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[淡い光が感じられ、足元を見下ろす。
ネギヤが居たはずの個所にモヤのような何かが漂い、そして消えた]
何、今年はオバケ屋敷とマジックショーのコラボ企画でもあるわけ?
[ヌイに向けるのは、睨むような視線]
[投げ上げたてるてる坊主は、落ちてこない。
くすり、笑う。
直後に声をかけられた。
振り返った先には、見知った村人の姿]
……よーっす。
ネギ兄やん、みつか……え? アンちゃ?
夕方頃に、ネギ兄やん探す、って言って、裏山行くって……あれ、まだ帰ってないの?
「あ、セイジ。起きちゃった? ごめんね。ちょっと、ネギヤさんが……」
「……行方不明に、なったそうだ。
ホズミさんは、見つかったらしいが……セイジ、ネギヤさんを見かけてないか?」
[母親と父親の話を聞き、首を横に振る。二人と、知らせに来たらしい村人の、不安げな表情が見えた。...の顔色は青ざめて]
「……セイジ? 大丈夫?」
「もっと寝ていなさい。ネギヤさんの事は、父さんや、村の皆で探すからな」
……僕、は……
―店の前―
ああ、まあ、
わしゃ、ネギヤ探しには何もできんしなぁ。
おにぎりでも、こさえておくかい。
[そこで一吹き、水気を含んだ風。]
[それに対して閉口した様子の船頭。]
こりゃ、大将も、雨に 文句ばっかり言いおって…
まったく、なあ…
[そして、ネギヤを探すひとを見送って。]
……う、……!
[また襲った激しい頭痛に、頭を押さえてうずくまった。驚いて駆け寄る両親に、震えながら首を振って答える。
大丈夫だ、と、声はすぐに出てこなかった。
よろめきながらも走り出し、部屋に戻り、リコーダーを取ってきては]
……僕、ちょっと、行ってくる。
ごめん、すぐ帰るから……っ。
[制止されるのを振り切り、パジャマのままで外へ走り出した。青い顔。滲んだ汗。普段閉じたような双眸はきっと開き、性格に合わない鋭い三白眼を覗かせていて]
んー、じゃあオレ、裏山の方見てみるわ。
いたら、家に戻るように言えばいいんだろ?
あ、灯りの余分あったら貸してー。
[持って出ろよ、と突っ込まれつつ、灯りを一つ、借り受けて。
のんびりとした足取りで、裏山の方へと歩き出す]
[消えてしまったネギヤのもとから、白い蜂はまた飛び立つ。
ぶぶ ぶ… 先刻まで、ギンスイが居たまさにその場所へ。]
ギン スイ―― 「 其処 」か。
[ぎこちなく、手を虚空へと差し出す。]
なに 『透けとる』…
[此方を睨み上げる態のンガムラを、途方に暮れた態で見遣り]
仏さん なっとる…
[目的地はないようなものだったが、ただ、走る。途中の道でタカハルを見つければ]
あ……! タカハル君……!?
[探していた人物というわけではなくも、少しだけほっとしたように、大声で呼びかけた。気が付かれたなら、敵意はないが鋭い目付きでその姿を見据え]
状況を整理しよう。
ネギさんが消えた。
ネギさんがここで死んでいた。
ネギさんが再び消えた。
ギンスイも消えた。
ここから導き出される、未来予想図は?
[『仏』と口にしたヌイへと薄く笑みを浮かべる]
冗談じゃねーぞ。
[内心で、先程聞いた声が、繰り返し繰り返し響いていた。消えた。気を付けろ。狙われる。疑え。
疑え。その声と共に、頭に浮かんだ姿は――
ボタン。
どうするべきかもわからず。誰かに伝えるべきなのかもわからず。それでも、家でじっとしてはいられなかったのだった]
キクコちゃん、とりあえず駐在さん呼んで来て。
俺はギンスイ探しとく。
あー、いや、ダメだ夜道ひとり歩かせらんねーか。
ヌイ運転出来るか?
