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――――なァんで、皆出ていっちゃうんだろねェ。
どこに何があるかわからない外よりィ、ここに一人でいるほうがァ、侵入者もわかるし安全そォなのに、なァ……
[ぐらりぐら、酒も意識も視界も回るので。
床に座り込んで天井を見上げたまま、睡魔に身を委ねてしまうかを、考えあぐねている**]
[カツカツとヒールの音が路地に響く。
どこまでいっても路地裏。
薄暗く湿った匂いのする、腐った道。
表通りなんて見えやしない。
いくら角を曲がっても、路地、路地、ああ何処が裏だったっけ?]
……いやぁね
[血を吸って重くなった帽子をくるりと回した]
[殺してみたい、と零された言葉には、酔いに染まったその面をひと時じっと見据えて。だがふと視線を逸らすと、緩慢な歩調で歩き始めた]
別にしたくもされたくもない。
ああ。その通り、誰も気がないのならばな。
誰の手によるものかは、興味が湧かないでもないが。
――精々気を付ける事だ。
殺してみられる側にならないようにな。
[続けて言葉を返しながら、バーの外へと出――
男は、眉を寄せた]
……、面倒が此処までだとは。
[扉の先にあったのは、路地裏だった。その事実だけならば、おかしくはない。
だが、その路地裏は、男が見慣れるそれとは様相が異なっていた。見た事のない、場所だった。
少しの間、立ち止まっていてから。男はコートを揺らして*歩き出し*]
[それはいつのことだったか。
君の耳元で声がする。いや、しなかったのかも、しれない。届いたかもしれないし、届かなかったかもしれない。]
[重い扉を開けて、酒場を後にする。眼鏡が何事かぶつぶつ言うのが聞こえたが、気にも留めず。
胸クソ悪い、もう帰って寝ちまおう。そんなことを考えながら歩く。薄暗い道、水銀灯がぽつりぽつりと灯って]
[店の外は変わり果てていた。訳が分からない。
部下達はどこに行ったのだろうか。
数人、名前を呼ぶがむなしくこだまする]
あのバカども…。使いようのねえバカとは思ったが救いようもねえとはな!
[悪態を着くが、先ほどの事を思い出す。
何か、おかしいのは確かだ。酔いの中見ている夢ではあるまい。
懐の銃を触り、その冷たさと重さを確かめる]
バカほど可愛いもんだ…。
どこに、行きやがった。
[何とはなしに、もう全員生きてはいないのだろう。
そんな気がしていた]
[かつん、かつん。ゆっくりと歩く]
だぁれもいないから
[かつん]
殺してもいいよ、って言いたいのかしら
[響く声。頭上を飛び去る影。羽音はほとんどしなかった。
幾つ目かの曲がり角。抜けた先に人影を見る]
ねえ、おにいさん
[眼鏡をかけた優男はどうやら手持ちがないらしい。名前をいくつも持っている子犬ちゃんはどうだろう。背の低いおじさんは嫌いじゃないけれど、今は気分じゃない。どうせならやっぱり、男らしい血の気の多い人がいい]
……どう、思う?
[この街を。この夜を。
そんなことより、この肉感溢れた肢体を。
何を、とは言わずに首を傾げ]
…どこだっけ、ここ
[慣れた道、の、はずだった。
別段意識しなくたって足が勝手にアパートまで運んでくれる、それくらいに慣れた道。しかし、今日の、ここは]
知らねえぞ、こんなところ。
[突然背筋がぞわりと冷えた。自然と足が速まる。駆け出した先に見える大通り、そこまで行けば]
あ?
