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[よく言った、とばかりに孫の頭を撫でた。]
全く…、女三人寄ると姦しいだが
四人も集まると…
[それ以上だなァ、と欠伸しながら浮上する意識。
娘達も、孫も傍に居て
母ももうすぐ退院という幸福な世界の中で。
男はこの病院が、不思議と好きだった。
特に用事があるわけでもないのに、
休憩室を後に、院内を見回していく]
自販機周辺
[院内は今日もあたたかい。
気温の問題ではない。
肌に伝う空気が、人々の空気があたたかいのだ。
消毒薬の無機質な香りとか
寒々とした壁の白さだとか
そういったものを一切感じないのが、
自分が、死んでいるからだなんて気づく筈もなく]
――やあ、先生
休憩かね、……俺ちもなんか飲むかなァ
[ポケットを漁る。
生前にはなかった筈の硬貨や札が数枚、入っていた。
ブラックの缶コーヒーを購入し]
[自販機前で、男性に出会った。
何度かお世話になっていて、顔も知っている。
お互いに、名はしらないままだけれど。]
こんにちわ
ええ、休憩です
こういう仕事は、いつ休めるかわかりませんし
[微糖を啜りながら、彼の手元を見る。
どうやら、ブラック珈琲のようだ。
苦いのに、よく飲めるな。
ブラックを飲む人を見ると、いつもそう思う。]
[ゴトリ。
落ちてきた缶珈琲を拾い上げて
喉を潤す。
眠気覚ましには矢張りブラックが一番だ。
「休憩だ」という彼に頷きながら
伸ばされた視線に、暫し思案し]
うん… 胃に悪いけどなァ、
砂糖とかミルク入ってると、飲めんのヨ
先生、アンタさんは――
[ちらり、青年医師の胸元辺りを確認する。
名札の類はしていただろうか。
そもそも、娘達の噂に昇っていた医師が
彼だとは、断定出来ないが]
うちの娘達が、外科の先生に
「いけめん」が居るとはしゃいでたよ
そうですね、カフェインの摂り過ぎは良くない
といっても、日本茶や紅茶にも入っています
飲みすぎなければ、大丈夫ですよ
[名札は左胸についているけれど。
小さいので、遠目からでは見え辛いかもしれない。
もし見えたなら、結城、と入っている名札が見える。
苗字もユウキ、名前もユウキである。
子供の頃は、うちの親は馬鹿じゃないかと思った。]
いけめん、ですか
うちの先生には、素敵な方が多いですから
どなたの事でしょうね
[大丈夫、の言葉に「んだなァ」と頷く。
医者に言われると、大丈夫な気がしてくるから
不思議なものだ。
目元を擦り、それでもまだ見難い名札を確認すべく
数歩、先生へと近づいた。
親御さんも、何か縁あってつけたのだろうから
その名を知っても、笑うことは無いだろう]
そうか…、「結城先生」の事かどうか
今度、聞いてみるさね
アンタさんは、結婚はまだなのかい?
