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―廃集落―
[来伝と違い、こちらは空手である。
その分、優位性は向こうにある。
叩きのめされようとも死にはしないが。
深刻なダメージを受けたら、暫く動けない状態に陥るかもしれない。
オトハをかばう来伝の、手中の警棒から、距離をとり。
赤い涙に濡れた眼差しを、二人へ注いで]
… きょうかい に何の用があるのかな。
[オトハに問うも、答えに期待する気色は少ない様。
白い人さし指をゆるくあげ、一方を指すと]
ついでに、あたし親切だから教えてあげちゃうけど。
教誨所なら? あっちだぞ。*
[幽霊は「教誨の火」に燃やされる自分を――
否、燃やす人を―ヘイケ女史の横顔を見ている]
…
イケニエを燃やす火で
俺を焼いてるこのヒトは、
どうして、イケニエにするための子を産んだ
俺のかあさんに 似てるんだろう
[何者かに切り離された魂が呟く。
捧げられしは不完全な*イケニエ*]
[きょうかい。背後の彼女が口にした言葉に、対峙する相手が反応し、動きを止める様を見た。相手はそのまま距離を取り、教誨所の場所を示し教えた]
きょうかい、……教誨所。
其処に信仰の要があるのか? ……っく。
[独り言のように零して――眉を寄せる。また、視界が流れ込んできた。――己の、後姿が見えた。その向こうには、通常の視界と変わらない光景があった。背後の彼女の視界。幾つかの単語が頭を過ぎる]
……きょうかい……
屍人、……ソラ、……
[譫言のようにそれらを声に出す。はたと視界が戻り]
[間髪を入れず、別の視界が流れてきた。一面の赤。赤い水。何処までも広がる――赤い海――]
赤い 海
送 還って、……う、……
うう、……く、そ。ふざけ、るな……!
[再び零し、呻き――手で押さえた頭を強く横に振った。警棒を握る手に力を込める。あげた大声は些か掠れていた。――蝕まれている。そんな思いが湧く。少しずつ、何かによって、何かに、何かが、]
……は、……
[荒い息を一つ吐く。
どうにか気を取り直し、背後の姿を*窺って*]
[キチ...チキチキチキ......]
[気付けば、胸の痛みは消えていた。]
[ノギの身体は膝半ばまで御湯治場に浸かっている。]
[――…一度だけ…手を振る姿…格子窓から…――]
[――…その時自分はどんな表情を浮かべて、どんな行動をとっただろう…――]
[因習に囚われぬ部外者だった乃木は]
―― 学び舎 ――
[小高い位置にある校庭から、村を見下ろす。
どこからか細い煙が立ち上っていた]
たーまやー?
[言ってから、ふと警官の『視界』を探したがそれらしきものは見つからない。
ん、と首を傾げて、それから歩き出した]
―― 地下の屍人の視界 ――
[蝋燭の明かりに揺れる人影は、ひとつ、ふたつ、みっつ。
祀られた一角には、ひとりの眠り姫。
唇に引かれる紅は、透き通るような白い肌を際立たせる]
[金属バッドでてこの原理 + 半屍人のバカ力 = 金次郎像は鈍い音を立てて動く]
か弱い乙女にこれは重労働だわ。
[縦穴にはさび付いて今にも崩れ落ちそうな梯子が見える。
しばしその縁に腰掛けて、暗闇の先の世界を*探った*]
/*
村人:ネギヤ
人狼:オトハ
占い師:ライデン
霊能者:ズイハラ
C国狂人:ホズミ
共鳴者:アン、ヘイケ
コウモリ人間:ギンスイ、ノギ
最終予想。霊っぽい人がいなかったためこのように。
占われたかなあふへへ
[―――…‥ぃ‥――ぁ――は…‥‥られ‥――…し、‥――の…‥仔‥……―――]
[赤い海から還って来る者は永遠の命を捥いで還って来る。半端な半屍人から人間から完全に変貌を遂げた屍人へと。くるくる廻る幾らも廻る。何度も何度も何度も何度もやり直してやり直してやり直してやり直して誰も憶えてなんか居ない。]
ああ、…‥…だな…。
[時間も空間も捩れて攀じれて。壊れ果ててはいない。唯、大いなる何かに支配されているだけ。]
[赤い海によって断絶された内側の異界は何度も何度も何度も何度も繰り返す。罪が償われるまで。罪が贖われるまで。地球儀のように廻り廻り続ける。]
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