[ムカイが居なくなったことを知らせるメールに、長く息を吐く]
助かった。
イマリ君もありがとう。
[名簿に死者のレ点を入れ、プレーチェのところに丸をつけた]
ぷーさんを呼び出すことは可能かな?
[女子の交友関係には、*明るくない*]
─回想─
『──知ってる?小6の時に引っ越したチカノちゃん。プログラムで死んだんだって』
[そう囁くように告げた安西アンの目は、好奇心と恐怖が入り雑じったような光を湛えていた。
彼女に悪気は無かったのかも知れない。
だが、自分には許せなかった。
興味本意で、そんなことを安易に口にする彼女が。
忘れかけていた面影が、きらきらしたまま消えるのを無惨に砕かれた事が。
── おさげの、控え目だった笑顔が過る。
多分、初恋だったのかも知れない]
[彼女は、どんな風に死んでいったのだろう。
優しくて、しなやかに強い女の子だった。
ぶっきらぼうな自分は、ろくな事もしてやれなかったけれど。
けれど、きっと彼女なら。]
(……お前なら、自分だけ助かりたいなんて。
思ったりしねぇよな、きっと)
[ごめん、と呟いて。
最期に胸に過った思いは、誰に届く事も無い]*
[投票の…矢先はむかいの文字…
別に憎かったわけじゃない、殺そうと思ったわけでもない。
けど一つ出た結論は生きるためには、必要だと思った。
彼の気持ちは痛いほどわかる。
けれどその決断は重く、受け入れる気持ちになれず、返ってきた反対の言葉にいつしか、疑心暗鬼となって根源を屠る。]
……。
[メールに届く内容は、どこか見ていて悲しく。
たった今助け合おうと手を差し伸ばしてくれた人は死んだ…
震える手でメールに『今から行くね…』とだけ書くと、パタンと折り畳んでポケットにしまう。
足はJ10へ向けて進んだ]
イマリちゃん……どこにいるのかな?
[横断歩道の真ん中で佇み待つ自分]
隠れながら追いかけるよ。
斧は身を守るためにイマリ君が持っているといい。
僕にはハンガーを貸してくれ。
[瞬発力も運動神経も自分よりいいだろう女子相手にどうするべきか。
持っていけるだけの支給品を鞄に詰めて、歩みを*進める*]
―横断歩道―
[歩道にイマリは来てるだろうか
途中にお楽しみBOXから[つぶ餡]を手に入れたものの待つのはやはり不安が襲う。
二度三度振り返り彼女を見つけたなら少し怯えた目で顔を見て語りかける。]
…イマリちゃん…助け合えば生き残れるの…?
私…どうしたらいいのかな…
[今にも泣き出したくなりそうで、けれど不安は募って…涙の雫は頬に垂れて伝う]
待って…?
[傷だらけの手足と青いチーフに懸念して、抱きつこうとする体を押し戻す。
触れた手はひやりと冷たく恐怖を覚えて警戒しながら後ずさり。]
ご…ごめんなさい…
でもその傷……どうしたの?
[武器もなく距離を離して逃げられるようにするもののイマリに不気味さを感じて様子をみる。]
そんな殺傷能力の高い物を持っていたら、自分は危険人物ですと言っている様なものじゃないかね。
[一人ごちて、去り行くイマリの後姿を、使い捨てカメラに収めた]
生きて帰ったら、ムカイの机に飾ろう。
強いとか…そんなのじゃない!
アンちゃん…、うう…
信じ…られない…
[名前のあがった級友は誰かに殺されたとは思ってた……投票の前に死んだのだからとそう考えて彼女の傷だらけの肌を見れば…りゅういちろうなのかイマリなのか殺したのはどちらかわからない。]
むかいくん…りゅういちろうくんを殺せば終わるって言ってた…
ちゃんとむかいくんのこと、信じればよかった…
[手を広げても素直に怖く、泣きそうになりながら感情が溢れそうになる胸を抑えてまたずさり、]
来ないで…人殺し…
[途中、木陰で歌詞カードを折り、紙飛行機を作って飛ばして時間をつぶしていた。
着陸した地点に落ちている、古ぼけた紙切れに気づく]
これは、地図……か?
[筆で書かれた文字は達筆すぎて読めない。
J=10の方を見て、思案顔]
助けに行くなんて約束は破るつもりだったが。
[手紙に描かれた図面は、この場所の地形によく似ていた。
いくつかの×印が、村中あちこちに示されている]
現金を持っていたらコイントスしてみたいシチュエーションだったな。
もしくは、こっくりさんか。
[一度屈伸してから、横断歩道へ向かって歩き出した。
リボンタイでくくったCDを、ぶんぶん振り回しながら]
[プレーチェの手には目立った武器は握られていない。
それを確認してから歩を進める]
ムカイなんて嘘つきは、信じなくて正解だ。
ぷーさん、君の判断は間違っていなかった。
[拾った地図らしきものを掲げて見せた*]
それよりこれを見てくれ。
何かありそうじゃないか?