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、は
[口からゆっくり息を吐いて、
その端が徐々に引きあがる。]
ガキは 俺か。
[打ち付けた掌を握りしめ、俯きがちに呟く。
梨の果汁がべたついているのが、今は、
酷く不快に感じた。]
[鞄が震え、スケジュールが更新された。
開いた手でそれを取り出し、未来を眺める。]
「**時 1Fで6thと会う」
「**時 武器を入手」
[既に過去となった予定も書かれていたが、
もうひとつの未来は、まだ、の事だ。
けれど、トイレに向かう途中に見た
5thの事は書いていない。
俺の日記の性質を思い出し、成程な、と呟く。]
「**分前 11th 5Fで1stと3rdと会談」
[そして、文字色を変えて表示される11thの行動。]
あいつも頭を使ったってわけか。
[それと同時に、タブレットのチャット窓に打ち込む。]
1st、3rd、11thが手を組んだ可能性がある
彼らは今5Fにいる
もし、こいつらに会ったら 逃げろ
[用を済ませ手洗いをしていると、店内には閉店の放送が流れ始め、人の気配が徐々に消えていく。]
24時間営業じゃない店もあるんだな
[自分を移す鏡に、用具扉が開いているのが見えた。
閉めようとそちらへ足を運べば、]
… なるほど
[「武器を入手」という未来を手に入れる。]
[回転式モップが掃除用具のひとつとして入っていた。
鉄製のパイプを握れば、杖に類似していて手に馴染む。
先端のモップを足を使って外し、ポールにする。]
…、…。
[振り回すにもトイレは狭すぎる。
足音を立てずトイレから出れば、上へ向かう階段へと向かった。]
[階段に向かいながら、タブレットに文字を打ち込み]
武器を手に入れた
上の階に向かう
[近況報告を打ち込んでから、]
もし、2ndが鬼なら
どういった行動を取ると思う?
[階段を登って二階に差し掛かると、エスカレーターから人が複数降りてくるのが見えた。すぐ近くの服屋へと向かっていた。]
ま、こうして見られてるのも
ばれてんのかもしれないな。
[ポールをきき手に持ち、肩を叩く。]
[3階のフロアが見えかけた時、人の気配に足を止めると、警備員らしき人が巡回をしている姿がみえた。]
これも…機械じゃないんだな。
[似ている所もあるが、やはりどこか違う世界。]
腕に覚えのない奴は、隠れたりつるんだり
だからこそ、こんなシステムにしたのかね。
[自分の次の番号の行動が解る。面倒だが利用しなくては勝ち続けられない。
タブレットには11thが服を手に入れたと増えていた。]
けど、…
それが賢いやり方かは解らねぇな。
[タブレットは、更に新たな予定を示していた。
階段を見上げつつ足を上に運べば、人影がひとつ。]
12th、か
[左手にポールを握ったまま、階段途中で声を投げた。]
話があるなら聞くが?
11thは、いい女だから
気になるのはよく解るぜ。
[両手を上げる姿に、やれやれと肩を落として3階のフロアまで上がりきる。]
俺は、
[12thと間合いを取った位置で止まり]
鬼を探している。
鬼じゃないってのも
大事な情報だ。
[解ってるくせにと言われれば、
口髭の下に隠した口元を緩めて]
…どうすれば見つけられると思う。
そして、鬼ならどういった行動をするか、
それをずっと考えていた。
[自分のタブレットへ視線を落とすも
11thは下の階からまだ動いてはいないようで]
今、あの女は2階にいる
[ひとつ、情報を提供した。]
誰か、…か
日記の力を試すにしても、
その相手は恐らく
あんたみたいな弱そうな所から狙いそうだよな
[冗談交じりでそんな事を呟いていると
フロアの電気が消え始め暗くなっていく。
エレベーターがこの階で止まる音が聞こえた。
そして、返答に感謝を込めて情報をまた追加する。]
11thは、包丁持ってるぜ。
鬼は、案外臆病な奴が選ばれたのかもな。
だとしたら、やっかいだ。
[は、と息を吐いた後、12thへ視線を戻し]
あんたは、自分の世界を救う覚悟あんのか?
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