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[灯籠の淡い灯りが参道の雑踏と
見知るふたりの横顔とを照らす。
作家は、手元へ視線を落とす。
大学ノートと一緒に抱えていたのは、
2等賞のシツジノ学習帳17冊セット。]
[…二等賞。刀剣好きの福引屋が購入した、
『学芸員の試験に合格した思い出』の対価。
誰かと分け合うには意地悪な冊数の其れ。
半分こしましょう と口にした若者が
どうするつもりだったかは謎のまま。]
… うん。
[作家はすこし目を細め、ぴっちりした
ラミネートへと爪を立てて引き裂いた。]
[過去へ思いを馳せる若者に、
学習帳を8冊分けて手渡す。
共有した思い出の証のように。
そして、
少し垢抜けて見えるかのご婦人に
差し出すのは――
学習帳セットのなかでただ一冊だけ、
罫線の引かれていない"じゆう帳"。]
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ひっそり
おつかれさまでございました 愛。
蒸し暑い時期に遊んでいただけて
ありがたい限りなのです。
村宣伝ご協力もうれしかったです!
無計画こわい もうしません
ログを噛み締めつつ、もうしばらく。
[すぱん、すぱん、すぱん。
ヨーヨー風船を、誰かが
手の中で跳ねさせる音がする。
『福引き屋さん、景品がなくなって、
店じまいしたのかもですよね。』
作家は若者の憶測を耳にする。]
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こんばんはですこんばんは。
てるくにじんじゃ
街中ではない、とも言い切れない そんな立地です。
県内一の繁華街は徒歩数分だし、
文化ゾーンのどまんなかだし、
西郷さんが腹をお召しになった城山のふもとだし。
舞台は実在の神社ですが、イメージは
皆さまがそれぞれに思い浮かべる神社で
いいんじゃないかなあ的なおおまかクオリティ。
[『お名前伺っていいですか?』
若者の唐突さよりは、いつからか耳にする
当世風の言い回しがおかしくてすこし笑う。]
…そこから尋ねなくとも、
伺ってしまえばいいのに。
[そこから重ねられる問いにはひとつ頷いた。]
[ばらけた学習帳を揃えなおしながら
何気なくつけくわえるのは――――]
… 神社の、宝物殿。
きょうは まだ開いているらしいよ。
[掠め取った対価に見合う『思い出』の在処。]
[拝観者の多い今夜は、国宝の刀剣について
熱く語ってくれる中年の学芸員がいるだろう。
調子よく ひと懐こく もちもちと笑う男は、
参道でテキ屋をしていた若い時分の客の面影も
忘れ得ず―― 懐かしむに*違いないのだ*。]
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脳内から出力するばかりというのに
明朝が4時起きになってしまいました ぐぬぬ。
続きは明晩になりそうです すみません…!**
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