ん……うん、具合はもう大丈夫だよ。
[顔色は言葉と裏腹だったが]
えっとね、その……
ネギヤさんが消えた、って聞いて。
いてもたってもいられなくなったんだ。
昼間からなんだか嫌な予感がしてたから……
[タカハルの問い掛けに、ぽつりぽつりと返す。話し方は普段と変わらないので、三白眼と不似合いだったか]
[ざああああああ
いつしか、廃屋の屋根を叩く雨音。
移民の男は、はっと我に返ったように辺りを見回す。]
嬢ちゃん…
濡れっと いかんで、これ。
あー… 見せたくない の が、消えっしもたな…。
[サマーセーターを脱いで、戸惑う様子のキクコへ渡す。]
ネギヤさん ときとは、ちっと 違うような――
たましいが、匿われとる ちゅう 感じで。
……いや、説得力ないから。
[大丈夫、というセイジに更に突っ込み入れて]
あー、ネギ兄やんかぁ。
……にしても、そんなカッコで出てこなくてもいーだろーに。
[呆れたように言いながら、羽織っていたジャンパーを脱いでほら、と投げ渡す]
……っつか、聞いたの、ネギ兄やんの話だけ?
そんだけで、着替えもしねーで出てきたん?
ごめんね。有難う。
[タカハルから投げられたジャンパーを受け取ると、眉を下げて弱く笑い、それを羽織った。疑問をぶつけられれば、戸惑いの色が顔に浮かび]
……う、ん。
どうしても、胸がざわざわして……
……タカハル君は、どこに行くつもりだったの?
[曖昧に答えてから、話を逸らすように聞いた]
[踊る、踊る、真白な熊ン蜂。
わかる、みえる、ギンスイへそう伝えるよう。]
見えん。俺にも。
けどギンスイ、聴こゆっで な――
[船頭見習いの移民も、其処に居るギンスイを呼ぶ。]
お前、「わるいことしとらん」て
神さまに匿われちょっで、心配すんな…ギンスイ、
[悲鳴にもならない、喉奥へ軋む音を立てた彼へ――]
オレ? オレは裏山……なんかさ、アンちゃもまだ家に帰ってないらしくてさ。
最後に別れたとき、裏山行く、って言ってたから、もしかしたらまだいるかな、って思って見に行くとこ。
[何となく、はぐらかされたような気になりながらも問いに答えて。
言ってから、あ、ヤバったかも、なんてちょっと、思ってみた]
え……アンちゃん、も?
裏山に行って……
[タカハルの返事を聞き、呟く。声色に混じる、驚き、動揺。ぐ、とリコーダーを握り]
……僕も、一緒に行っていい?
心配だから……
タカハル君も、一人じゃ危ないかもしれないし……
[ぽつりと、申し出た]
―裏山―
『うふふ、うふふふふ。』
[音符模様のハンカチと開いた桃色の傘の上で、小さな声が揺れる。]
『ご招待、ご招待。お休みをプレゼント。』
『忙しないイベントなんて忘れて、ネギヤと一緒にゆっくり過ごすといいのよ。』
『いやかしら、いやかしら?
まあ、雨を続かせるために、もう少し、そちらに居てちょうだい。アン。』
[桃色の傘がころりと転げた。]
[予想通りの反応に、ありゃー、と思ったのはともかくとして]
オレは一人でも大丈夫だけどさー。
……セイちゃん、ここで帰れ、っても、聞きそーにないよなぁ。
[がじ、と頭を掻く。一緒に揺れるてるてるは、今はひとつ]
おっけ、一緒に行くか。
でも、ホント、無理すんなよ?
[釘を刺すのは忘れずに、言って。
裏山へと向けて、歩き出す]
……うん、有難う。
具合が悪くなったら、帰るから……
心配しないで。
[返事を聞くと、小さく笑って頷いた。ふと目に入ったてるてるを、少しく眺め――タカハルの後をついて、裏山へと向かう。
踏み入れたその一瞬だけ、体が痺れたように強張ったが、立ち止まりはせずに]
―― 廃屋 ――
…
嘘 つかれんで ごめん
[自分のサマーセーターをキクコの頭に被せる。
キクコの肩をぐ、と抱いて降りしきる雨の中、
――彼女を軽トラの助手席へと連れて行く。]
駐在さん と。
アンに―― 報せんといかん。
[荷台へ蜂の巣箱を移し終えると、軽トラは走り出す。
エンジン音と雨音に紛れ、
そのアンの声が微かどこかで聴こえたような―――*]
ホントは、すぐに帰って寝た方がいいんだろーけどー。
[ぼそっと言いつつ、裏山へと踏み込んでいく]
おーい、アンちゃー。
いるなら返事しろー。
[手にした灯りを右左と動かしながら声をかける。
けれど、答えはなく。
奥へと踏み込むうち、ふと、灯りの輪が山には異質な桃色を捉えた]
……あれ。
あれって、もしかして……?
