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ゼンジさん、デンゴ。
俺はこれから、5thを殺す。
[既にゼンジの日記には、
フユキに襲いかかった事実が記されているであろう。
彼を殺すのは、己の未来に記述された事実。
未だ未来日記は、その記述を変えてはいない。]
…、これはサバイバル・ゲームだ。
ならばそのゲームに、
────…傍観者は要らない。
[短い理由を添えて、未来の選択を*告げた*]
…諦めなんて言葉は、俺の辞書には無ェな。
[間近に見詰められる顔に、更に壮絶な笑みを作る。
痛みが、薄い。
だからまだ思ったより動けそうだ。
それは先ほど飲んだ鎮痛剤のおかげだとは判らないが。
包丁を握るマシロの手を握った手のうち、力の余り入らぬ方を離して、ゆるゆると逆の脇へと手を伸ばす。
短剣ケースに入った包丁がそこにはあるから]
無駄で悪かったな?
[そして眉を立て、手首を握った手を捻ろうと力を籠めた]
……、…ああ。
[返す言葉もない。
というより、言葉を返しても空しいだけだろう。
重い沈黙に返ったのは、やはり重たい沈黙*だった*]
なくても、諦めて。
[壮絶な笑みに眉をひそめる。
11thの動きには気づかずに、ただ、握った包丁を押し込もうと力をいれ]
っっ!
[手首を捻られる痛みに、とっさに11thをけりつけて、距離をとろうとした]
やなこった。
あんたが諦めな。
あんたの世界ごと。
[押し込められた包丁が身体の中で嫌な音を響かせる。
蹴りが入るのは視界に収めていたが、
掴んだ手首は離さずに、更に力を篭めた。
逃さない、と、呟く声は、低い]
けふ、
[至近距離の蹴りは鳩尾に入り、
身を折るけれど。
逆の手で短剣の柄を上着の内側で握った]
[2番の子と、ソラさんの遣り取りが少し遠くに聞こえる。それが距離のせいか、自分の緊張のせいかは、分からないけど。
ネギヤさんに近づきながら、私は鞄の中の包丁を取り出す。そして私は、果物ナイフをブレザーのポケットに忍ばせて、鞄を捨てる。
端末は、反対のポケットの中だ。まだ、点滅していない。
両手でしっかりと包丁の柄を持ち、]
―――……ごめんね、ネギヤさん。
[少し離れた距離からの、一声。
それを契機に、地面を蹴って。
包丁の刃ごと、ネギヤさんに体当たりをしようと、駆け出した。]
はっ、それこそ、お断りっ だって!
[ぎりぎりと手首が痛む。
手放した包丁はまだ相手に刺さったまま。
元の世界から持ってきたナイフはまだあるけれどそれには手を伸ばさず。
上手く嵌った蹴りに身を折る相手の手を離させようと、腕を振った。
まだ、11thが新たに握った短剣には気づかない]
[握った腕は離さない。
そのまま、全力を篭めて捻れば、
ミシリ、と、骨の鳴る音を掌が感じる]
…遠慮すんなよ。
[ザッと上着の下から取り出す包丁。
マシロの胸元目掛けて振り下ろす。
空になった短剣ケースと共に吊るした日記は
すぐに脇を締める事で、保護を謀る]
偽りがあると、いけないんだろ?
ゼンジのおっちゃん、今そう言っただろ。
オレ様はっ、…、
…………ふたりを、偽っているのに。
[ぽつりと。溢れた真実が、零れる]
[クルミが走り出す少し前に]
[太った男は、タブレットを懐へとしまう]
うおおおおおおおおおおおおお!!
[額に光る汗をぬぐうことなく、雄たけびをあげながら、1stのいる方へ走る。走るスピードを上げる為に、下駄は後ろに脱ぎ捨てた。
割れた陶器の欠片などが足を傷つけるが、それをものともせず、ただ、まっすぐ、1stの方へ]
天敵ともいえる11thがマシロへ向かっているから。今がまさに好機なのだ]
今なら、チート日記の力が発動しない!
好機なんだ…!
[クルミが足音を殺して忍びよる間に、距離は拡がり、彼女が本気を出して走れば、距離はおのずと縮まるだろう。
日記通りの預言が叶うのは、まさに、1stの直前前で]
[経験の差と言うものか。
それとも世界の違いか。
11thの力は強くて、手首が轢みをあげる。
その痛みに顔が歪み]
……無理、だろうが、いきのこる、ってきめた……っ
[きらりと光る刃物が目に入る。
無傷で逃げるなんてのは無理だと理解した。
咄嗟に胸元を庇った、握られていないほうの腕に包丁が深く刺さる]
ぐっ、……っくそっ
[悪態をつきながら、もう一度11thの足を狙ってけりつける。
距離さえ、取れればきっと**]
[絵日記を持つ指先に視線を落とす。
爪の隙間が汚れている。
屋上のあの時の、微かな赤がついたまま]
でも…怖くて、言えなかったんだ。
ああ そうだな……、
ゼンジのおっちゃんになら、今は言えるかもしれない。
でも、 ヨシアキにはまだ言えない。
[日記越しで良かったとこの時ばかりは思う。
泣き笑いのような表情を見られなくて済むから]
だからさ、
オレ様が選ばれたんだよ。きっと。
このゲームにも。“鬼”にも。
[誰よりも一番最初に、
参加者を殺すことが出来た理由は―――…]
…、―――ゼンジのおっちゃんは、自分の世界が好き?
残すべきとか、そーじゃないとか。
そういうんじゃなくてさ。
純粋に。単純に。 ――…好き?
[子供なりに精いっぱいの、*質問を*]
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