48 かくよぎ村のかみかくし
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予報士見習 ニキ
[ボサボサの髪が雨に濡れて雫が落ちる。
中に入ることはあらゆる意味で躊躇われたので入り口から中の様子を探った。]
―――――、…。
[こんぺいとうが降ったことも見た以上。
何もなかったでは終わらないのだろう。
中もいつもより慌しい。]
予報士見習 ニキ
神様が怒ると、空が鳴る。
けれど、あれは神の怒りでもなんでもなくって。
ただの自然現象にすぎない。
[そう教科書に書いてある。
ラジオの予報士もそう言っていた。]
だから…神様なんているわけがない。
時代遅れだ、こんなの。
[けれど、話を聞いているとネギヤのおじさんがどうやら消えたらしい。]
―――――…冗談キツイって…。
[年寄りの仕業だと未だ思えるのは、その現場を見ていなかったからだろう。]
予報士見習 ニキ
いらない。
[タオルをこちらへ渡す様子に目を背けた。]
あっちの子に渡してあげて。
わたしはいいから。
そのタオル、もう使えなる。
[傘もめったにささないから慣れている。]
それよりも…ネギヤのおっさん…。
ホントの神隠し…なの。
じじいたちの仕業なんじゃないの？
[そう言って戸口の辺りで首を傾げた。]
予報士見習 ニキ
別に慣れてるからいい。
[雨の日に傘をささないのはいつものこと。]
――――…？？
[外に出ていく悦子の様子を怪訝そうに見た。
何かに怯えているようにも見える。]
予報士見習 ニキ
―――――…。
神様なんているわけないじゃん。
[そのまま、また雨の中へと戻る。]
探してきたらいいんでしょ。
そしたら、計画も早く進むんだから。
じじいたちも、怖がって家から出たがらないだろうし、解決したほうがいいんでしょ。
[別にネギヤのおっさんの安否なんてどうでもいい、というのが本音ではあるけれど。
そのまま集会所を後にして、森へと向かうのであった。]
予報士見習 ニキ
[森の中で足跡がないか、など探す。
このままニュータウン化計画がなくなると困るのだ。
予報士の勉強をするためにも、この町がもっと便利になるべきだと思う。]
―――――…。
[それに、この町を捨てる理由にもなる。]
【独】 予報士見習 ニキ
わたしには故郷なんてない。
[生まれただけの場所。
なんの愛着もない、その場所。
痛みと苦しみだけがあって。
その場所が変わるならそれもいい。]
そして捨てるんだ。
[全てはわたしを馬鹿にした人を見返すため。]
予報士見習 ニキ
―回想―
[森の中、何かないかと探す。
けれど何もない。]
神様なんかいない。
[夜空を見上げて呟いた。]
だって、わたし―――――。
幸せじゃないもの。
[神様は幸せにしてくれる存在。
だったらいない。
結局何も見つからずその日はそのまま帰ることになる。]
予報士見習 ニキ
[学校からの帰り道。
ぼんやりと空を見上げながらいつものように歩く。
こんぺいとうは今日は降りそうにない。]
この雲だと…。
今日は雨は降らないはず。
ラジオでもそう言っていたから。
[だから誰も消えない。
神様なんていないんだから。]
みそアイス…食べたい…。
[雑貨屋へと向かうことにした。]
予報士見習 ニキ
[雑貨屋にたどり着くと、人がたくさんいて。
気付かれないようにそっと店内に入る。]
―――――…。
味噌アイスが人気なんだ…。
じゃあ、コシヒカリもなかでいい…。
[そう言って氷室の中から勝手に取り出してベンチに座りこんだ。]
予報士見習 ニキ
[どうやら先生もいるようで。]
―――――――…。
[黙ってもなかを被りつく。
淡白な味が口の中広がった。]
神様なんて…いるわけないじゃん…。
[小さく呟いた。]
予報士見習 ニキ
―――――…。
[味噌アイス、という言葉には沈黙を。
少なくともこの味が分からないのは勿体ないとは思うが。]
―――――…。
食べれば分かる、味は。
[そうとだけ返した。]
予報士見習 ニキ
―――――…。
[担当教師からの声に溜息をつく。]
雨が降る雲なんてなかった。
そもそもこんぺいとうは空から降らない。
それこそ――――、
[ぼんやりと店の正面を見つめ。]
神様でもいないと。
宇宙人の仕業とかかもね。
[笑わずに言う。]
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