[次の街灯まで行けば、大通りのはずだった。明るい道が、すぐそこに見えていた、はずだった。]
飲みすぎた、のか 俺
[まるで逃げ水のように、大通りの気配は遥か遠く。そこにあるのはさっき通った裏通り。半分蓋の外れたゴミ入れのバケツに、見覚えがある。
立ち止まって、ゆるく頭を振った。少しの頭痛。それでも意識がトぶ程、飲んじゃいない。訳がわからず、二三歩後ずさり]
[くるりと踵を返して、早足でもと来た道をたどる。
先に出て行った連中は逆方向に行ったのだろうか。とりあえず戻ろう。警察やらが呼ばれていれば面倒だが、とりあえずそんな常識的な光景は忘れ去られていた。]
…暫く、酒飲むの、やめよ。
[酒のせいなどではないと、薄々気づいてはいたのだが。]
殺してみられる。
[緩慢に落ちる男の言葉を拾って、瞬いた。
睡魔に負けかけた意識も、少し引き戻される。]
うーん、それもねェ、ま、いンだけどぉ。
確かに、あんまり、歓迎はできないかなーァ?
寝てると、危ない?
かもねェ。
[意識が落ちてしまえば、それだけ他への反応は鈍る。
それはよろしくない。むざむざ殺される餌になるためにここにいるわけではないからだ。]
[独り言だか誰かに投げかけているのかすらも定かでない言葉たちは、床を転げたり跳ねたりしながらも酒気に消え。
はたりと止まったところで、何処かから声がした。]
――うむ。
そうだなァ。誰もいないってことは、誰も殺せないってことだもの、なァ。
それはよくないね。うん、何よりよくないなァ。
せっかくさ、何したっていいっていうんだから、ねェ。
[どこから聞こえる声だとか、そんなことは瑣末。
この声が自分に危害を加える気がない(だってそうだろ、欠片でもその気があるなら、こんなふうに煽っている間にもボクをそこの女と同じようにしてしまえばいい)なら、ここにいたって何かが出来る保証もないのは、その通りなのだから。]
よっ、と。
[弛緩しきっていた身体を、ぽんと跳ね上げ。
まだふわつくままに、立ち上がる。]
そうそう、できることじゃないものねェ。
[白い服の懐、巻いた青いストールの下。
忍ばせたものの感触を確かめて、口角を上げる。
鼻歌まじり、息絶えた女のもとへ寄った。]
[こつり、こつり。
狭い道に、足音はよく響いた。路地裏は、長く続いた。長く、続き過ぎた。幾ら進んでも、幾ら曲がっても、何処までも路地裏が続いていた]
…… は。
[振り向く背後も、進んでいた前方も、全く変わらず、ひたすらに狭く薄暗く]
ごめんね。
みィんな、行っちゃったからさァ。
[首を裂かれ、床に倒れた女の襟元を正す。
椅子に座らせるのはやめた。壁に凭れかからせるように、上半身だけを起こさせた。]
じゃァね。
さよなら。
[無情にも死を齎された彼女の、まだやわらかな唇にそっと触れ。
そのまま、自分の唇を重ねた。]
[こつりこつり。かつんかつん。
響く足音。通りの向こうに見える人影]
あらぁ…
あのお店だけが、世界なのかしら
あのお店と あの、なんだったかしら
[あの、鳥。
道の向こうでこちらをじぃ、と見ていたあの。
ああ、あの軒下もなくなっていた。
ひとつずつ、なくなっていった]
[たっぷりと何秒も、そのままでいた。
抵抗はされない。当たり前だ。
唇を舌でなぞっても、そのまま無理矢理に割り開いて口内を求めても、彼女が動くことはない。
首の傷が喉を貫いて回ってきたのか、それとも自分の舌を噛み切った血がまだ止まっていないのか、生臭い血臭が口吻に混ざる。]
……不味。
[ようやく彼女を解放して、はじめに言ったのはその一言。]
やっぱァ、キスは生きてる女のがいいかも。
これ、借りてくね。
[カウンターの隅の隅。
まだ血に濡れてぬらぬらと光るナイフを、拾い上げた。]
じゃ、今度こそ、さよなら。
運が悪ければ、またね。
[くすくす、とまだ酔い残るままの笑みをこぼしながら、ゆらぁり、と、ひとりと彼女きりだったバーを、ようやく後にする。]
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