42 狂い咲きの村―ハナミズキ―
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【観】 小姐 パオリン
ネギさん横取り四千万なのネ？
もうー！
[ネギヤの足元でぶーたれる10cmほどの中華娘。]
ん？
[ペチリと管理人を叩こうとしたが、*暖簾に腕押し。*]
【観】 小姐 パオリン
満開だネ！
[囲炉裏と玄関の間に立って外を見つめた。]
もう春？
[踏み潰されかねない大きさの女は、見上げて誰にともなく尋ねる。*]
小姐 パオリンは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
【観】 小姐 パオリン
[板の間でぴょんぴょん跳ねていたが、間もなく諦めて囲炉裏の方へ。]
春が来たら、お花見に行くんですネ。
[食事の様子を見守るというより羨ましげに見ていたが、部屋の隅へテクテク。]
誰と行くんでしたか？
[柱の影に寄せた藁の巣に座り込んで*自問。*]
小姐 パオリンは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
【独】 小姐 パオリン
ビセちゃんはこちらの姿は見えない方向でしょうか。
となると、音で何かしたいネ。
あんまり墓ログ増やすと、霊能者さんに負担だったりするのかしら。
この辺見極めたい所。のんびりのんびり。
【観】 小姐 パオリン
―日が差してから―
ハッ！
寝てましたアタシ！？
[気が着いたときには、鼠の頃愛用していた巣の中で丸くなっていた。
起き上がって、昨晩とは打って変わって静まり返った管理棟の一室の空気を吸った。]
朝の空気は、すがすがしくて気持ちがいいですネ。
[テクテク歩いて、日の差し込む場所に立った。
さながらピンスポット。]
【観】 小姐 パオリン
[ぼんやりと採光窓を見上げている。]
あれ？
[両の手で、頬や髪や肩に触れる。
鮮やかな黄色いチャイナドレスから伸びる腕を抱えて、瞬いた。]
春の日差しは、暖かいものです。
[俯いてしばらくの後、ふらりと管理棟を出て行く。]
【観】 小姐 パオリン
―管理棟の外―
[足元には白い総苞片。見上げれば奇妙に美しい空。]
雪は冷たいです。
[花びらのようなそれは、足で踏みしめても何も変化しない。
風に吹き飛ばされるのは、自分以外。]
さくさくさくさく。
[軽い調子で言いながら、道を進んで行く。]
【観】 小姐 パオリン
花水木。
[フユキとグリタの会話を聞き、同じように見上げる。
空へ伸びる枝は、眩暈を覚えそうになるほど遠く見えた。]
前に見たのはいつでしたか？
【観】 小姐 パオリン
[歩いていくと、ビセとタカハルの姿が見えた。
昨晩の反応を思い出して、背を押されたように走り出す。]
おねーさん、おねーさん、おねーさん！
【観】 小姐 パオリン
ここ！下！
足元！！
[ようやくビセの近くに辿り着くと、花水木の総包片が積もった個所でぴょんぴょん跳ねた。]
昨日、チョコありがとう！
[何を言ったらいいのかわからなくなっているが、とにかく必死。]
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