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[思わず駆け寄って手を伸ばすが、ホログラフの如く擦り抜けて]
〜〜〜〜、だぁ!まどろっこしい!!
[何も出来ない状態に地団太を踏んだ]
[誰か来ないかと辺りを見回して、再び視界に入る茶色の幹]
………花芽が無いな。
[咲けないのか、咲かないのか。
何が原因かと考えてしまうのは樹木医を目指すが故。
触れることも出来ない状態では目視検査程度しか出来ず。
仮に落とされる前にここに来れたとしても、道具は作業着のベルトに挿したままの木槌のみ。
原因究明までは難しかったことだろう]
咲かせてやりたいなぁ。
[それでも、そう思うのは常と変わらない]
[鞄の持ち手を両手で握り締め、前を見据えれば、ゆっくりと、しかし確かな足取りで幾本もの藤を潜り抜ける。
時折さらさらと花房が音を立てた。
最早過去の物とは言えない程度に、集まってしまった記憶の欠片。
未だ抗ってはいるものの、掻き消す事は出来なくて。]
[次に二人へと、声をかけたのは、どの位歩いた頃だったか。]
……あの。
ごめんなさい…。
[一時立ち止り、呟くように。
背を向けたまま、なのは、心苦しさから。]
多分、お二人や…他の方達…。
此処に連れて来てしまったのは…。
私…。いえ…『私達』なんだと思います。
まだ、判らない事が沢山あって…。
だから…。今はこれしか言えないんですけど。
でも…きっと。
この先に行けば、きっと…。
[見据える先に、自身の答えも、皆の答えもきっと存在する。
そんな想いを口にして。]
此処からは真直ぐ。
もうすぐだと…思います。
[僅かばかり振り向くようにして、軽く頭を下げてから再度踏み出す。
その刹那、聞こえてきたのは、外からでは無い方のコエ]
[【私達】。
掬子さんは、そう告げた。
この場所に連れてこられた原因。
でも…。
わたしは思い返す。
咲く事を恐れる花、と口にした掬子さん。
ここにわたしたちを連れてきた意味だって。
きっとある筈で。
このさき、と言われた場所をみあげて。]
――…でも、なにかあるから。
連れてこられたのだと思うから。
掬子さんがあやまることは、ないのですよ。
[かける言葉はありふれているけれど。
せめて、少しでも楽になれたらと。
わたしは精いっぱいの笑顔をつくって。
掬子さんへ微笑むのです。]
[座り込んだ状態で木に寄りかかる。
そうやっていると感じるのは妙な共感。
言葉でどう、と説明するのは難しいけれど。
何が正しいのか自分がどうしたいのか。
それがわからないもの同士、とでも言えばいいのか。
とにかく、そんな気がして]
……ほんと。
どーするのが、いいんだろーなぁ。
[ぽつ、と口を突いたのは、そんな呟き]
よぉ分からんけど……
とにかく、行けばええんやな?
[相変わらず何か知っているようでいて、曖昧な言葉が返る。
ともあれ進む以外に答えは見つからなさそうだと判断して]
まあ、別に謝られる程のことは何もないからなぁ。
[今のところは。
六花に同調するように言った]
うん、消えちゃったのは私も見たわ。
[驚いたという 友人に 頷いて]
さっき初めてここで会ったんだけど、心細い時に随分気遣ってくれて...妹さんにちゃんと会えるといいなって、思ってたんだけど...
[眉を下げ 独り言のように 言葉を零す]
[散り散りだった欠片達が、僅かばかり繋がり始めれば、今一度ふたりへと向き直る。]
…ごめんなさい!
[何度目の謝罪か。
勢いよく下げた頭と反比例する髪が、ふわりと跳ねあがる。]
私…急がないと…!
このまま、真直ぐ。
必ず、辿りつけますからっ…
[優しく接してくれた二人に、焦燥感を隠す事すら出来ず、半ば叫ぶようにしてそう告げると、スカートの裾を翻して薄紫の中へと駆けだした]
………うん?
[樹の様子を見ていると聞こえる、呟くような声>>81。
悩める声とも言えるそれに視線を向ければ、樹に寄りかかる進矢の姿があった]
進矢君……悩み事か?
[問いに返る声は無い。
妹はしゃがみ込んで進矢の目の前で手を振り反応を見ていた。
当然、反応は無い]
……お礼も……
言いそびれた…っ
[切迫する呼吸の中、一人ごちて]
………はぁ …っ……はぁっ
[元々苦手な上に、不安定な足元。一歩一歩に息が切れる。
どうしてあの時、思い出さなかったのだろう。
……ううん、そうじゃない。
本当は……――]
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