……え。
傘……?
[タカハルの後ろから覗く、道の先に桃色が見えた。ぼんやりと窺える傘の形。桃色の傘。タカハルの呟きに、眉をひそめ]
……、?
[続けて其方へ歩いていったが、はたと。傘より手前、足元に落ちる、塊に気付いた]
何だろ……
[膝を曲げ、拾い上げる。ところどころ土が付いた、てるてる坊主。タカハルの持つ灯りにかざすようにすると、その模様が――]
[――音符模様が、見えた。
それは間違いなく、自分がアンに貸したハンカチだった。鋭い目付きが、より鋭くなる。ひゅう。掠れた呼吸音が喉奥から漏れる]
……アン、ちゃん……?
[震える声で、名前を呼んだ]
どこに、行ったの……?
[がんがんと、また、頭が痛む。吐き気がする。蒼白な顔で、口元を押さえ]
……やっぱし、アンちゃの持ってた傘だなあ。
[桃色の折りたたみに、ぽつり、呟く。
けれど、周囲にその姿はなくて]
っと……セイちゃん、それ……てるてる?
[灯りにかざされたそれ。
模様つきのてるてる坊主に、瞬きひとつ]
って、ちょ! セイちゃん、顔色悪すぎっ!
[けれど、すぐに意識はセイジの顔色と、口を抑える様子に向いた]
みんなにも知らせた方がいいだろーし、一度、戻ろうぜ!
何いってんのか、わかんねーよ。
[立ち去るヌイとキクコの背中に、吐き捨てた。
一階には何もなかった。
二階のベランダに出て、辺りを見渡す]
蛍みたいだな。
[ゆくえ知らずの人々を探す明かりが、踊っている。
雨ににじむそれは[スイカの名産地]という文字に似ていた]
……大丈夫……
……じゃ、ないかも……
[ふ、と、普段の閉じたような双眸に戻り。
だが笑顔は浮かべずに、タカハルの問いに弱々しく答え、首を横に振った]
うん、下に……一度、降りよう。
[提案には頷いて]
……あのね。この、てるてる坊主……
このハンカチ……
僕が、アンちゃんに貸してたものなんだ。
[そう告げて、一瞬だけ泣きそうなように眉を下げてから、裏山を降り始めた]
ダメだ、つかれてる。スイカって何だ、スイカって。
[ふらりと離れて、建物の入口へと向かった]
……傘おいてけよ。荷台にあんだろ。
[残されたヌイの自転車が柵の向こうに見える。
しばらく待っても彼が来ないなら、その時は腹を括るしかないなと*思った*]
あー……そ、なんだ。
[一瞬だけの泣きそうな様子。
どういえばいいのかわからず、視線はちょっと彷徨った。
ともあれ、セイジと連れ立って、山から降りる]
……っかし、どこ行っちまったのかなぁ。
ネギ兄やんと同じ……だったりすんのかな……?
[ぽつり、小さな声で呟いて。
セイジの様子を気遣いながら*歩いていく*]
え……?
[タカハルの小さな呟きには、其方を見たが。特に何も言われなければ、言及はせず。些かおぼつかない足取りで、*歩いていった*]
―― 回想 廃屋にて ――
[エンジンをかけた軽トラにキクコを乗せてから、
――移民の男は一度廃屋の中へと戻ってきた。
カウンターのそばへ落ちている重そうな袋を拾い上げ、
簡易レーダーが置き去りになっている傍へと置いた。]
ンガムラさん。
――これ、りんご。
ギンスイが 『喰ってくれや。』 と。
[ギンスイが持ってきていた袋。
中には重いほどに、林檎が詰まっている。]
姉ちゃ 見つけてくれた、礼じゃ ち。
[移民の男は、袋を開ける素振りも見せずそう言い添える。]
適当に分けて、言うこつじゃったで。
ちっと 残しといてくれりゃええがよ。
[キクコを送った軽トラが彼を迎えに来るまで、
果たして林檎はいくつその数を減らすか――*さて*]
―― 回想 終了 ――
[その頃ンガムラは、ほんの少し前に『んな得体のしれないもんいらねぇよ』と言っていたはずの、林檎を食べていた]
俺、ホズミさん見つけてねーんだけど。
[ネギヤを探していたと聞けば]
はぁ、ネギヤを探しかいな。
おまえさんたち、こんな時間まで動いとったなら、腹も空いて疲れたじゃろう。待ってんさい。
[そう言って店へとって返し、おにぎりを詰めたパック二つ分を、手に戻ってきた。捜索の人々のために用意したおにぎりだ。
そのパックを、ヌイとキクコへ一つずつ手渡す。
そして、キクコの身に付けたサマーセーターを、まじまじ見つめてから。]
おキク、ちゃあんと身体を暖かくして、寝るんじゃぞ?
