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[ふと、中座するテンマの姿が目に入る。]
……むぐ。またな。今日はありがとうよ。
[ササミを急いで飲み込むと、会釈代わりに串ごと手を振った。]
[振り向いた先には、親愛の笑みを残して。
中座して出た外は無風で、
通りには誰もいなかった。
歩きながらコートを羽織り、急かぬ歩はお社へ。]
…
結びに来ましたよ。
[背広姿は、社の桜木に声をかける。
見上げる枝には、まだ痩せた花芽。]
[様々に語っているうちに、
店を出るテンマとグリタの姿が見えた]
あ……お疲れさまでした。
[別れの言葉が思いつかず、
先輩への挨拶のような言葉をかける。
しかし、そのうちの1人は姿を見なくなるとは
この時は*思ってなかった*]
[黒い鞄を足元へ置いて――
件の神籤を、丁寧に折る。
軽く酒の入った背広姿の手指はまだあたたかい。
神籤は子供が背伸びしても届かない高さへ結ぶ。]
「失せ物」は…
出なくていいのです。
僕はまだ、何も失ってない。
あのひとも。
[前後して席を立つグリタにも、またなと声をかけ。
ふと、先ほど聞こえた話が気にかかった。]
バク転が出来るようになった思い出ってよ。
例えば、思い出の中でそれを見ていた誰かの思い出にもなるんかね?
[此方と前後して帰った燗酒の如き男とは、
互いの足音を背に聴いた――それが別れ。
僅かな再会となった美魔女の少女からは、
些か納得のいかぬ面持ちもされたろうか。
レンと名を聞いた青年とは語り足りぬ儘、
無音にきこえているよとも秘した儘にて。]
[探偵が過日に空き家へ残したものを、
ポケットの中で転がし遊ぶのは愉しく。
常盤緑へ振り返ったうわばみの女が
胸へ置くらしき想いには触れぬ企みを。]
よい縄張りをお持ちですね。
…レトロ横丁の思い出屋さん。
[その夜――流しの思い出屋は、
全てを思い出にして横丁を立ち去った。]
[そんな事を考え付いたのは、もしかしたら、テンマが事務所で話していた言葉が頭の隅に残っていたからかもしれない。
しかし、そんな思いは、口に出すこともなく。]
―― 或る邸宅の一室 ――
[清潔な部屋、月灯り降りる窓辺。
大きな安楽椅子に小柄な老婆が座っている。]
…ご老体。
まだ起きていらしたのですか。
[背広姿がかける声に、老婆が身動ぎをする。
秘書たる男は、彼女の傍へ静かに歩み寄る。]
ただいま戻りました。
[ずれた膝掛けを元に戻すと、
老婆は曖昧な笑みを浮かべる。
『これは、まあ…
どうも、ご親切に。』
見知らぬ人をみる、その視線。]
[また自分の世界に戻る老婆は、
窓の外を――夜半の月を見遣る。
壁際に置いてある真鍮枠の鏡台に映り込む姿。
秘書たる男は、鏡越しに月夜を、世界を見る。]
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