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砦と言うか……あー……むしろあれかもね。
迷宮。
[困ったように笑うイェンニ>>1:61に軽めに返したものの、この場での冗談としては滑ったかも、なんて思考はちらりと過る。
ともあれ、地下を見に行くという彼女には気を付けて、という短い言葉を向けて。
自身は階段を足早に上がって三階の展望室へと向かい]
…………はぁ?
[先とはまた、違う理由で呆けた声を上げた]
[雨が降っている。
それはいい。
だが、その降り方は酷く不自然だった。
屋敷の周囲を取り囲み、そこにだけ降る雨。
それはどこからともなく放たれる紅い光を帯びて、美しくも不吉なものを思わせた。
呆然としつつ、頭上を見上げる。
そこにあるのは、不吉だが美しい――紅い月]
…………『紅き月の煌めく夜に、始まりを告げる13番目の鐘が鳴り響きました。』
……だっけ。
[大広間で黒衣の娘が落とした言葉が口を突く。
天上にかかる月ははっきり見えるのに屋敷の周囲には雨が降りそそぐこの異様な光景。
それが齎す意味は、と思考巡らせつつ、しばしその場に立ち尽くして紅い月に魅入られて。**]
[夜も更けたころ。
ふらり、と客室のベッドから身を起こす。
半分眠っているかのような、別の意識が目覚めているかのような。
そんな状態でゆっくりと動き出す]
[目的の人物は、すぐに見つかった。
どこにいるのか、わかっているかのように。
迷うことはなく。
相対した娘は、夜遅くに来た男を無表情に見つめている]
――宴の、贄。
[殺したい。
食いたい。
そんな、緋色にそまった衝動に突き動かされるまま。
娘の命を狩り取る。
抵抗もなく、その胸でナイフを受け止め娘は、ベッドの上に倒れこむ]
[小さな悲鳴すら上げぬまま、こと切れる寸前に笑みを浮かべたドロテアをただ見下ろし。
衣装をはいで胸元をえぐる。
とりだした心臓にかぶりつき――]
ああ、おいしい――
[満たされる思いにうっそりと笑みを浮かべ。
けれど、それ以上食うことはなく。
血まみれの娘を置いて客室へと戻る*]
― 二階客室 ―
[朝、半分寝ぼけ眼でシャワーを浴びている。
シャワーを浴びているうちに、意識がはっきりしてくる。
流れ落ちるシャワーを止めて、濡れた体をぬぐっていく。
朝の身支度を整える終わり]
さあて、どうするかな。
[朝といえども、食欲はさほどない。
昨日のことを思い返せば、黒衣の娘を探したほうがいいかと思いながら、部屋から出ようとして。
反対に響いたノックに、首をかしげる]
はい?
――はあ?
え、それってほんとに?
[やってきたメイドから、三階の主の部屋で娘が死んでいることが伝えられた**]
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