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……む。
またにゃんこが、何か持って帰ってきたのか。
[かぼちゃをピラミッド型に並べながら振り返る]
ミナツはミナツで猫缶の買い込み……
父さん、大黒柱としての威厳がないのは気のせいだろうか。
[思わず、財布の中身を見た。
威厳がなくとも他のものがあるからいいかと開き直った]
ネギヤさんは毬藻のドリンクが飲みたいのか。
滋養強壮にいいらしいな。
[短冊に書かれた文字を見ずに、会話だけを聞く。
ミナツに肩を叩かれて、顔を上げた]
ちかもミナツも、良い子だな。
父さんも、みんなが大好きだぞー。
[からからと笑う]
うん、七夕はいつだったか。
いつでもいいか。
晴れの日なのは僥倖だ、
織姫と彦星は雨の日には会えないそうだから。
[窓の外を見る。
広がる白煙の向こうに闇が広がり、薄紅の花びらが星の下で舞っていた。
置かれっ放しの笹を、桜のそばに飾る]
[虚空を見つめた。
彼方には何も見えない]
さて、
闇が恋しいのは何故だったか。
忘れてしまったな、
まるで霞がかかっているようだ。
[独り言ちる。
ゆっくりと視線が移ろう]
うん。何か聞こえたか、……歳かな。
その発想はなかった。
父さん、目から鱗のはずが、
滴が零れそうなのはどうしてだろう。
[ロマンチックさが消し飛んだ。
お願いごと。腕を組む。まだ、書いてはいない]
にゃんこ、あまり回り過ぎると目が回るぞ。
[足下に目を落とす。巡る、白と灰のまだら色]
それだと、今のままということになるのかな。
うん、父さんもそれがいい――な。
[二人の願い事を耳にして、呟く。
庭にも、肉の焼ける匂いは届いた]
ミナツ、男は金だ。
よく覚えておくといい。
顔で選ばれても、金がないと仕方がないんだ。
[*妙に重みのある物言いだった*]
ふむ?
ギンとスイとは、知り合いか。
俺はユウキ。
うん、その名前だったはずだ。
よろしくな。
お願いか、さっきの送るとかいう話と関係あるのか、
いや、待て――あの世?
[眉根を寄せる。
財布をしまったポケットを見やった。
中に入っていた、覚えのない貨幣。
*失われたピースの欠片を拾う*]
あの世に送るってことは命を奪うってことか、
いや、違うような気がするな。
幸せになって欲しいというのは、もっと、あたたかい。
[目をしばたかせる。
手のひらに容易く収まる貨幣を握り、ポケットに片手を突っ込む]
いつの間にか持っていたんだが、そういうものなのか、これは。
ネギヤ義兄さんはよく食うよな。
まるで、何かに取り憑かれたみたいに。
[短冊を飾り終え、なんとなしに天を仰いだ]
[が、爪がちくっと刺さって、痛い。
顔を上向きにして、落としかけたせいもあったかもしれない]
おぉおおお。
……俺は注射はするのは好きだが、されるのは嫌いなんだ。
[ぶつぶつ呟きながら、ポケットから取り出した煮干を手のひらに乗せて、頭上のにゃんこに差し出す。
色々と入っているようだった]
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