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[運動、しておけばよかった。
学生時代なら、もう少し走るのが早かったろうに。
世界がくるくると回る中、浮かんだ苦笑い。
これで生きてたら、ジムに通おう。
そう考えられる程度には、若者は冷静だった。
不思議と、痛くはない。
ぐきりと嫌な音がしたけれど。
痛くもないし、苦しくもない。
背中が何かにぶつかって、回転がとまった。
空は、いつもより高い。
人が、あつまってきている。]
子供は無事ですか
[若者は、そう聞いたはずなのに。
自分の声は、聞こえなかった。
その代わりに、泣いている子供の声がする。
そうか、肺か首がやられて声が出ないのか。
5分以内に、救急車来るかなぁ。]
こんにちは
昨日、アンタさんの絵を描いたよ
そうやって煙草吸ってる姿を、
かみさまが見守ってる絵をなァ
[屈託なく笑いながら、昨日の絵を思い出す。
写生したわけではないので、少し乙女チックな
漫画染みた絵になってしまったけれど]
「昨日、アンタさんの絵を描いたよ
そうやって煙草吸ってる姿を、
かみさまが見守ってる絵をなァ」
[おじさまの言葉に、わたしは何度かまばたきしました
この人は、かみさまを知っているのでしょうか
ううん、違います
かみさまのおともだちではないと思います
たぶん、ですが
だから、きっと、想像で描いてくれたのでしょう
それでも、嬉しいと思いました]
それは、ありがとうございます。素敵ですね。
見てみたいなぁ。
[自然と、顔が緩んでしまいます
わたしはへにゃりと笑いました]
[無理だろうなぁ。
この場合、窒息になるのかな。
たぶん、そうだろうなぁ。
まぁ、いいさ。
選択を間違えた自分の責任だ。
若者は、小さく笑って。
眠くはなかったけれど、目を閉じた。
苦しそうに、見えるのかな。
血とか、出てるのかな。
子供が怖がらなければいいけれど。]
ただひたすらに生き、ただ死ぬだけ
それだけの事さ
[心残り、あるかな?
ああ、あの男の人にお礼を忘れていた。
ロッカさんにも、煙草のお礼してないや。
患者さんは、引き継いでくれるだろうし大丈夫。
父さんと母さんは、泣くだろうな。
孫、抱かせてやれなくてごめん。]
でも、まぁ
[心残りは、あるけれど。]
悪くない人生だった
[そう思って死ねるなら。]
幸せだろう
[自分は、まだ。]
[若者の意識が、いつ途切れたのか。
それは、誰にもわからないけれど。
最後に浮かべていた顔は、苦笑い。
星がもう一つ、流れた。
若者の部屋では、しまい忘れたアルバムが一つ。
桜並木、砂浜、紅葉、雪景色。
そんな写真がいくつか、テーブルに散蒔かれて。
半分ほど残った煙草がひと箱。
閉め忘れた窓から吹く風で、縫いぐるみとかかれたレシートが何処かへ飛んだ。]
[少しばかり驚いたお嬢さんの様子に
勝手にモデルにしただなんて、気持ち悪いと、
そう思われてしまっただろうかと首を捻る。
けれど、そういうわけではなかったらしい。
続く言葉に、此方もお嬢さんのように
頬を緩ませて、笑った]
ああ、今度持って来るなァ
そんなに上手いもんではないんだが…、
[人に見せる程の腕前でもないけれど
なんとなく、彼女に見せたいと感じたのは何故だろう。
何時でも「かみさま」は見守っているんだよ、
そう伝えたかったのかもしれない。
幾許かの言葉をお嬢さんと交わし
最期の煙草を終えて、屋上を後にした。]
優しさに包まれて
[寒かった屋上と異なり、
休憩室は暖かさに満ちている。
ここでの午睡は既に日課になりつつあった。
特に今日は、人の気配を一切感じず
心地良く微睡に沈めそうだった。
うつら、うつら。
夢の中には、皆が居る。
幸福な、夢の中。
眠ったまま、男は起き上がることはなかった。
脳内出血を起こしたまま、数日を送っていたのだった。
苦しむ事無く逝った男の表情は
微笑んでいるかのように、優しいものだった**]
楽しみに、してますね。
[年上のひとは、わたしは好きです
かみさまも、わたしより、ずっと年が上の人でした
頬を緩ませたおじさまの事も、わたしはかかえていきたいなぁと思いました
けれど、そういえば、わたしはこの人の名前を知らないのです]
おじさま、お名前訊いても、いいですか?
わたし、ロッカって言います。
むっつの、花で、ロッカ。
[わたしは、おじさまに名前を訊ねました*]
[部屋に戻ったわたしは、病院の服から着替えました
真っ白なワンピースです
かみさまが贈ってくれたもの。
かみさまが、似合うと言ってくれたもの。
それから、日記帳のさいごの方に、手紙を書きました
ひろくんと、傷のにいさまと、ねえさまふたりと。
さわださんと、かつみさんと、そがさんと。
みつおじさまと、わしおじさまと、けんくんと。
それから、それから。]
[手紙を書き終わったわたしは、部屋にぽつんとある椅子に座りました
かみさまが、最期に座っていた椅子です
かみさまは、どんな気持ちでここに座っていたのでしょう
わたしみたいな気持ちだったのでしょうか
首には、クルミさんからもらったマフラーを巻きました
ポケットには、ハイライトの箱がふたつ
すっかり夜になった頃、部屋の扉が開きました
入って来たのは、かつみさんと、そがさんでした]
[かつみさんは、わたしがお願いしたものをちゃんと持ってきてくれました
ひとつは、チオペンタール、
わたしを眠らせてくれるものです
もうひとつは、塩化カリウムとスクシニルコリンの混合液、
舌を噛みそうになるような難しい名前ですが、これらは絶対に忘れられるはずがないのでした
だって、これらがかみさまの心臓を止めたのです。
その時は、わたしは憎くて仕方ありませんでした
けれど、今は違います
少し、愛しいとさえ思います
だって、同じ方法で、かみさまのところへ送ってくれるはずなのですから。]
[わたしはその二つを間違えないように準備して、それから、自分の左腕に注射器を刺します
失敗はしません、かみさまの腕に刺したのも、わたしでした
それから、椅子に座ります
あの時のかみさまと、ほとんど同じです
違うのは、ここにいる人の数。]
[かつみさんは、ウィスキーをわたしに差し出しました
最期だから、わたしはそれを頂くことにしました
お酒はあんまり強くないけれど、かみさまが飲んでいたから、わたしも飲んでいたのです
それを飲み干して、わたしはスイッチに手を伸ばしました
かつみさんも、そがさんも、黙って見ていてくれます]
[タナトロン。
点滴にも似たこの装置は、そんな名前なのでした
わたしはこの装置の名前の由来を知らないけど、きっとぜろくんは知ってるのかなと思います]
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