信じているからとは。
一度も口には出していないけれど。**]
/*
うむ。
出る人数だあああ、っと思ったら、つい希望を出してしまった霊能者が取れた……!
というわけで、紛れ込ませていただいております、くろねこたすくです。
……よ、ようやく入れた、かみかくし村……!
ずーっと行き違ってて入る機会逸してたからなぁ……!
[雪駄を履いた足が、けんぱ、と境内の石畳を蹴る]
う、わ、っと。
[よろめけば、一緒に遊ぶ子らがはやし立てる。
負けたら屋台を奢る約束だから盛り上がりもひとしおだ]
そうそう負けてばかりと思うな……うん? ダメだ、そういうのは。
勝負事ってのは祠の花に頼るものじゃないし、第一、お前があの世に行かない保証があるのかい?
[嗜める口調、最後の方はいくらも声を落として怪談のよう*]
[履き古した青いサンダルを揃えて、木製の椅子に腰掛ける]
お祭の晩にだけ咲く花?
ええ、聞いたことがあるわ。
花を摘むことで願いが叶うけれど、神隠しも起きるらしいわね。
物語の題材には丁度良いと言えば良いのだけれど…。
実際に起きるとなると、ねぇ。
[頬に手を当てモミジは首を傾げる。
訊ねられた噂にあまり良い印象を持たないと言うのはその言葉からも知れた]
ただの噂…だと良いのだけれど。
[常々聞く噂であるため、絶対に無い、とは言い切れない不安のようなものが残っている**]
/*
探してみるかいと言いつつただの村人なので探したところで特に意味は無い。
とゆーことで滑り込みさせていただきましたなであです。
今回もト書きは省略するのだ。
代償……
[小さく反芻する]
俺の記憶も、「あの世」にあるのかもな。もしかして。
[神隠しが起きたというと。
決まって自分はものを忘れるらしい。
それに気づいたのはいつだったのか。
それも、とうに忘れてしまった*]
[かしゃり。かしゃり。
祭りの日、賑わう人波から少し離れた、木々の陰になっている場所で、一人の青年がカメラを手に佇んでいた。不連続にあがるシャッター音は、蝉の合唱や人声に紛れるように]
……、
[青年は独り言の一つもなく、ひたすらに写真を撮り続けていた。青年は喋らない。一人の時は勿論、誰かと一緒である時にも。
極めて無口なのが、彼の性質だった**]
[病に伏せっている老婆ボタンから借りた、古文書や獣の毛で出来たブラシと格闘し山を越した。
集会所の入り口からこちらを覗く女学生に気づくと]
顔色が優れないようですが?
[アンの話す伝承には微笑みを返して、自分の化粧道具箱から取り出した紅を少女の唇に差す]
おまじないとでも思って下さい。
呪いの花なんて、面白いじゃないですか。
[人の出入りが落ち着くと、名刺を看板代わりに掲げてみる。
誰かがくれば、付け値で化粧を施すつもりだ*]
[しばらくは話に時間を費やして、その合間に周囲の様子も窺い見る]
さぁさ、盆踊りが始まってしまうわ。
櫓を囲ってちょうだい。
[盆踊りの準備が出来た頃を見計らい、周りに居た子供達に対して注意を引くように手を叩き、櫓の周りに向かうよう促した。
一緒に行こう、と袖を引く子も居たが、それには苦笑と共に首を横に振って]
ごめんなさい、私足を挫いてしまってるの。
今年は踊れないから、ここで皆が踊るのを見ているわ。
[袖を握っていた子供の手を自分の両手で包み、ぽん、と軽く子供の手を叩いて解放する。
子供は残念そうに返事をして盆踊りの輪の中へ。
モミジはその様子を楽しげに眺めていた*]
[祭りのメインは盆踊りだ。
辿り着いたころにはもう、太鼓が鳴り響いている。
自分の余興なんて謂わばお零れの、酔っぱらった大人向けのもの。
出番は、まだない。]
摘めば神隠しに遭うと、ねぇ。
[まだもの珍しいチューインガムを咀嚼し。
また噂話に、ふーん、と無関心な様子を見せる。]
ねぇ、あそこって何やっているの?
[詰まらなさそうに見渡した先。
集会場らしき場所から人の出入りを見つけたのなら。
誰かに問うだろうか。]
[人間として、真っ当な記憶があるだろうか。
気付けば「神様」と崇め奉られる存在に、「願掛け」せし者の代償を、その髪へと捧げる役割をしていた。]
嗚呼、今年も現れるのかね?
花を摘む愚かな者が。
[くつりと――。
縁で零す独り言。
誰かに拾われたのなら。それは対話に成ろうか。]
摘んだら願いの叶う花?
お花じゃないけど、こちらはいかが。
幸せの星の砂。彼とおそろいでおふたつどうぞ。
これなら彼が神隠しに遭うこともないでしょう?
そうかい、それじゃ一緒に探しに…あぁ、でも。晩にだけ咲くんだったら、今探しても花は見られないよ。
蕾くらいは見られるかもしれないけれど、それでもいいかい?
…そうか、それじゃ探すのは止めておこう。
いや、そんな顔をされても僕にはどうしようも…
あ、ほら。
ダンケお兄さんが負けそうだよ。
今のうちに皆の中に混ざっておいで。
そうだね。
嘘か真か解らぬ話より、屋台の食べ物の方が魅力的だと思うよ。
うん、いってらっしゃい。
僕はここでもう少し本を読んでいるよ。
ここは日差しが翳っていて、涼しいからね。
…おや?
この下駄の音は…あぁ、やはりケン君か。
君も涼みに来たのかい?**
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