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[傷のにいさまは、知っているような、知らないような、煮えきらない様子でした
きっと、お花のことは詳しくないのでしょう
さわださんが笑いながら、アネモネがどうしたのかと訊いてきます
わたしは答えました
クルミさんが好きだと言っていました、
マフラーのお礼をしたいんです。]
[傷のにいさまはわかったと言って、明日までに必ず用意してくれると約束してくれました
わたしは傷のにいさまにお礼を言って、ぎゅっと抱きしめました
傷のにいさまは大きくて、温かくて、わたしはすきです
かみさまと、ひろくんの、次に好きです
さわださんが、小さく笑いました
わたしも、つられてふふっと笑いました**]
/*
いちにち、ひとり
ひとりずつです、お喋りできるのは
わたしと時間が合わないから、仕方ありません
わたしがわたしの世界に引きこもっているのも、その一因でしょうけれど
最期の意識
[誰かが、私の名前を呼ぶ、声。
沈んだ闇の縁から。
とても遠くから。
暗闇は深く重く
混濁した意識の浮上を阻む。]
………、 、 。
[それでも応えるように、
瞼が微かに震え、
唇の隙間から、声にならない言葉が、
細く微かに零れた。]
[彼女の表情に、反応が見られた。
大丈夫、まだ大丈夫。
唇が、微かに動いている。
何かを言っているのかもしれないけれど、聞こえない。
だが、まだ生きている。]
クルミさん
聞いているかい
君を喜ばせる事、探してきた
喜んでくれるかは、わからないけれど
外の写真、持ってきた
[彼女の意識を、保たなければならない。
意識を失うと、体温が下がる。]
外の写真って言ってもさ
ただの、風景写真なんだ
桜並木、夏の砂浜、秋の紅葉、冬の雪景色
私が君を治すから
そしたら、その目で見に行こう
君の先も、君の足も、ちゃんと治す
だから頑張れ、階段程度に負けちゃいけない
[足は、正直絶望的だけれど。
それでも、口から出たのはそんなでまかせ。
できない事を、できないと言うだけなら。
きっと、誰にでもできるから。]
君にはちゃんと、未来が待っている
それが今は見えなくても、明日はやってくる
証明してみせるから、気を強くもって
休憩室
[うつら、うつら。
暖かな室内で優しい夢の中をたゆたう。
部屋の外で起こっていた悲しい出来事に気づけずに
最後に、思い出したのは若い先生の笑顔だった。
『十分、価値のある人生ですよ』
そうだ。
俺ちがここに在ることを
誰かが そう言ってくれるだけで――]
――…ん、むう…、
おお、おお。…ねてた、よ
おはよう、お嬢ちゃん
[腰掛けたまま眠っていたらしい。
人の気配に気づいて目を開ければ
正面には、小さな女の子の姿があった。
困惑気味の面持ちへ、にこりと眉尻を落とす]
起こしてくれたのかい。ありがとうな
[触覚は既に失われている。
体中が、役立たずな両足の仲間になって、
何の感覚も得ずに屍のように横たわる。
瞼を伏せているせいというより、
視覚そのものも、失せていて。
血の匂いを感じ取る嗅覚も死に。
それでも鼓膜が震えれば
言葉は脳の奥に染み入る。
桜並木、砂浜、紅葉、雪景色、未来。
見たいな…と、思った。]
きゃ。
[声をかける前に目を覚ました事に驚いてしまい。
おそるおそると見つめた後、安心したように笑顔を浮かべた]
えっと、おはようございます、なの。
おじい…おじちゃん、ここでねるとかぜひいちゃうかもなのよ?
るりね、まえにねむっちゃったとき、すごくおこられたの。
かぜひいて、しゅじゅつがえんきすると、いけないのよって。
[空想の世界が私を手招く。
四季折々の美しい光景の中を、
健全に機能する両足で歩く空想。
けれど、私はそこへ飛び込むのを拒む。
車椅子での不自由なままでも、
明日は来ると、未来があると、
語りかけてくれる声が在るから。]
…、 ぁ 、
り が、 と ぅ 。 、
[最期に、未来を見せてくれて。]
[寝惚け眼を、ごしごし擦る。
寒い自室よりも暖かくて熟睡出来てしまい。
おずおずと此方を見遣る少女へと、
少し背筋を丸めて視線を合わせ]
そうか、そうか
こんなところで寝たらだめだなァ
おじいちゃん、ここがあったかいから
つい、寝ちまったよ
[気を使ってくれたのか、わざわざ「おじちゃん」と言い直してくれたので、「おじいちゃん」で良いのだと強調を。
孫達の中にもきっと、彼女と同じくらいの子がいるはずだから]
おお、るりちゃんはしゅづつをするのかい
えらいなあ
[体温が下がっていく。
止血しても追いつかない出血。
このままだと、ショック症状が起こる。
短時間の出血、大動脈からの出血だろう。
圧迫止血では間に合わないけれど。
凍結止血するにも、電気凝固させるにも、まだ手術室は遠い。]
どこへだって、連れて行くよ
平家蛍を見た事はある?
夏の低くて大きな空と
地上に舞う蛍の光が合わさって
まるで、天の川が二つあるようなんだ
一面の花畑、なんて見たことあるかい?
カラフルな絨毯のようで、綺麗なものだよ
春になったら、見に行こう
― 昨日 休憩室 ―
[どこかで聞いた、懐かしい歌がテレビから流れている。
あの歌は誰の歌だろう。テレビ画面をじっと見ようとすると、子供たちがその前を楽しそうに駆けていった。
ふふ、と笑うと、そのままぼんやりと歌を背景に、子供たちを眺め続ける。
と、隣の男性が、感慨深げにこちらに話しかけてきた。]
ええ、孫はわたしにもおりますよう
何人かいたけれども、みんなそれぞれ大きくなりましたねぇ
昔はよくみんな家に遊びに来たものだけど
でも、孫はそういうものでしょうねぇ
みんな立派になって、嬉しいですよ
[ちなみに同居していた長男の子供も、大学生となり、朝はご飯も食べずに部屋から直接出かけていき、夜は自分が起きているうちは帰ってこなかった。
ここに入った時、一度だけ家族で見舞いにきた。
他の孫も含め、もう、孫の顔を本当に見ていない]
子供は、いいねぇ…
私もそう思いますよ
[子供たちを通り越すように、ぼんやりと遠くを見て少し微笑んだ。
孫が14歳、という話には]
あらあらまあまあ
じゃあまだまだ小さいねぇ
可愛がってやりなさいな
可愛がってやれるのも今だけですよう
[今度は男性の顔に視線を向けて、微笑んだ。
しばらくすると、彼はこちらに軽く頭を下げると、立ち上がって去っていく。
こちらも彼に頭を下げた]
[手術室へと辿り着く前に。
私の身体からは
生命が抜け落ちてしまう。
手紙のお返事や、お手玉の約束、
写真もこの目で見たかった。
叶わなかった事は幾つかあるけれど。
そういった生への未練が在ることが、
この上なく嬉しかった。
未来は、あったのね。近くに。
私にも。
それを教えてくれた、
とても素敵で嬉しい言葉を贈ってくれた
先生への感謝の言葉が最期の言葉。
脱力して緩んだ口元は
ほんの微かに笑った時と同じ形に成り。]
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