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[仕事の対象でない者の情報など無価値であるが
特につっ返すことはせず、適当にたたみポケットへ。
カウコの言う『変なの』とは何のことか
一寸思い起こした後、頭に浮かんだのは]
変なの……有翼人カ?
それとも豚の化け物カ?人食い妖怪カ?
[印象に残ったのはこの3者か]
―ビル街 屋上庭園―
[無我夢中で飛び続ける。
最初は混乱で、次には憤怒で傷の痛みは忘れていた。
それでも疲労が限界に近付けば、何処かに足を下ろすしかない]
――っく……。
[崩れ掛けたビルの上層、庭園の如き場所に、たたらを踏みながら舞い降りた。>>68
下層から至るには危険なその場所は、何処か有翼人の住まう天空の園を思わせる。
そこに先客があることなど、今は思い至らない]
あの野郎……。
[矢を、或いは硝子や鉄の破片を引き抜き、衣服の裾を千切って止血する。
改めて見れば致命傷となるようなものではないが、問題はそこではなかった]
よくも、あたしの翼を……!
[しばらく黙って歩いている。
マティアスが言う楽園とは何か?どうも、お家の事らしいのだが、何故知っているのだろう?僕とにいさまだけの家の筈なのに。]
楽園…、ああそうかもね。
[ぽつりと呟く。]
鳥の血の匂いがする、ような…。
ああ、あの鳥は許さないよ。マティアスが食べたいならあげるけど。
あいつの羽根をちぎってやる。
[屋上庭園の近くを歩いている、ような。もちろん、自分がどこを歩いているかは分からない。]
[翼を汚され傷付けられることは、有翼人にとって最大の不名誉である。
もし仮に空を飛ぶ力を失ったなら、それは永遠に天上へ帰れず、地上を這いずり生きる事を意味した。
堕ちた有翼人は、地上人以上の蔑みを受けることになるのだ]
許さない……。
殺してやる……絶対、殺してやる……!
[呼吸も荒く庭園を彷徨い、身を落ち着ける場所を探した。
自身に囁く声を聞いたのはその時か]
――だれ、ですって?
[思いも掛けぬ人の声にはっと息を呑むも、一瞬。
鋭く問い返す声に、普段の甲高さは鳴りをひそめていた。
左手に弓を握る。まだ構えはしないが、いつでもそうする用意で]
悪いけど、あんたのお相手する気はないわ。
あたしちょっと、虫の居所が悪いの。
[庭木に身を隠しつつ、声のした方を伺う]
あれは元々此処の住人カ?
人喰らうヤツら、滅多に見たことないネ。
一度カニバリズムのど変態殺たことあるけど
あれはただの性癖ですダヨ。
異形であんな露骨なの、ナイネ。
[あんな大っぴらに異形が暴れる場面など珍しく
カウコなら立場上何か知らないか尋ねてみる]
まぁ、害あるならひそり過ごして欲しいネ。
ワタシに実害ナイなら好きにすればイイヨ。
[我関せず、と言った態度で。
尤も金がかかっているなら別だろうが。
あそこまで露骨に暴走する異形も珍しく
進んで関わりたいものではない]
― 屋上庭園 ―
[声を聞いてみれば、ぎこちない羽ばたきの音も
足音も先立って聞こえた――ような気がした。]
…ああ…
[割りと助かる。相手をする気はないと言われて
そんなことを考え、額から緩慢に腕を下ろした。]
そうらしいね、
…祭壇じゃご機嫌そうだったのに
[翼持つ其の人の声の調子にか、
尨毛の幹から僅か後頭部を浮かせる。]
[実験体の実験結果を反映した「完成品」は楽園に居る>>1:73と、きいた事があるだけ。]
[柔らかな果実に齧り付くように心臓を齧りながら、ベルンハードの匂いを辿って歩む。]
とても甘い、……。
[有翼人の事はそう称して。
生贄の少女を喰べたので、有翼人を喰べれるとは思いきれなかった。まだ祭壇上の床部分に転がっている者に後ろ髪を引かれる思いを飲み込むように、心臓を平らげた。]
…
「目をつけられたんじゃないか」って
言った気がするんだけど、俺
[ストップモーション中の其の人にかける声は]
羽根、どうした?
[まだ脂汗も拭えぬ己の有体を横へ置いたもの*]
この辺ジャ見なイ奴らサ。
隠れ住んでいたノかも知れネェガ、少なくトモ、話題ンなるようナ場所ニハ出てきて無かった。
セーヘキなんテ一言デ片付けられリャ良いガ。
あいつらガ出てキタのは、恐らくだが理由ガ……いや、まだ予測ノ範囲ダガ。
[言いかけて、口を噤む。
その先を聞くか?と視線だけを向けて。]
んあ、甘い?
[「きょうだいしまい」にはわかる、甘いという間隔。なぜ、僕には分からないのだろうか。もしかして、僕は完成品では…、いやそんな事ない。]
へー鳥は甘いんだ。僕も食べてみたい。
んあ、なんか鳥臭い。臭い臭い臭う鳥の臭い。
[マティアスを無視して、屋上庭園の方へ向かうだろうか?]
――うるさいわね。
[吐き捨てるように答えたが、声には余り力はない。
相手から手出しのないことに、内心安堵もする]
面倒な相手に絡まれたのよ。
地上にあんな化け物がいるなんて。
[気を付けるべきはせいぜい銃器くらいだろうと思っていたのだが]
それも、同時に二匹も……。
ここまで化け物の坩堝だとは思わなかったわ。
[男の忠告に耳を貸さずこの有り様なのは、恥ずべきことであった。
ぎり、と奥歯を噛む音で答え、顔を俯ける。
翼のことに触れられれば、思わず痛みの元を指で触れながら]
こいつは……異能者にやられた。
物に手を触れず飛ばしてきたのよ。
[そいつの顔を思い出せば、再び怒りと屈辱が沸いた。
それを素直に口にしたは、眼前の男が満足に動けぬと見て取ったから]
あの目隠し野郎……。
あいつだけは絶対に殺す。
[浄化、とは言わずに吐き捨てた]
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