[ネギヤのこと、ギンスイの話は聞いたかどうか。
言葉を交わした後、手も振らずに軽トラックのテールランプを見送った。]
―翌朝・自宅―
ああ、しんど。やっとこさ起きれたわ。
昨日、遅くまで起きておったせいで、疲れたわいなぁ。
ああ、
飯の用意はいらん、嫁ごのこさえる飯も不味いしなぁ、
わしゃ、月下で食ってくるわ。
[まだ人形店は開いていない。
身支度を終え、家族へことわりを入れてから、自宅を後にした。]
[手にしたのは海老茶色の傘、
提げた巾着には、小さなてるてる坊主が揺れている。]
―月下―
[すれ違う村人へは無愛想な挨拶を投げつつ、月下へ。]
[やがて食堂の席へ落ち着き、たけのこ定食を注文すれば、やがてそれが運ばれてくる。
ネギヤに加え、彼の妹のアンまで行方が知れない、
村人たちからそう聞き及んだと、月下の女将は語った。]
[たけのこを ぱくつく。
時折、女将の話へ相づちをうち、窓の外を眺めたりする
ボタンの様子はいつもより少し、機嫌がよさそうだ。*]
……アンちゃんも、ネギヤさんも……
きっと、戻ってくるよ。
本当に消えちゃうわけ、ないよ。
[タカハルに返す言葉は、自分に言い聞かせるようでもあった。ンガムラのそれらしい軽トラが見えてくれば]
……ンガムラさん……
[その名前を呟く。信じろ。声がそう告げた人物。
ンガムラが此方に気付いたなら]
……ンガムラさん。
少し、話したい事が……あるんですけど、……
[思い立ったよう、その近くに駆け寄り、切り出した*だろう*]
タカハル、セイジ。こんな夜更けに、裏山ンほうから…
[呼び止めた人影ふたつを、ヘッドライトの灯りで見分けると
運転していた移民の男は咎めるというよりは驚いた声を出した。
彼らが、移転したお社のある裏山のほうから歩いてきた様子で、
夜中に其処へ近づくのを村人が好まぬことを知っていたから。
キクコも彼らを――特にセイジの顔色を案じる様子だったかで]
… セイジ …
ほ ンガムラさんに用なら―― 荷台 乗ってけば 良かが。
[ンガムラの名を呼びながら此方へ駆けて来たセイジの瞳に、
男は何か――先のギンスイ>>+7の言葉と通じるものを感じて
問わず荷台を示した。タカハルへは、送るから乗れと声をかけ]
婆っばん。
俺ァ ここン人等が すき じゃっで――怖か。
[低くちいさな声で、年長のボタンへ弱音を吐く。
静かな憤りの裡の不安は、すぐに唇と共に噛むが]
こんなが 続くよう じゃったら。ギンスイみたく
神さまはまた 『間引く』か 知れん なあ…
[呟きは去り際。もう一度夜食の礼を言い軽トラは走り出す。
荷台に乗せていたセイジとタカハルは小言を免れたろうか…]
[その後、キクコとタカハルを其々自宅へと送り届ける。
廃屋で待つだろうンガムラのもとへ向かう折には、
ひとり残ったセイジを助手席に乗せ――村道をゆく。]
ギンスイは 神さまに 間引かれたごと ある――
[笛を握り締めているセイジに、男はぽつと伝える。
然し、間引かれるべき異変の元凶ではなかったこと>>25も。
「仏さん」になった後でなければ己には解らんということも。]
嫌な事が起こってる、て 言うたち ギンスイから聴いた。
…ンガムラさん、話 聴いてくるっと 良かね。
[廃屋へ着くと、軽トラをンガムラに返しセイジを預ける。
自転車にトランクをまた積み替えて、別れ際――ふたりへ]
[最後に移民の男は、ギンスイの家を訪れる。
応対に出てきたのは、ギンスイの母とホズミ。
伝えるのは…ギンスイがしばらく姿を見せないこと。
「異変の原因が除かれるまで」よそに匿われていること。
伝言だけは自分が生きて居る間は届けられること。
当然の如く母親は狼狽し、ホズミはくってかかってくる。]
…うん。 俺 全部は 話しちょらん。ギンスイにも。
けど、何もかも 黙っちょったら
ホズミが 泣いて 探して回らんといかん。