最近の若い人は、独身の方がいいって思想も多いようだけんど
[誠実な医師を思い、些か一方的な感想を続け]
アンタさんはさ、早く結婚して
子ども作った方がいいよ
子煩悩な感じがするしなァ…
[子どもはいいぞー、と、先の孫の顔を浮かべて笑い。
のみ切った珈琲の缶をゴミ箱へ転がすと、
軽く手を挙げ「またなー」と挨拶を残して
廊下を進んでいった*]
[私の事を考えて、
お婆さんがお手玉を作ろうとしてくれた…
それだけで、私は嬉しかった。
彼女にそう伝えるために
後で、会いに行こうと思ったけれど。
訳知り顔の少女に、手紙を託そうと。
『ボタンさんへ
ありがとう。
受け取ったわ。
クルミ』
短い手紙を、
日記帳から切り離した紙にしたためて。
少女に、渡した。]
冷たい眠りの底で見る夢
[息を引き取った肉体から溢れだした私は、
不安定な存在として
風に乗ってあちらこちらへ駆ける。
スカートの裾をひるがえしながら。
過去へも未来へも行ける、
圧倒的な自由を得て。
白い病室のベッドに座り、
少女とユウキ医師と話す一昨日の私の姿を
近い場所から見つめる事だって出来る。
不自由な私を見て哀れだと思う一方で、
自由すぎる今の私の軽薄さが胸に刺さり
少し、悲しくなる。]
[浮遊する私は、
少女の白いワンピースの胸元へ、
白と紫のアネモネを飾る。
ユウキ医師の白衣のポケットへは
赤いアネモネを差し入れて。
物理的な存在では無くなった
この花たちと私の姿は、
彼らにもベッドに座る私にさえ
見えないと解っていても。
明日の貴女を、明後日の貴方を、
私は抱き締めたりは出来ないから。
せめて。*]
[海の歌が聴こえる。
けれど此処にあるのは
それだけじゃなかった。
様々なもので満たされていた。
私が気付かなかっただけ。
不貞腐れて、見つけられなかっただけ。
お別れする前に
気付けて良かった。
然様なら。
さようなら。
愛しい世界。]
[遊んでくれる?と言われて顔を上げて微笑んだ]
うん! でも、お手玉ない…
ええと、歌とかかな
[囲碁もオセロも何も手元にない。
うーん、と悩んだ末に、近くの椅子に腰掛けると歌を歌った]
ゆきーの ふーるーよーは
たのーしーい ペーチーカー
[ゆっくり、歌った]
手紙、ありがとう
[しばらく部屋に居ただろうか。
ノートから切り離された紙に書かれた手紙を受け取ると、胸に押し当てるように持った。ふふ、と微笑む]
じゃあ、またね
くるみちゃん、先生
また会えるよね
[ふっと立ち上がると、2人にお辞儀をし、部屋を出た]
― 屋上 ―
うわぁ… やっぱり晴れてる!
[屋上に出ると、穏やかな陽が差していた。気持ちよくて、深呼吸をする]
あっ でも、さむーい
[はぁ、と息を吐くと、かすかに白い息が見えた。
駆けるように屋上のある方向へ向かった]
ああ… やっぱりよくみえる
[片手を額にかざした。
風がばぁっとワンピースを揺らす。
海が見えた]
― 介護棟 ―
[しばらく屋上に居た後、病院の中に戻り、いつくしむようにいろんな場所を回った。
この間ぶつかった子供がいたので、頭を少し下げながら笑いかけたが、もちろんこちらのことなどわかるはずもない。一瞬不思議そうにぽかん、とされた後、頭を下げられた]
ふふ…
[実際やり残したことはたくさんあるのだろう。でも、今やりたいことが不思議と終わってしまった気がする。足は自然と自室に向かった]
ん…
[と、部屋に戻る途中、レクリエーションルームの様子が見えた。
歌の時間だった。
例の若い職員がギターを持って、ぼけっとした老人の前にいる]
そうだ…
[何故こんなことをしようという気になるのだろう。不思議に思いながらもそちらに駆けていった]
ね、お兄さん いつもご苦労様です
わたし、ボランティアなの
今日はわたし、歌を歌いにきたんです
宜しくお願いします
[ぺこり、と呆然としている若い職員に頭を下げると、老人達に向き直った]
わたしは、えーと、満州のメイドBです
宜しくお願いしますっ
[もう一度ぺこりと頭を下げると歌いだした]
あーかーいー りんごーに
くちびーるよーせーてー
[歌い終わって、もう一度頭を下げた。
老人たちは、やはりほとんどがぼうっとしている。
でも、そのうちの、たった1人、2人。
少しだけ歌を一緒に呟いてくれたのがわかった。
もう一度若者に向き直る]
今日は急にごめんなさい
本当に、いつもありがとうございます
多分ね、たまに昔の歌を歌うと、喜んでくれる人が、少しだけいると思うんです
少しだけだけど、お相手してくれると嬉しいです
[ああ…と若い職員が呟いた。
この職員の方が彼らの普段の様子をずっとよく知っているのだろう。
自分がこれ以上言うのもおこがましいと思い、小さく頭を下げて、部屋を出た]
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