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もしも、だな。
もしも袂を分かつことがあるなら、カウコ。
[やがて彼のもとを辞する折には、
ひとときの暖と時とに礼を伝えて。]
先に一発入れさせてくれる
くらいのサービスは、――あるんだろう?
[戸口で少し押し黙ると…笑まず軽口を*叩いた*。]
…「名」とは、只個体を識別するものだ…
――俺と分かれば、何でもいい。
[盲と呼ばれようがザトウと言われようが、自身は注意を向けるだろう、と、想う。
ただ存在を赦される、それに男は温もりを感じるから]
…――謝る必要は、無い…
[足された温もりを感じ、顔をそちらへと向け
彼の細めた眼差しは見えぬけれど、それは今鋭いものではないのだろう、と男は推測していた]
[それからいくつかまた言葉を交わし、茶を飲み干すと
男は杖を片手に扉へと向かおうと床を擦る。
そして、掛けられた声と手に]
――アルマウェルは、居た。
…――有難う、此れは、…
[暖かい。
語尾消す癖の侭、外へと出た。
暗い常なる夜の中、冷たい風が頬を叩く。
細かい雪がキラキラと紅いオーロラと共に光る中
男は左右に揺らし雪抉る杖の先と足跡を着け、
遠吠えの中、何かを探すように―― あるく*]
[次にと告げる声にはゆるく頷き、続く言葉に一言。]
……――奇遇だな。
[本当にその一言だけを返す。
気持ちは無力ではないと告げる声に僅かに表情緩め]
そう言われると、救われる――主に俺が。
[口元は笑んで見せるも複雑さは消えない。]
[それから多少の会話はあったか、やがて席を立つトゥーリッキの言葉。ifを語る間には口を挟まず聞き]
そりゃ"どっち"の前提だ?
[笑まぬ軽口には冗談めいた――けれど単純でない問いを投げ]
――其の時は、一発と言わず腕の一本くらいくれてやる。
が、腕は惜しいし不利だからそうならんことを願う。
[軽口の声音には笑み含ませて。
相手は何か言ったか、部屋から去った後には片付けを始めてぽつりと落とす独り言に憂いは*含ませず*]
ちっとばかし無防備かもな、 …お互い。
[狼の遠吠えが聞こえる。耳を打つ。
あてもなく歩くときはいつもそうするように、瞳を伏せて雪に足の痕をつける。
片側には村の灯、もう片側には森の影。極光の下伸びた影が、揺らぐ]
信用、か。
疑いがかけられた時点で、信用も何も無いだろうと思ってしまうのは――流石に薄情だろうか。
[受け止められる先のない言葉は、静かに宵闇に溶けて]
[ざりざりと音がなるのは、杖が左右に雪を掻くから。
その後を、ざくり、ざくりと足音を立てるのは、小動物等が自身を避けるを期待しての事。
視界無き男は、ふん、と鼻をひくつかせる。
歩いて来たは、森近く――]
…――、
[誰かの声が聞こえ、足を止めて顔を向ける。]
…む。
[ざり、と雪をかき分ける音。振り返ると、杖をもった人影がそこに居た。
杖から音は聞こえない]
やあ、君か。
奇遇だな、こんな所で。
[眼帯の男。己の所在を伝えるべく、はっきりと声を出した]
ラウリ、か…
…何か、していたら…
――…邪魔、したか…――?
[針葉樹の匂いが冷たい空気の中キンと鼻をつく。
声の主の、洒落た帽子も見る事は出来ない男は、さくり、雪に杖を刺して首を傾けた]
[雪は音を奪い、光源を与える。
それでも時折響く遠吠えに、]
うっさいわね! ひとが考え事してんのに、
少しは気遣おうとか思う気はないのっ?!
今度吼えたら焼肉にしてやるんだからねっ!
[遠吠え以上の大声を出し、制する人影が一つ。
言葉の効力かそれとも他の何かか。
少なくとも森に響く忌々しい獣声はぴたりと止む。]
はぁ、それにしても"あれ"は見つからないわ、
ひととは会えないわ、意図が解んないわ、最悪だわ。
一体狼操って何をしたいのよ、ボンクラ共は…。
[煮詰まったのか。ぼすりと音を立てて地に横たわる。
その横を好奇心の強い小動物が駆け寄り、
無遠慮に服に潜り込んだ。
強い警戒を解かせるものは、身に纏う匂いか
はたまた別の何かか――]
時間稼ぎ、ねえ…。はぁ、合理的かつ的確に、か。
となると、やっぱり目星つけていかなきゃなんだけど…
はぁ…、
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