[ホズミの細腕に胸倉を掴み上げられながら、移民の男は言う。]
ギンスイ 帰れるごつ …俺も する。
[不器用な語り口。
安請け合いなのか気休めなのか何を「する」のか、定かではない。
けれどその苦しさを押し殺す男の面持ちに、ホズミの手が緩む。]
『こうなったんが姉ちゃんでのうて、良かった。』て
ギンスイ 言うちょった。
そげな 良か おとうと 帰してやれんと… 嘘じゃ。
[それからギンスイの母親へと、貰った林檎がうまかった旨を伝え、
移民の男は俯き加減に玄関を出る。
暫くして――背に、わあとホズミが泣き崩れる声が*聴こえた*]
[ンガムラかと思った姿は、ヌイだった。小さく息を吐き]
……すみません、失礼します……
[勧められて、軽トラの荷台に乗り込んだ]
……
[辿り着いた人形店の前。遠目にもボタンの姿が見えれば、うつむき、黙り込む。てるてる坊主を握り締め、何かに――頭の痛みと声に――耐えるようにしていた。
結局その場では何も言えず、軽トラはまた走り出し]
……ギンスイ君が……間引かれ、た?
それは、どういう……
[どういう事なのか。ヌイに伝えられた内容に、困惑する。頭のどこかでは、朧げに把握できていたが、理性で納得はできずに。
やがて止まった軽トラ。ンガムラの姿に、一礼する。
ボタン雪、と言って尋ねたヌイに、息を呑み]
……ヌイ、さん。
[去ろうとした彼を呼び止めた。止まって貰えたならば]
……ンガムラさんを、頼りにして。
ボタンさんに、気を付けて……
[そう二言だけ、告げただろう]
[そうしたのは、ヌイが、特殊な事実を知っているように見えたから。どこか自分と通じるものを、感じたから。
ヌイが去っていけば]
……ンガムラさん。
少し、話したい事があるんです。……いいですか?
[改めてンガムラに向け、切り出した*だろう*]
[ンガムラの軽口にも、弱く笑んで返すしかできずに、軽トラの助手席に乗り込んだ。おまえまで、と続けられた内容には、ヌイの事を思い出し――息が詰まるようだった。話の先を促す様子に]
……仏さんとも、幽霊とも、言いません。
でも、きっと……同じような事です。
[相手の横顔を見ながら、沈痛に話し出す]
言っても、すぐには信じて貰えないでしょう。
僕だって……
こんな騒ぎになる前は、気のせいじゃないかと思ってました。
そうなら、いいと……
[一呼吸、置いて]
……声が、聞こえるんです。
突然、頭が割れるように痛くなって……
人のものとも思えない、声が。
消えた。気を付けろ。
そう、言うんです。
ンガムラさんの顔が頭に浮かんで……信じろ、って。
……ボタンさんの顔が頭に浮かんで、……疑え、って。
言って、くるんです。
何かが……
[そう訴えるように告げる声色は震えて。指先も震えていた。
尋常でない様子は、声だけでも伝わるだろう]
……ねえ。
こんな事言っても、僕がおかしくなったとしか……
思えない、ですよね。
でも、本当なんです。
消えた人達が、何かによって、消えたとしたら……
次に消えてしまうのは……僕かも、しれません。
[刹那だけまた覗く、鋭い視線]
だから……
伝えて、おきたかったんです。……
[語り終えると、下を向いた。ンガムラはその話にどんな反応をしたか。やがて家に着けば、辞儀をして、帰っていっただろう*]
あれ、なんでヌイっちとおキク?
[セイジに遅れ、駆け寄った軽トラックに乗っていた二人に瞬きひとつ。
送るから、という言葉には、んー、と悩むよな素振りを見せるものの、頷いて荷台に乗り込んだ。
たどり着いた人形店の前。
セイジの様子には、ほんの一瞬だけ目を細めたりしつつ。
夜食を受け取る中に先に呼びかけてきた男の姿を見かけたなら、自分たちが裏山で見つけたものの事を伝えた]
よっと、あんがとな、ヌイっち。
……セイちゃん、無理しないでちゃんと寝ろよー?
