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[ふと、聴こえた涼やかな声に伏せていた目を上げる。
暫く聴き入るように黙り込んだ後]
…嬉しい、か。
[ここを後にした数人の姿を脳裏に過ぎらせ。]
――不幸でなければ、それでいい。
まあ、ね。
神様の力に比べれば、劣るのだろうな。
[首を傾ぐ姿に、]
ただ。道をくるくるにするか、まっすぐにするか。
屹度、それくらいは……ね、……
ん、しかし……、
考えてみれば、”音痴”という宜しくない要素も関係するのだろうか。
[ぽつっ。相手に対して失礼までも口にした。]
ううーん。
[再び目を開け上半身を起き上がらせる。
今度は上手く起き上がれたようだ。
ゆっくりと立ち上がるときょろきょろとあたりを見回し、あてもなく歩き始める]
そうね、不幸でなければ…
[ぱしゃり、跳ねる金魚の水音は
涼しげに扇ぐかみさまの団扇に描かれた
絵に等しく似るように。]
そろそろまた、時間かしら?
[尋ねるはまた、さびしがり屋か
はたまた、賑やかが好きな神様への誘い
…顔を?
[弧を描く紅を前に、数拍の沈黙の後]
望みは繋げておきたいからなぁ。
では、これっくらいだが。どうぞ勘弁願いたい。
[指先で押し上げ、少しだけずらした眼鏡の端より、
ちらりと現れた瞳は、蒼。]
ワタシは、レン。いつもいつまでも変わらないよ。
[眼鏡を、元の位置へ戻した。]
ふふふふ。そうかい。良い心構えだ。
神様の捕獲に挑戦してみりゃ、いいさ。
[笑声の尾をひきつつ、盆踊り会場の方へと*]
[いつもの白衣姿のまま、くわえタバコで屋台の間をふらりふらりと歩き回る]
景気はどうだい?
[射的やわたあめなどの屋台を開いている古い友人に声をかけ。
そのまま二言三言話して、ふらりと次の屋台へ]
こどものはなし?
[一度だけ見憶えのある、
そう、去年自分だけはひまわりの約を
一方的に結んだ相手に微笑み]
かみさまに近いもの、かしら?
[嘯く]
――君が連れて行くのも、俺が連れて行くのも良かろうよ。
[風に運ばれてきた金色の粉に目を細め、応える。]
神さんは…誰がお望みであろうな。
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