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[雨が降っている。
それはいい。
だが、その降り方は酷く不自然だった。
屋敷の周囲を取り囲み、そこにだけ降る雨。
それはどこからともなく放たれる紅い光を帯びて、美しくも不吉なものを思わせた。
呆然としつつ、頭上を見上げる。
そこにあるのは、不吉だが美しい――紅い月]
…………『紅き月の煌めく夜に、始まりを告げる13番目の鐘が鳴り響きました。』
……だっけ。
[大広間で黒衣の娘が落とした言葉が口を突く。
天上にかかる月ははっきり見えるのに屋敷の周囲には雨が降りそそぐこの異様な光景。
それが齎す意味は、と思考巡らせつつ、しばしその場に立ち尽くして紅い月に魅入られて。**]
― 二階客室 ―
[朝、半分寝ぼけ眼でシャワーを浴びている。
シャワーを浴びているうちに、意識がはっきりしてくる。
流れ落ちるシャワーを止めて、濡れた体をぬぐっていく。
朝の身支度を整える終わり]
さあて、どうするかな。
[朝といえども、食欲はさほどない。
昨日のことを思い返せば、黒衣の娘を探したほうがいいかと思いながら、部屋から出ようとして。
反対に響いたノックに、首をかしげる]
はい?
――はあ?
え、それってほんとに?
[やってきたメイドから、三階の主の部屋で娘が死んでいることが伝えられた**]
あまり気は進まないけれど。
[物静かに大広間まで降り、進み出てきたメイドに丸のままの果物を希望する。
すぐに届けられた林檎の表面を撫で、皮を剥いてしばらく手に取ったまま待ち、そっと一舐めしてから口に入れ、ゆっくりと咀嚼を繰り返して飲み下した]
……何か。
[いつもなら気配なく消えてゆくメイドが近くに立ったままなのを見て、用事があるのかと首を傾げれば、淡々と黒衣の娘の死を告げられて言葉に詰まった]
ドロテア殿が。
あれはそういう意味でしたか。
[始まりに供されるもの。告げられた時はゲームそのものに気を取られて深く考えなかった言葉が耳に蘇る。
地下の武器庫が解放されたとも告げられ、喉が小さな音を立てた]
猶予期間も終わり、と。
[主の死にも動揺一つ見せないメイドに鋭い視線を注ぐ。それでも相手の表情が変わることは無かった**]
[一度は三階に行こうかと考えた。
どんな状態でなくなっているのか、ということはメイドは言わなかったからだ。
けれど武器庫があると聞かされたのもあって、どちらを優先するか迷い。
――どんな武器があるのかもわからずにいるほうが、不安だった。
だから、すでに死んでしまった娘を見に行くよりも、と階段を下りていく]
ろくでもないなあ、ほんと……
[ため息をつきつつ、一階で一度立ち止まって周囲を見渡した*]
[紅い月を呆然と見上げていたのはどれほどの時間だったか。
不意に、影のようなものが月の上に浮かび上がったような気がして瞬いた]
……なん、だ?
[文字通り、瞬きの刹那に消えたもの。
それが何なのかを確かめる術はなく]
……戻るか。
[今は、休息を取るべきだろう、と割り切って。
踵を返し、向かうは二階の個室。*]
[個室に戻った後は、諸々の疲れから眠り込み。
目が覚めて、最初に確認したのは窓の向こう。
やはりというか、雨はまだ降っていた]
……ぁー……。
[さて、どうしたものか、と。
そんな事を考えていると、ドアがノックされ。
訝りながらどうぞ、と応じれば、現れたのはメイド。
メイドは淡々と、黒衣の娘の死と、地下の武器庫の開放を伝えてきた]
……いや、その、なんていうか。
……冷静過ぎない、あんたたち。
[仮にも主が死んだというのに、何故こんなに冷静なのか。
それが取り決めだからと言わんばかりの態度は、人間離れしていて背筋がうすら寒い。
とはいえ、そこに囚われていたらヤバイ――という認識もまた、確かにあって]
……色々は、りょーかい……。
あ、申し訳ないんだけど、何か軽く食べられるもの、頼める?
[まずは体力つけないとまずい、と。
思い至ったのは、そこ。
食欲があるとは言えないが、いざという時に力が出ないのはまずいから。*]
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