[自宅前に降ろされると、すこしだけ真面目な面持ちでこんな事を言って、荷台から飛び降りる。
それから、軽トラが見えなくなるまで、てるてるを振って。
振り返った、人の気配のない家に、ふ、と表情が失せる]
……てるてるぼーず、てるぼーず。
あーした天気にしておくれ、っと……。
─自宅/翌朝─
……さーあて、と。
[小さく呟き、家を出る。
左手には傘、右手にはてるてる坊主がまた二つ。
ちら、と空を見上げ、ゆっくりと歩き出す]
ウチにいても仕方ねーし……どーすっかなぁ。
―夜更け 廃屋→セイジ宅―
俺のこと信じても何も出ねぇよ?
手品の種は、ボタンさんが持ってるってか。
[助手席で俯いたセイジに左腕を伸ばす。
抗えば振り払える程度の力で、がしがしと頭を撫でて離した]
おまえくらいの年の男は、どうやったら女の子にモテられんのかーなんてので頭いっぱいにしとけばいーんだよ。
[セイジの家から自分の実家までは、考え込むような顔で車を走らせた]
[突然、雨が変わった。
空から舞い落ちる小さな氷の結晶は、
ここでは見慣れないもので]
これは……雪?
こんなに寒いなんて……
花も、元気がなくなって当然、か。
[最後の一言は小さく呟いて]
―翌朝 人形店前―
ボタンさん、おっはよーございまーす。
[軽トラを乗りつけた人形店の前。
まだ開店していない店の中をガラス越しに覗くが、人の気配はない]
何考えてんだ、俺?
[ネギヤの体格、老婆の腕力、そんなものを秤にかけている自分に気付いて肩を竦めた]
[帰宅すると、両親が玄関前で待ち構えていた。
こんな夜遅くに何やってたんだ心配したんだぞ、と
捲し立てる父とそんな父を宥めながらも
あまり心配掛けさせちゃダメよと釘をさす母。
ひたすら謝る。
父親の機嫌が直り、両親が床に着いた真夜中、
何者かが玄関の戸を静かに叩くのが聞こえた]
……どちらさまですか?
[傘を回しながら歩いていく。
すれ違う人々は、どこか気ぜわしげ]
ま、仕方ないっちゃ仕方ない、かぁ。
[どこか場違いな呑気さを交えながら歩いていく。
通りがかるのは、人形店の前。
そこにとまる軽トラに、あれ? と首を傾げた]
ガム兄、ナニしてんのー?
[そこにいたのは、見慣れた村の人間の姿]
あれ、――さん、どうしたんですか?
[来訪者が囁いた。
今回の事件と犯人の正体。
それは目の前にいる……]
……え、それって、どういう――
て、なんで、そこでセイちゃんとボタン婆!?
[大げさに驚いて、じり、と後ずさって見せる。てるてるが、揺れた]
……あー、アンちゃ?
昨夜、裏山で傘だけ見つけた、けど。
本人は見つかんなかった。
傘と一緒に、なんでかセイちゃんの貸したハンカチがてるてるになって落ちてたけど。
[不意の問いに、一度瞬き。
それから、自分の見たままを告げた]
……それが?
[きょとり、瞬きひとつ。
何が言いたいのかわからない。
そんな感じに、首を傾げて]
……ナニそれ……わっけわかんねーよ。
[疑い、という言葉。
ほんの一瞬、表情は険しくなるけれど、すぐにそれは、とけた]
[朝。顔色は優れないままだったが、早くに起きた。ふ、と、頭を押さえる。昨夜撫でられた事を思い出した。
あのてるてる坊主は机の上に置いてある。
起き上がり、服を着替えると、リコーダーを手にし]
……行かないと。
興味ない……とは、いわねーけど。
……騒ぎ起こしてるのが見つかったとしたら、ガム兄。
どーすんの?
[くるり、傘が回る。
問いは、いつもと変わらないような。
でも、どこか、探るような。
そんな響きを帯びていた]
―人形店前―
[食事をすませ、
支払いをすませて、店への帰途をたどる。]
[店の前へ至ると、
ンガムラとタカハルの姿が認められた。]
なんじゃ、こんなところで。二人して。
[車へ乗り込むンガムラを見て、首をかしげた。]
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