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[ともかく。
昼間、手に入れた紙片をネギヤに見せる。
細い目が、一段と細くなったように見えた。
おもむろに告げられたのは、紙片についてのことではなく。
『続編だよ。さっきの』
何のこと、と問いかけて、先ほどグリタに渡した角2封筒のことだと気づく]
なんの、続編?
[隠さずに、怪訝な表情をする。
ネギヤの口が、動いた*]
幾人かが集められ、不可解な事件が起きる。
まるで、ネギさん著のあのミステリー小説っす。
[霧中にふらふらしていた足が、庭園が見える位置で止まる。]
警察が嘘をついてる?
もしくは事実あの死体がネギヤだとしたら、…オレらが知ってるネギさんは何なんだ。
/*
あ。
ガモンさん小悪魔! うらやましい……。
お疲れ様です。
死体描写誰もしてないよね……! とびくびくしてる。
ログ見落としている気しかしない。
あたしに分かる訳ないじゃないですか。
[家に入ると警察に誘導され、昨日あった人たちの顔を不安そうに見ながら、引き気味の足取りで応接間に入った。
意を決して一瞬だけ死体を見て、すぐに顔を逸らす]
寝てるんじゃないんですよ、ね? 病気?
ええと、ネギヤさんの、ような……気がします。
[もう一度、と言われ、押し問答の挙句の結論は『よく分かりません』であった]
/*
ネギヤさんなのは意図的ではなく、誤字です。
せつねぇな! 削除できない!
ちなみに、電話の受信音をオフにしてたのは昼間忙しいから出てらんねぇよ、だからです。
出前やってませんよーとかコネタしてる隙が無い。
だから、違うって言ってるでしょう。
おネギはもっと色白でもち肌でふっくらしてて、手だってなんかグローブみたいだしあんなスリムなズボンをはけるような体型じゃないのよ。
[廊下で警官に質問される。
何度聞かれても、自分の中のネギヤは一人しかいない。最初は震えていた声も、だんだんと落ち着いて抑揚が無くなっていく]
だって。それに……
[爽やかな朝の気配に目を覚ます。
障子越しに差し込む日差しは柔らかく――
寝床でしばしの微睡みを楽しむ。
そういえば昨夜は、ネギヤの屋敷に泊めてもらったのだったか。
夕飯に振る舞われたガモンの料理も格別で――]
[ゆるりと首を振る]
昨日だってガモンさんが作ってくれた懐中時計……あ、貝料理よ? 食べ続けてておなかぽっこりだったし。すごくおいしかったの酒蒸し。あなたも一度彼のお店に行くといいわ。
ねえ、家を捜索したなら、ガモンさんはいなかった? 左目のところに傷がある……
[尋ねてみても、芳しい返事はない。
唇をとがらせて、ため息*]
[ 男は原稿を読み続ける。
気がつけば空が白ずんでいた。
なぜ、この茶封筒が自らの手元にあるのかわかる。
この茶封筒の中身は、自分が担当した作品の『続編』なのだから]
[ だが、体力の限界か、やがてソファにもたれかかるようにして眠りについた]
昨夜は酔っ払ってねえしなあ。
……夢遊病?
[見知らぬ和室。泊まっていた筈の雛菊の間でもなく、まして自分の家でもない。
とりあえず部屋を出てみる。しばらく廊下を歩くと、拍子抜けしたように立ち止まった]
何だ、やっぱネギっちの家じゃねえか。
えーっと、こっからだと台所は……あれ?
[廊下の端に、何かが落ちている]
あー、何だこれ、懐かしいなあ。
[呪狼]カードじゃねえか。
何だよネギっち、なくしたって言ってガキの頃大泣きしたくせに。いったい何年ここに落ちてたんだよ。
[見せてやろうと拾い上げる。それからまた歩き出し、ようやく台所に辿り着いた]
…………あれ?
[昨夜使った筈の冷蔵庫が、やけにごついものになっている。
ガスコンロも旧式。逆によく使い込んであった筈のフライパンは、新品みたいにピカピカだ]
ちょっとまってくださいよ、あの人がネギヤ先生じゃない?
作家デビューされたころから別人が入れ替わったって、そんなミステリーではあるまいし…
第一、幼稚園の園長先生や幼馴染の方までいらっしゃる人が入れ替わることなんて可能なんですか…?
[ 困惑しつつも、男は取り調べに応じていた]
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