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…カナメ? どうしました。
[やおら、ここから退出をと、
促す声色は硬さを帯びていた]
この部屋がイヤですか?
どうして、ですか。
[面白い所を邪魔され、
対するルリの問いも少しばかり強くなる。
だが今の所は、声はパートナーで]
――テンマ?
[肩を包んだ温もりに瞬く。
[振り向き、相手を確かめた顔が、
ゆっくり、ほころんでゆく。
彼の言葉を聞けば、その笑みは――]
テンマ、眠るですか。
[そして手渡されたものを、
握りこみも放しもせずに。掌で受けて]
鍵ですか。
でも。でも。コジンの――テンマだけのが鍵です。
[鍵をもったまま、彼の冷たい指先へ
そっとルリの手の甲が触れた。けれど]
[どうぞお好きに、という――
微睡む亡霊の目をルリはただ見つめた]
時がきたらきっと、テンマにお返します。
[そのまま彼の手を引き、
祭りの映像をさし、次に会った時は、
こんな楽しそうな遊びをしようと誘って。
やがて去りゆく背を見送る、表情など誰にも届かない]
――ばく?
[ごはんに必要なものは階下に揃っている
そう声からきき、螺旋階段へ行けば、
月光を浴びる人影が]
ごはん、らしいですよ、
食べましたか?
まだでしたら、食べにいきませんか。
はい、きっといいですよ。
いえ、きっと食べるのが、よいのでしょうから。
[わざわざテンマが教えてくれた、
そう思考して、ふいに下の方を覗き込んだ――。
テンマ? 唇だけで呟き]
ごはんは、したのほうですよ。
[獏が頷くなら、共に階下へと向かう]
せかいの色。かわるですか。
やっぱり獏はむずかしいですね。
いっしょなのは…きっと…
[留まる表情。
カナメに聞いても答えが得られない類と、
判ってきたようである]
はい、いっしょに。いきましょう。
[月光を浴びた後姿を、
どこか急いたように追いかけたのは、
もう去った亡霊の背が、過ったせいだろうか]
ごはん。
プリン?
[プレーチェの単語を反芻し。
ミナツのさした寄って行き、鍋を覗き込む]
プリン?
[よそろうか、というのに応じてか、
とりあえずは皿を取り]
[それから、ミナツへ視線が向く]
あなたはどなたですか?
[ミナツへ挨拶]
ルリです。
ミナツ、おはようです。
[不器用に適当に二枚の皿へ、カレー、ライスの順で盛り付ける。それとスプーン二つをテーブルへ運んだ]
ばくー、ごはん。
[獏に向け、一皿を指し。
椅子へかけ、自分のカレーライスを食べつつ、魅入られたようにミナツの手元に眼差しを注いだ]
あお?
[ふと隣席の人物をみやり] みどりな、気がする*
[カレーの刺激は少し新鮮だったようだ。
真面目な顔をして頬張っている。
なまえを並べた女性に向け、目覚めの挨拶が]
ぐっもーにん?
ぐっもーにんですね、ペケレ。
ルリといいます。眠り姫かは、わかりません。
[スプーンを置いた後。
戻されたスケッチブックを捲り、蒼い花のページの『RIP』をなぞる指、ゆるとルリは顔をあげた。
レンの背中の上着を見て、ポケットの鍵を取り出し掌へのせる]
RIP。白。――しろ? テンマの鍵と同じ色。
この花はどこかに咲いてるですか*
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