情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
―全てが終わった後―
[あの後>>5:115、まるで魂が抜けたかのようにぼうっとしていたニルスはあまり働かない残りの思考を巡らせ、この場所には自身以外の生存者が居ることを思い出した。
そしてそれだけ把握すれば当初は通じる事がなかったコテージの通信機器を使い、何とか繋がるのを確認すれば救急を呼ぶ。
自身が肩を刺したユノラフの傷は深かろうとも致命傷ではなかった筈だが、このまま何も無かった事のようにコテージを一人後にするのも、この時は何故か気が引けた。
そして被っていた帽子をクレストの部屋でユノラフと取っ組みあった時に落としたのを思い出せば、それを取りに部屋に戻った際にそこに居たマティアスに救急を呼んだことを簡潔に伝えた]
[意識を失ったであろう床に倒れているユノラフを見つければ、彼を馬鹿にするというよりも自嘲めいた笑みで言う]
……本当に、馬鹿な男だよ。
[その呟きは近くに居たマティアスには聞こえただろうか。床から拾った帽子の埃を払えば、それをいつもの様に被りニルスは部屋を出て、コテージからも出て行った。
―――馬の嘶きが聴こえる。
山中で出会えば挨拶を交わしていたあの長閑な養蜂家ももう居ない。
救急が来れば、この馬も誰かが連れて行くだろうとニルスは一人、その場を*後にした*]
─夏至祭から数日後─
[外の喧噪も聞こえなくなり、穏やかな日常が戻ってきたことを、男は病室から知った。
退院の目処が立った頃――
男は、見舞いにきた友人に告げる]
…マティアス。
俺な、村を出ようと思うんだ。
[友は、どんな顔をしただろう。
顔も見ずに言葉を続ける]
…左腕が、ほとんど動かない。指先だけはどうにか…といったところだ。
南下して大きな町に行けば、治せる医者がいるかもしれないと先生が言っていたが…元通りになる確率は低いそうだ。
[それは半分本当で、半分は医者の気遣いだった。
男には自覚がなったが、あの一件以降、ぼんやりと宙を見たり、青い石を眺めることが多くなっていた。
一度村を離れた方が良いと判断しての医師の助言を、男はそうとも知らずに受け入れた]
マティアス。
お前も一緒に村を出ないか?
もしかしたら、お前の目を治せる医者がいるかもしれないし…。
それに――
[ひとりは、つらい]
…いや、なんでもない。
[言いかけた弱音を飲み込む。
一度は友と別れ、イェンニの元に向かっていながら、なんて虫のいい話だろう。
マティアスはなんと答えるだろうか。ちらりと、その顔を見た]
[マティアスの言葉>>13を聞いて、男は首を振った]
逆だよ、マティアス。片腕が使えないからこそ、助けが必要なんだ。
それに俺は、お前を足手まといだと思ったことはない。
そりゃあ、前みたいに手を引くことは難しくなるさ。けど、そこはお互いに補い合えばいいだろ?
…なあ。
イェンニが蜂に襲われた日に伝えたダグの伝言>>4:9、覚えているか?
お前にだってやれることはあるし、力を必要としている人もいるんだよ。
腕のことを抜きにしても、耳や感覚が鋭いから、来てもらえると色々助かるんだけどな。
[マティアスには見えなくとも、真っ直ぐに友の目元に視線を向けて。
男は返事を待った]
─自宅─
[1ヶ月ほどが過ぎ、傷も完全に塞がった頃――。
しばらく、ここには帰って来られないだろう。
男は、マティアスの手を借りてコテージで撮った写真の現像をした後、今まで撮りためてきた写真の整理をしていた。
懐かしい写真も沢山あった。
中には、村に来たばかりのクレストとミハイルの写真もあった。
そして――]
…イェンニ。
[見つけた写真の中には、生前、父が撮った幼児期の男と共に写るイェンニの写真も混ざっていた。
歳を取らないことを知られたくなかったのだろう。彼女が写っていたのはその一枚だけ。
コテージ内で自分が撮ったイェンニと、幼い頃の自分と写っているイェンニ。
変わらぬ姿のまま、彼女はそこにいた]
…ああ、そうか。
[朧気に、記憶の片隅に残る『おねえちゃん』の存在。
遊んでもらった記憶はあるのに誰なのか分からないまま年を重ね、いつしか『おねえちゃん』の事も忘れていた。その事を唐突に、思い出したのは]
あの人は、イェンニだったのか。
[それは幼い少年の、淡い初恋でもあった。
穏やかな笑みを浮かべる新しい主人に、白い蛇が、まるで寄り添うように身を寄せた]
…ん、あれ?
これは…。
懐かしいな。こんなの、そう言えば撮ったっけ。
[見つけた写真は、イェンニの写真だけではなかった。
まだ少年だった頃の男が、祖父からカメラを借りて時折撮っていた写真のひとつに。
幼い頃に村を出て行って以来、噛み合うことのなくなってしまった
――かつての友の写真があった]
………。
仕方ない。顔くらいは出してやるか。
あんたに言わなきゃならねえことがあったんだ。
200年とちょっと前に、俺はあんたに助けられた。
ありがとな。
[あのまま完全に死んでしまえば、良かったのかも知れない。
それでも、クレストと出会う事ができたのは、
精霊としての生を与えられた事によるものであり。]
[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了