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あー思い出した
そうそう
かうこちゃんなんで殺そうと思ったか思い出した
かうこちゃんは誕生日を覚えてないって言ったからだ
誕生日を覚えてないなら今日を忘れられない日にしてあげる って思ってた
そうそう!
人と会ってそういう声はよくないと思うんだけどなァ。
[笑みをほんの僅か濁らせて、ウルフを見やる。
たまには機嫌を損ねることもある。]
何って、何もしてないよ。
待ってても誰も戻ってこなさそうだから出てきただけ。
[お前が殺した、と言われれば、眼鏡の奥の瞳をきょとんと。]
んん、半分あってる、半分外れ。
もしくは未来予知?
[顎に手を当て、思案顔。
まだ殺してはいないので、間違ってはいない。]
だってあのお兄さんさァ、わざわざ血溜まりの中に投げるんだもんさ。
白い服の人間をだよ? 信じられる?
[それだけでなくて、血濡れた彼女の姿勢を直したりだとか、膝ついてくちづけしたりだとかの赤もあるのだけれど、まあ彼女の命の色には違いない。]
でさ、そんなことより。
ちょっと付き合ってほしいんだけど、いい?
[誰でも、よかったのか。
いや、ウルフがよかったのか。
その裏側に刃を隠しながら、またにっこりと笑みを作った。]
探検っていうか、実験。
[酔いは回りやすく醒めやすい。
酩酊感や呂律の危うさはもう無いが、かわりに興奮に酔いそうだ。
つとめて、素を保つ。]
煙草は吸わないから、いらない。
けど……他のものが欲しいかな。
[こっち、と細い裏路地に入っていく。]
そうだよ。
[煙草をやるのやらないのを彼が覚えていないことを、不思議には思わない。
自分だって、彼の名前すら覚えちゃいないんだから。]
ねえウルフ。
ウルフはさ、誕生日を覚えてないって言ったよね。
だからさ、だから、今日を忘れられない日にしようよ。
[路地を、ゆっくり行きながら。
ぽつぽつ言葉を落としていたら、袋小路の、どんづまりまで来てしまった。
行き止まりだとは思っていなかったけど、好都合。]
ボクにとっても、キミにとってもだ。
輪廻は信じる?
[後ろに放られたマッチ。小さく燻って消える。]
それから、警察は好き?
ボクは、あまり好きじゃないけど。
ほら、誰も咎めないって言うからさ。
今日をキミの、誕生日にしよう。
[叶うなら、足でも引っ掛けてこの路地に彼を押し倒す。
上に乗れば、細腕にしてはそれなりの力が、ウルフを抑えつけるはずだ。]
■地上
求道者 レイヨ[顔]:20回:残815pt(飴2)
飾り窓の女 ウルスラ[顔]:4回:残1453pt(飴2)
顔役 アンテロ[顔]:3回:残1481pt(飴2)
情報屋 カウコ[顔]:9回:残1240pt(飴2)
若衆頭 エリッキ[顔]:1回:残1553pt(飴2)
やだ……自覚してたけどアホほどしゃべってた……
殺しはしたことないって言ったね。
ボクもだ。だけど、ここには、警察が嫌いな二人しかいなくて、なんだかわからない路地の隅。
そして、やったことないことは、何だってやってみたいのがボクなんだ。
[女の元から連れてきた、銀のナイフを右手に握る。
光のささない薄暗さ。刃は光を弾かない。]
ボクは、キミを殺してみたい。
[右手を振り上げる。このまま降ろしてしまえば、女とは反対側から、首を貫くことになりそうだ。]
[やめろ、を聞けるなら、こんなことはじめからしない。]
よかったね。
ボクが殺したみたいで、間違いなくなるよ。
[さあ、そのひくつく喉元に。]
おそろい。
[皮と肉を裂く手応え。赤いものが溢れる。心地よくて、自然と笑っていた。
首後ろにナイフを刺されたあの女。知らない女のような気がしたけれど、勝手に死ぬなんてそれこそ勝手な真似をしてくれたと思っていた。
これで、おそろいだ。]
ねえ、痛い? 喋れないかな、駄目かな、どう?
[嬉々とした声が、語りかける。]
[首に刺さったナイフから手を離して、満足気に唇を舐めた。
これは、いい。誰かが自分の手で壊れていく。興奮しすぎて、思わず欲情しそうだ。]
こっちも、使っちゃおう、かな。
人のナイフって、なんだかやっぱり、自分が殺した感じ、しないし。
[ストールの下、いつもずっと持っている、大切な。
刃渡りの長い、大鋏。]
ナイフ持ってるとさ、怒られるけど。
ハサミ持ってる分には怒られないの、変だよね。刃物には違いないのにさ。
だからボクはいつか誰かを殺すときにはこれにしようって決めてたんだ。
ハサミだって人は殺せるって、ちゃんと証明できるでしょ。
[大きく開いて、胸元へ振り下ろす。
抵抗されれば、位置はずれるだろう、けど。]
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