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がっ
[銃声。右腕から赤いしぶき。
走る自分と飛ぶノギでは、結果は火を見るより明らかだが]
ち、くしょー 泣くか笑うか! どっちかにしやがれ!
[鞄を抱いた左腕でなくて良かったと思う。
バリケードめがけて走る、鉱山の出口へ――否、途中で見つけた、横道へ姿を隠す]
こなくそ。
[大音量放送中のラジオを前方に放り投げ、自らは物陰に隠れる。鞄から取り出すのは、魔よけの、杭。
一瞬でいい。ラジオに気をとられてくれれば。もし背後を見せれば――]
[それから、幾らかの時間が、経って。
――男は、閉じた目を再び開いた]
……
……あ、……ああ。……
[軋んだような声を零しながら、男は体を起こした。少しずつ、少しずつ。ゆらりと立ち上がる。とぷり。水が揺れ、僅かに跳ねる、音がした]
……
[きょとんとしたように、辺りを見回す。空を仰ぎ見る。その双眸から、赤い涙が零れ落ちた]
[渡った先に在るのは、
死者の住まう世界なのか。
人ならざる者の住まう世界なのか。
平行世界の類、という説もあるにはある。
いずれにせよ、一度渡ってしまえば戻ってこられないであろうことは、ふたりの間の固い共通認識だった]
……って、あの子何叫んでるのよ。
[焦燥滲む声と共に、進む速度三割り増し]
/*
思うに、魔よけの杭というか、それを知っているのはギンスイであってタケシではないというひどい視点漏れ。
そしてプレイ動画を最初だけみて怖くなった中の人は、ラジオを井戸に落とすという情報しかしらなくて、ノギさんの素敵な描写に追いつかなくてもうこっちが即死でいいと思うんです。
/*
難しいなあ。
アクション! というか、策略描写?
いっそ、気づかれたら死ぬだろう、背後を見せれば杭で指す……とかやったらゲームブックみたいだものねえ……かっこいい書き方はないものかー むぐぐ。
[やがて女を追ってきたのは、しかしおまわりさんではなかった]
な……
なによ、あれ。
[恐ろしいものに直面した時の真っ当な反応として、女は凍りついた。
だが、近付いてくる大きな何かが、口から金属片らしきものを吐き出すのを見ると、]
――っ!
[危険に直面した時の真っ当な反応として、即座に逃げた]
それでも、
おばさんが燃やしてくれなかったら
[何処にも存在しないと嘯くヘイケ女史の傍を、
彼女の目には見えない幽霊がすうと通り過ぎて]
からっぽの俺もうるしさまに捧げられて
かぶれていたよ
[宙空へ翅根屍人浮かぶ、御湯治場へ姿を現す。]
あんなふうに
[赤い海から還る。還る
罪が購われるまで]
[罪]
[“ギンスイはあたしのものだもん
神さまになんか、あげない”
それは過ぎた刻の、己が声の木霊]
―― とある、いきものの視界 ――
[ほぼ360度パノラマの村の景色。
白々と夜が明けていくその様は、まるであの世のようだと、誰かは思った*]
[上空からでは、山間の四辻村、生い茂る木々に阻まれ獣道を走るズイハラを捉え難い。
翅音を低く響かせながら、低空へ…そして、横道に反れたズイハラに気付かず、鉱山の出口近くに投げ出された、大音量の『ラジオ』へ向かう。]
”…んん…?”
[くぐもった声を洩らし、地上から数十cm浮かんだ状態でラジオに屈み込む。]
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