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―ビセの居た部屋―
あんまりそこ近付かない方が良いですよ。
摂りこまれるかもしれませんから。
[窯に近付くポルテに淡々とした声を投げる]
――…知りたいことでも、あるんですか?
[摂りこまれたら、食べられない。
当然のように、心配するのはそちらの方]
…カレー味……、かな?
[思考が何処かずれているのに気付いて、ひっそりと心の裡だけで笑う。
飢えている。そのために意識は逸れる]
人狼に食べられた人も、窯に放り込まれた人も、行き先は同じなのだろうか?
……わからないけど。
一人で彷徨ってるのは寂しいので、同じ場所に行き着くことにしようかな。……とか言って。
確かに僕は作家で、話を作るのは生業ですけれど。
その2つは、僕が語ったものではないでしょう?
本当の事、ですよ。
[こんな時ばかり、明確な答えを告げる]
そうやって尋ねるから…より深淵に近くなる。
[痛む額を押さえます。]
あいたぁ。
……ね、出して?
ここから、出して。
[壁をどんどんと両手で叩きます。
堅く温かな感触が手から伝わってきました。]
[『知りたかったことは何でしたか?』という、静かな声を聞いた気がした。目を開ければ、既に「ここ」にいた]
何……、ここ。どうして?
[結局何もわからなくて。生きていた時と同じ疑問の言葉を口にする]
うむ。ビセちゃんは、窯の中にいるっぽいな。
どうしよう。どうしよう。
自分の死体を発見するという、シュールな展開にしてみるか。うむぅ。悩むぅ。
[目の前には、歪んだ世界。煉瓦作りの建物の内部は、確かに昨日まで自分がいた場所だったのに]
わからない。
[この違和感の正体がなんなのか。どうして世界がいびつに見えるのか]
え?
[その時、視界に飛び込んできたのは]
オ……オレだ?
[無残に引き裂かれた、自分の、死体、が。すぐそこに横たわっていた]
どうして……。
[口をついて出るのは、愚かしくも、また同じ言葉だった]
[ぱち、ぱちと何かの爆ぜる音が聞こえてきます。]
……やだ、何か熱い。
[額を流れる汗が、ぽた、ぽたと地面へと落ちて行きます。
落ちた汗がじゅう、と嫌な音と臭いを発します。]
>>20
また、そういう。
[眉を顰める。
続く問いには、視線をそらして考え込んだ]
知りたいことがあるから、こんな廃れた所まで来たんです。
[立ち上がって、部屋を出て行こうとするが、扉を開いた途端に勢いよく後ろを振り返った]
冗談は言っても、嘘は吐かない主義ですよ。
[口の端だけを上げる笑み]
僕が教えられることなら、答えますが…それなりの対価は頂きますよ?
っと…、どうしました?
[突然振り向く様子に、緩やかに首を傾げる]
何を知っているんですか?
何で知ってるんですか?
[嗄れた声で尋ねる]
対価って……
[苦しみに満ちた声が圧し掛かってくるようだった。
ビセの部屋を飛び出して行く。
廊下を進むが、また違う気配が他の部屋から滲み出ていた]
[炎はなく、ただ蒸し暑い。布の焦げる臭いが充満します。]
やっ、助けて。
……神様っ――
[喉がからからに渇き、流れる涙は頬を伝う前に干上がります。]
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