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クレストまで…いるの。
[挙がる名>>95の中に、いまだ顔合わせていない男の名を聞く。
その名前に、また女の表情は翳った]
そうもって…、まだ何も起きていないもの。
だって、起きてしまったらどうしたらいいの。
私たち、疑いあう、の…?
[死を連想させる言葉は紡げなくて、曖昧な言葉を口にした。
助けを求めるようにニルスを見てしまってから、
またすぐに目を伏せる。
イェンニのいる場で、これ以上は口にする気になれなかった]
ええ。出来ることなら。
[それでもヴァルテリの声>>101には少し表情を和らげる。
こくりと頷いてから、席を立った。
ユノラフの傍へと歩き、声を掛ける]
あの…。…昨日はありがとう。
あとで上に用があるの。
手伝って、くださらない?
[緊張した面持ちで彼への頼みを口にした]
[やがてクレストが現れれば、自然とそちらに顔は向く。
本当に顔を見てしまえば、ごく小さな息が零れた]
…どうして…。
[零れ落ちるのは、問う相手のない*問い*]
[ニルスの考えを静かに聞き]
まあ、考えることはいくらでもできるだろうさ。
……何事も、おこらないのが一番だろうがねぇ。
[ゆっくりと呟き。
ウルスラの表情が和らいだのを見て、ゆるりと笑んだ。
またやってきたクレストが黒板に文字を書いたとしても、ここからは見えず。
簡単な単語ならば読めるが、早いやりとりには不向きなため、クレストとのやりとりは黒板よりもボディーランゲージのほうがおおい。
日が昇ってから大分時間がたった。
揺り椅子にはやしていた根っこを引っこ抜くように、ゆっくりと立ち上がり]
――ま、なんか食べれば、気分もましになるだろうて。
[煮込みぐらいならまだまだ作れる。
すでに昼近い空を見上げて、ゆっくりと台所に向かった]
[誰かが手伝ってくれるのなら、それを断る事はなく。
台所で、簡単なオニオンスープと、パン、ハムといったものを用意するつもりで。
手伝ってくれる人がほかにも何か作るのなら、それも。
遊牧の合間、食事の支度は女の仕事とはいえ、できることはある程度こなすものだった。
村に一人で行商に向かうこともあるのだからできなければ、旅の間簡易食料だけとか悲惨な食事になる。
居間で交わされていたあれこれを思い返しながら、至極ゆっくりとした動作で食事をつくっていた]
えっと……
うえ、 お……
[じゅうたんから這い出そうとして、毛布とぐっちゃぐっちゃになって、よくわからず途方にくれている男。
子猫が毛糸で絡まるのとは、残念ながらスケールがいささか違いすぎた]
…… まあ、まともな子がいて、良かった。
他も、完全に信じてるわけでも、なさそうだったし。
[久しぶりの会話に精一杯で、周囲の話はよく覚えてはいなかったが。確かそんな声もあったと、今度は溜息でなく、安堵を籠めて息を吐く。
程なく服の整理は終わり、身支度も終えて]
どうせ何も起こるわけないし……早く終わればいいのに。
[個室から外に出ると共に、独りきりの愚痴は終了した]
[足音がすると、とぱたりと無駄なあがきをやめる。何とかしたかったが何ともならなかった。
その頃には、自分ではよくは見えないが、玄関ホールにあったじゅうたんが巻き取られて、大きな大人がその中で転がっていた]
もう、迎えに、きた……?
[じゅうたんの筒の先からのぞく銀髪。伺い見てもまるで意味をなさない、目隠しのような包帯。
注意深く、耳をすませる]
―― いるま、じゃ、ない。
[イルマ。村の中でも同年代の少年少女に慕われる活発な娘の名前である。よくいって面倒見がいい、悪く言えば大きなお世話。そんな娘だ]
ごめ、…、えと、だ……
い、いや。 おれ、マティアス。
さかなとってる
[固形スープのもとがあったから、それほどスープに手間はかけていない。
じじいの料理なぞそんなものだ。
手伝ってくれる人が居なければ、口に抹ることができるレベルの料理でしかない]
……閉じ込められたうえに空腹……
なんてぇのは、危険だからなぁ……
[いくら良く知った相手ばかりとはいえ。
否、知っているからこそ、気の緩み故の暴力などが発生しないように。
満たす事ができるものは、満たしておかなければと思う]
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