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あぁ、わからない。
人間は愛しい。綺麗だと喜んでくれたから。
でも、だから寂しい。忘れられていくことが。
寂しくて、愛しくて、想い続けるうちに人に成った。
この姿なら、人と言葉を交わせると思った、でも。
人の姿になっても、うまく言葉を届けられない。
……最初から全て、間違っていたのかな。
[ふらり、ふらりと、蛍川を離れていった]
[神社の石段をふらふらと登っていく]
ねぇ、村の神様。
人が好きだといいながら、私はとても悪いことをしてしまった。
私が御縁を願わなければ、いまりちゃんは消えずに済んでいたのに。
……あなたはどう?
あなたは、人間が好き?
[石段を上りきった時、本殿から出てくる人影が見えた**]
[本殿から出てきたその人を、神様かと思った。
日の光に出ると人間だったけど]
老先生……。私をプレーチェと呼んでくれた。
異国から帰るたび、この光を見ると安心するって。
儚くも懐かしい光は、自分にとっての“Prece”だと。
[だから最初に、彼に会いに行った。
「君は?」と問われて、「プレーチェ」と答えた]
そう、かなぁ。そうだといいなぁ。
神様も、人が好きだと嬉しい。
[心を半分どこかへ置いてしまったような、ぼんやりとした表情で呟く]
[見つめてくる瞳が優しくて、心が端から溶けてしまいそう]
……いまりちゃん。萩原さんちの、いまりちゃん。
わたしのせいで、いなくなってしまった。
そうだな。
神なんていやしない。
[返って来た答えに、満足そうに頷きました]
萩原を探しているのか。
……それは?
[最近どこかで見たような、と白衣を見やります]
消えた人、みんな…消えてないよ、って言いたいから。
[白衣のこと聞かれ、困ったように。]
―――――…。
今日もまたこんぺいとうが降った。
医者の先生と…、それから、雑貨屋の…。
[溜息をついて。]
また…目の前で消えたし…。
なんでかなぁ…。
[視線の先から隠された木刀。
それを追うことはせず、地面へと伏せた。]
消えた人が、消えてない?
[少女へと向けたのは驚きの視線。それを白衣へと逸らして]
ああ。それは先生の遺品か。
先生と雑貨屋が、目の前で消えた……案外、すぐ近くに犯人がいたのかもな。
ネギヤの時は集会所だったから、人も沢山いたし。
その時は他に誰かいたか?
消えてほしくないって人が1人でもいるなら、消えない。
人は忘れられて初めて消える。
わたしみたいに、誰にも心配されないような人がいなくなって"消える"って言うの。
ううん、違うかな…消えるでもなくって最初からなかったことになるが正しいかな。
[ちょっと不機嫌そうに顔を上げる。]
死んだみたいに言わないで。まだ死んでない。
[続いた言葉に首を傾げる。]
わたしと…ワンピースの外人みたいな女の子だけだったけど。
神隠しの理由は知らないって言ってた。
[謝られたことは口には出さなかった。]
面白いことを言う奴だな。
心配くらいするだろう。
親や友人や、どっかの男勝りの教師が。
消えたいのか?
[不機嫌そうにあげられた顔に、肩をすくめて]
心外だな。遺品には落とし物との意味もあるんだが。
そうか。あの子もいたのか。
萩原のこと、何か知っている風だったが。
[顎に手を当てて、考えるような素振り]
[ゆりかごの中にいるような、ぼんやりとした心地で頭を撫でられていたが]
ひゃうっ!
[間抜けな悲鳴を上げ、デコピンされた額を撫でさする。
怒られたい。無自覚の甘えを見透かされた気がして、顔に熱が上った]
……お手伝い?
[額をさする手を止め、きょとりとザクロを見返す。
彼女の言葉の意味をわからないなりに考えて]
私に、できることがあるなら。
[彼女をじっと見つめた後、こっくりと頷いた]
…嫌われてるから誰も心配しない、親もいないし。
[淡々と言った。]
消えたい…のかも。
そうかもしれない、分かんないけど。
[首を傾げて次の質問に答える。
消えてもいいとは思ってはいたが、消えたいとは違うような気もして。]
――――――…。
あの子…人が好きなんだろうね。
わたしと違って。
[なんとなくそう呟いた。]
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