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[アンの指が封に掛かるその瞬間に、
私は立ち上がって彼女の所へ早足で向かった。
ぱしっと、きれよく、指でつまみ上げた。
彼女の持ってた、わたしの手紙を。]
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これね これね抜けちゃってたね
[ぐるりぐるり。
回る世界を見るのにも飽きてきて、足を止める。少しふらついたけれど、大丈夫。私のこういうところを、友達はときどき呆れるみたいに見てる。私は呆れられる、理解されない孤独さが心地良くて、たまにわざとこういうことをしてみる。友達が少ないのはこんなところに理由があったのかも。
足音が聞こえたように思って、くるくるする目を向けてみる。赤みがかった髪をしたあの子は、時折見る――いや、それよりこっちに――]
[どしん。
身体に衝撃が走った。
あ、倒れ――ない。今まで自分で思ってたよりも、私って丈夫だったりして。それよりも、ぶつかってきた相手が気になった。立ち尽くしたままか、転倒したか、ともかく少女の方へ向く。]
…………大丈夫?
[顔を見ようとして、先に。彼女の手元が夕方の空気の中、目を刺すように白く――]
[封筒?
図書館で、封筒?
この子は何だろう、たまに見たことはあったと思うけれど、図書館に封筒を持ち込んだりすることってあったかな? それに、こんな辺鄙な本棚の間に来た勢い。
この辺りには、本棚を見たら統計学とか財政って本が並んでいる。私は本の分類については全然知らないけれど、これって人気のある分野じゃなかったよね。
私は相手を心配するよりも、顎に手を当てて、ふうむと考えてしまった。名探偵ごっこ、なんちて。**]
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